M44雑嚢 (Brotbeutel 44) 最末期型

今日は大戦末期に生産されたM44雑嚢(Brotbeutel 44)のバリエーションをアップします。

雑嚢の正式名称はBrotbeutel=パン袋ですが、兵士が常にパンを入れていたのかには疑問符が付きます。
なぜなら通常軍隊では部隊が食糧を管理しており、兵士には日に3度、1食分のみを支給することになっている中で、兵士が主食であるパンを雑嚢に入れて持ち運ぶということはあまり無かったと考えます。(チョコレートやクネッケブロートなどの携行食は入っていたかも知れません)

雑嚢というだけあって食糧以外、例えばノルマンディで捕虜になった第85歩兵師団の兵士が持っていた雑嚢には、雑嚢ストラップ、略帽、ブラシ(歯ブラシ?)、缶切り、エスビット、ラードケース、懐中電灯、髭剃りセットが入っていたようです。

0111a.jpg
投降後、雑嚢の中身を調べられるドイツ軍兵士。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、こちらがM44雑嚢のバリエーションです。(ここでは便宜上〝最末期型〟と呼びます)


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一般的な雑嚢の体は成していますが、M31雑嚢はもちろん、M44雑嚢に比べても、かなり省略されています。さらに左右のループの長さが違っているなど、いかにも末期的な造りになっています。

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在庫になっていた雑嚢ストラップを適当な長さに切って縫い付けた感じです。

 
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M44雑嚢(左)との比較です。最末期型には真ん中のループがありません。

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飯盒や水筒を固定する革ループの形状の比較。最末期型は革ループがひょうたん型でリベット止めとなっています。
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後ろから見た写真。雑嚢ストラップ用のDリングや、底部にマチがある縫い方は同じです。

この雑嚢は1944年11月に採用されたM44雑嚢よりも、さらに省略されたものなので、M45雑嚢と命名しても良いかもしれません。しかし、敢えてM44雑嚢のバリエーションとした理由は内部を見ていただければ分かります。
BG2.jpg
こちらが内部の写真。M44雑嚢の特徴であるM34クリーニングキット収納ポケットがこの雑嚢にも付いています。
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写真ではハミ出ていますが、きちんと収納することができます。
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このように内部の造りはM44雑嚢と共通点が多く、違いは革の節約でしょうか?ストラップが短くなっている点のみです。

ネームタグが縫い付けられています。
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官給品は個体差が無いため為、所有者が誰か分るようイニシャルが刺繍されたネームタグを縫い付けることとされていました。

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こちらは歩兵操典「REIBERT」の中の装備品に付けるネームタグとスタンプについて記載されたページ。
このようなレギュレーションがあったにも関わらず、実際はほとんど実行されてなかったようで、ネームタグが付いた装備品はあまり見かけません。私も現物を見るのはこの雑嚢が初めてです。

この最末期型の雑嚢ですが、どのような資料本にも載っておらず、果たして大戦当時のものかどうか判断がつきませんでした。そこで、いつも参考にしているフォーラムで写真を載せて意見を募ってみることにしました。

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このフォーラムには詳しいコレクターが多く、真贋については辛口評価で有名です。なので〝戦後改造品〟や〝フェイク〟と評価されるのは覚悟の上でした。

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ほっ、、、大戦末期の雑嚢と判定されました。(コメントをくれたのは2人だけですが・・・)

さて、雑嚢の中身に戻りますが、以前紹介した初期型のM31雑嚢にも同じようなポケットが後付されていることから、クリーニングキットは必須アイテムであることは間違いありません。
B-Bag03.jpg
ところで今日一日、最末期型の雑嚢が写っている当時の写真を探しているのですが、普通のM44雑嚢さえ見つけることができません・・・(涙)
大戦末期の写真は捕虜のドイツ兵を撮影したものが圧倒的多数で、武装解除された兵士のほとんどはウエストベルトを外しており、容量の少ない雑嚢は人気が無いのか持っていないケースが多いです。

BG15.jpg
前から4人目の兵士が、ストラップでたすき掛けにした雑嚢がどのタイプかは神のみぞ知るです。


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M43野戦服 (Feldbluse 43)

M43野戦服(Feldbluse 43)は、ますます戦局が厳しくなり物資が窮乏する中、ドイツ陸軍に採用された下士官・兵用の野戦服で、4つポケットが付いた最後のモデルになります。
この野戦服は肩章は無いですが、袖のエーデルヴァイス部隊章から山岳猟兵(Gebirgsjäger)に支給されたものだと分かります。


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ドイツ軍の野戦服とは思えない茶色味の強いフィールドグレイですね。(フェルトグラウ44と言うようです)
この頃の生地はウールと再生繊維の混紡率が高くなっており、初期のウール100%の野戦服に比べると厚みもなく手触りも良くありません。
1939年以降、占領国から摂取したウールが戦闘による消耗で枯渇してきたことがうかがい知れます。
ドイツや占領国で生産されたフェルト生地以外に、緑色味の強いイタリア生地もこの頃の被服には多く使われています。
pocket04.jpg   
ポケットのスタイルの変遷。M40/M41野戦服からM42野戦服に変わった時にポケットにあったプリーツが省略され、M43野戦服ではポケットの雨蓋(フラップ)がフラットな形となります。
これは生産性の向上が主な理由とされています。プリーツの省略はともかく、雨蓋の変更はそれほど変わらないような気がしますが、後世のコレクターにとってはバリエーションの収集という苦しみ楽しみを与えてくれます。

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こちらは後ろから見た写真。それ以前の野戦服とほとんど違いはありません。


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内装は光沢のある合成繊維。レーヨン製、あるいはナイロン(ペルロン)製のどちらかだと思いますが、素人の私には見分けが付きません。



Ruhetag The Day-to-Day Life of the German Soldier in WWII: Health and Hygiene

この本では大戦中のドイツ兵の日常品の実物が鮮明な写真でたくさん紹介されているのですが、巻末に当時の繊維産業についてかなり詳しい情報が載っています。

たとえばフランス占領後に、どれだけ大量の羊毛が摂取されドイツ軍で使用されたか、やレーヨンやナイロン(ペルロン)合成繊維の種類や歴史、ウールの染色方法、そして当時の繊維の見分け方などが11ページに渡って書かれています。

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合成繊維の特徴や『Signal』や『Der Adler』と言った兵士向けの雑誌に掲載された記事。

さて繊維の見分け方ですが、確実なのは顕微鏡検査だそうで、他にも化学検査、燃焼検査があるそうです。
一般的なコレクターにとって一番手っ取り早いのは燃焼検査ですが、貴重な野戦服に対してそんな愚行を犯すコレクターはいないでしょう。もちろん、私にもそのような気持ちは毛頭ありません。

内装の続きです。

M41野戦服までは内蔵サスペンダー(Tragegurte)は別個に存在していましたが、M42野戦服でライナーと一体化し、M43野戦服もそれを受け継いでいます。
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ベルトフック用ループのクローズアップ。
ループには専用に造られたタイプと、内蔵サスペンダー(Tragegurte)を再利用しているタイプの2通りがありますが、この服のループは後者のようです。なお右から二番目のループの穴の径が他の3つとは違うものになっています。


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サイズのスタンプ。WB. 43はヴュルツブルクにあった被服廠もしくは補給所に1943年に納品されたことを意味します。


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この襟章は40年制定の共通兵科でマウスグレーとなります。


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襟の裏側は定番のヘリンボーンツイル。


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胸章はフィールドグレー地にマウスグレーの刺繍タイプです。
この胸章は上辺を最初に縫い、その後下に折り返して下部をミシンで縫うという、M43規格帽の帽章と同じ方法で縫い付けられています。



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山岳部隊章

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こちらはM34/35野戦服の山岳部隊章ですが、デザインが違います。


ところで山岳部隊では、歩兵部隊で〝Schütze〟と呼んでいる二等兵のことを〝Jäger〟と言うようです。
ただし一等兵についてはOberjägerでは無く、通常通りOberschützeと呼んでいます。
(ちなみに山岳部隊では、OberjägerはUnteroffizier=伍長となります。ややこしいですね・・・)

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最後に『FELDBLUSE The German soldier's field tunic 1933-45』からお借りした写真。
ノルマンディで英軍兵士に荷物検査を受ける山岳猟兵。
左端と右から二人目の兵士がM43野戦服を着用しています。
どこか少年の面影を残している右端の二人は、記章からもJägerと思われます。


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陸軍下士官・兵用バックルとベルト(末期型)

本日は大戦末期に生産、陸軍下士官・兵に支給された鉄製バックルとベルトを紹介します。
1941年のモスクワ攻防戦、42年のスターリングラードの戦いで大敗北を喫し人的・物資的な大損害を受けたドイツ軍は、兵士に支給する装備の省資源化をすすめ、質よりも量を優先するようになります。

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大戦末期(1944~45年)の国防軍兵士の軍装。
M44野戦服M43規格帽M44雑嚢、そして今回紹介する末期型バックルとベルトです。なお、ショカコーラのパッケージも鉄製から紙製に変更されました。

まずは末期型のバックルから。
M44B_1.jpg
鉄製のパンツァーグラウ塗装で典型的な後期型バックルの特徴を持っています。材質についてですが、初期型バックルはアルミで作られていましたが、アルミは航空機の材料で貴重となった為、かなり早い時期(41年頃)に、鉄製に変更されています。(アルミ製品が鉄製に置き換わることになった背景についてはコチラ
末期でも、〝GOTT MIT UNS〟(神は我らと共にあり)」の文字や国家鷲章のデザインは変わっていません。

 M44B_2_1.jpg 
裏側です。42年頃から省略される革タブがこちらにも付いていません。
なおベルト穴を通す爪の部品が、茶色くエナメル加工されていることがお分かりでしょうか?このエナメル加工は、防錆以外にベルト穴の出し入れを滑らかにするという効果があると考えます。

M44B_18_2.jpg  
「J.F.S」の刻印があります。(製造メーカーコードで、Gablonzにあった、Josef Feix & Sohnes社)

次に末期型ベルト(M44ベルト)を見ていきましょう。
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M44ベルトには、それまでのベルトとは外観上違う点があります。

M44B_22-1.jpg
通常の下士官・兵用ベルト(上)M44ベルト(下)との比較。M44ベルトは表からベルト穴が見えます。

M44B_20_1.jpg
通常のベルトはベルト本体と長さ調整用ベルトの二重になっていて、ベルト穴は表から見えないようになっています。

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一方、M44ベルトは長さ調整用ベルトではなく、ベルト本体に開けられたベルト穴に爪を通すようになっています。
この省略された長さ調整用ベルトですが、薄い為に切れやすくなっており、切れるとベルトは使えなくなってしまいます。(切れた場合の対処法についてはコチラで記事にしています)

調整用ベルトを無くしたのは、材料の節約と生産性の向上に加え、使い易さを考慮した結果だと思います。

M44B_4.jpg
パンツァーグラウのバックルとM44ベルトは大戦末期の省力化モデルというよりは、兵士の声を反映させた進化形なのかも知れません。

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山岳帽(Bergmütze)

ご無沙汰しています。今回はドイツ軍山岳猟兵(Gebirgsjäger)のトレードマークである、山岳帽(Bergmütze)をアップします。
山岳帽1
最初に山岳帽の起源について調べました。まずはWikipediaから引用したいと思います。
山岳帽は1868年にオーストリア=ハンガリー帝国軍の新しい野戦軍装(Feldadjustierung)規定において、歩兵、砲兵、騎兵共通の野戦帽(Feldkappe)として山岳帽が採用された。この時点で特徴的な防寒覆いを備えていた。1871年、ひさしを革で補強した新型野戦帽が歩兵および砲兵向けに採用された。


Feldkappe1.jpg  

こちらが、ネットで拾ったオーストリア=ハンガリー帝国軍国土防衛隊のFeldkappeの写真です。
防寒覆い=フラップが前合わせになっている点はドイツ軍の山岳帽と同じです。

Alpenkorps1.jpg 
こちらは帝政ドイツのアルペン軍団(Alpenkorps)兵士。写真ではよく分かりませんが、同じく山岳帽を被っています。

第一次大戦後、山岳帽はスキーや登山時の防寒帽として民間でも使用されることになります。
1930年代のスキーウェアの広告
60.jpg 

防寒性にすぐれた山岳帽はヴェルサイユ条約を破棄し再軍備を進めるナチスドイツ軍でも採用されることになります。

Bergmutze_0.jpg 
こちらは1935年発行のREIBERTに掲載されている制服と階級章のイラスト。(STEINER氏提供) 
この頃には戦中と同じデザインの山岳帽が既に存在していたことが分かります。

ところでライヒスヴェアからヴェアマハト=国防軍に移行するに伴い、1934年2月に制定された国家鷲章を制服の右胸や帽子に縫い付けることが義務付けられましたが、このイラストにはそれ以前の装備も記載されている点が興味深いです。

Bergmutze_1.jpg 
こちらの写真もSTEINER氏からの提供です。エーデルヴァイス章がまだ部隊章として正式に採用される前の山岳猟兵です。(エーデルヴァイス部隊章の採用については後述)
なお山岳猟兵が着用しているのは襟の色と胸の国家鷲章からM34野戦服と思われます。(袖は礼服と同じ折り返し?)

それでは山岳帽の詳細部分を見ていきましょう。

山岳帽1-2 
山岳帽には様々なバリエーションがありますが、こちらはオーストリアやバイエルン地方出身の山岳猟兵に支給されたオストマルクタイプで、他に比べてバイザーが短く、フラップが幅広になっているのが特徴です。

山岳帽5-2 
ベンチレーション用の穴は2x2=4個です。穴が4個というのは、山岳帽の特徴の一つとなっていますが、2個、あるいは無しの山岳帽も存在しています。

山岳帽15-1
初期の青味の強いフィールドグレイのラシャ生地で作られています。


山岳帽2 
帽章は戦中に作られたフィールドグレイのT字型です。他にも初期のダークグリーン地に白糸で刺繍したT字型、鷲章と国家章(コカルデ)が別パーツになったタイプ、M43規格帽に多い逆台形(Trapezoid)の帽章があります。
この帽子のフラップの前合わせは角ばったタイプですが、1930年代の山岳帽のフラップは丸みを帯びています。


山岳帽28 
帽章のクローズアップ。T字型は手縫いが基本ですが、以前紹介したM43規格帽の縫い付け方とは違います。

山岳帽29 
この山岳帽の前合わせのボタンはタグア椰子(独 Steinnuss)で作られています。南米エクアドル産のタグア椰子は別名、象牙椰子(英 Ivory nut)と呼ばれており、古くからヨーロッパで象牙の代用としてボタンやアクセサリーに使用されていました。タグア椰子の他にアルミや樹脂製ボタンのバリエーションもあります。


山岳帽14 
ボタンを裏側から見たところ。糸通し用の溝が掘られています。

山岳帽7-1
ボタンを外してフラップを下したところ。フラップが幅広になっているので、頭部の大部分を覆うことができます。


山岳帽16   
第2山岳猟兵師団第79砲兵予備大隊のオリジナルアルバムから。右側の兵士が被っている山岳帽はフラップが下がった状態です。

続いてエーデルヴァイス部隊章

山岳帽12-2 
山岳帽のエーデルヴァイス部隊章は1939年5月2日に野戦服用記章と共に制定されました。(H.V.39B, Nr. 196)。
本体は亜鉛合金製で中心部分は鉄製の2ピース構造になっております。山岳帽に縫う糸を通す穴が5つあり、帽子へ直接糸で縫われていますが、初期はダークグリーンの台布が間に入っています。

山岳帽5
なお、エーデルヴァイス部隊章の起源についてWikipediaには下記のような記述があります。
両国(注:オーストリア=ハンガリー帝国とドイツ帝国)の山岳猟兵は薄雪草(エーデルヴァイス)の部隊章を共有している。それは1915年5月、南方戦線においてイタリアの攻勢に対し守備していた国土防衛隊にアルペン軍団が救援として駆けつけたとき、国土防衛隊が感謝の意を込めて彼らの部隊章(エーデルヴァイス)をアルペン軍団の兵たちに送ることで敬意を表したことに始まる。エーデルヴァイスは1907年、オーストリア=ハンガリー帝国国土防衛隊のシンボルとして、皇帝フランツ・ヨーゼフI世により制定された。これら部隊は制服の襟にエーデルヴァイスを着けている。

このようにエーデルヴァイスは元々はオーストラリア=ハンバリー帝国国土防衛隊のシンボルで、後にドイツ帝国、そしてナチスドイツ軍の山岳猟兵の部隊章になったとのことです。

M35tunic52.jpg 
こちらは布製の記章。山岳猟兵の野戦服の袖に縫い付けられています

話は変わりますが、陸軍のM43規格帽は山岳帽をベースに作られたとされています。
M43cap1-1_2016100821202821e.jpg
M43規格帽には山岳帽や略帽にあったベンチレーション用の穴が省略されています。戦争末期になると陸軍の鍔付き帽子はさらなる生産性向上の為、M43規格帽に統一されますが、エーデルヴァイス部隊章は山岳猟兵のシンボルとして終戦まで使われ続けます。

山岳帽8
この帽子の内装はテーラーメイドのような造りになっていますが、このような仕様は他の官給の山岳帽でも見られます。
バイザーの裏面も含めてコットンで内張りされており、制帽のような革製のスウェットバンドが付いています。

山岳帽11 
ライナーに押されたスタンプ。ミュンヘンで製造され同地の被服廠に42年に納品されたことが分かります。サイズは53cmです。それにしてもこの山岳帽の持ち主はかなり頭が小さかったようです。

ところで山岳帽は右耳から1cm上(指一本分)、左耳からは3cm上(指三本分)、右の眉毛から1cm上に被るよう規定されていたそうです。(この規定は略帽の被り方と同じです)

山岳兵1 
当時の写真を見ると、前線でも山岳帽を被っている山岳猟兵が圧倒的に多く、山岳帽に対する拘りというか愛着をすごく感じます。まぁ、さすがに戦闘中はスチールヘルメットを被っていたでしょうけど。
しかし登山(訓練)中も山岳帽を被っている写真を見ると、果たして落石などから頭を保護できたのかと不思議に思ってしまいます。


二人の山岳猟兵が「殺人の壁」に挑む映画、『アイガー北壁』。あの時、ヘルメットを被っていれば・・・

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官給腕時計(Dienstuhr)

オク用の写真を撮影したら、図らずもシブい画になったのでアップします。

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ARSA (オーガストレイモンド)
1898年にオーガスト・レイモンドによってスイスジュラ渓谷のトラメランに創立。
ムーブメント「ユニタス」を開発したことで有名。

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ちなみに『ARSA』はAuguste Reymond SAの意味。

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歴戦の勇士って感じで良いですね。(壊れていて動かないけど・・・)



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M35書類ケース (Meldekartentasche 35) Part5

ドイツ軍の書類ケースの左側にはヨコ6cm xタテ19cmサイズのポケットがありますが、このポケットに何が入れるのか?コレクターの間では様々な意見が交わされております。

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以前このブログでは、セルロイド製の分度器を収納できると紹介しました。

map11_20121015045148.jpg

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確かにぴったりなのですが、この分度器自体一般的なアイテムでは無く、どうも本来左ポケットに入れるアイテムでは無さそうです。

書類ケースの中身を指示した教本や当時の写真があれば良いのですが・・・

ドイツ軍装資料本を見ると、木製の定規らしきものがポケットには挿入されています。
mapcase7_20160717133714274.jpg


ネットにアップされている写真を調べてみると、木製の定規を収納していることが多いです。

kurvenmesser 01

mapcase6.jpg 

このようなシンプルな定規は多目的に使われるので、書類ケースには間違いなく入っていたでしょうし、サイズ的にも問題ありません。

上記の写真と同じタイプの木製定規を入手しました。
mapcase10-1.jpg
問題なく収納できます。しかし左ポケットの幅は定規には少し大きいし、わざわざ一般的な定規に専用のポケットを作るのかどうか??どうもすっきりしません。

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そんなある日、某フォーラムで左ポケットの正規アイテムはSchußweitenmesser(射程距離計)では、というコメントを発見しました。

MAP CASE RULER_EF_#547_1938 
画像検索すると、こちらが“Schußweitenmesser”のようです。
目盛と10万分の一のSchußweiten=射程距離が刻まれています。写真ではスチール製のように見えますが、プラスチックかも知れません。

本当に正規アイテムなのか、左ポケットにぴったりと収まるのか入手して試してみることにしました。(と、簡単に書いていますが、入手するのにかなりの費用と時間を要しました・・・)

mapcase13-1.jpg
こちらが苦労して手に入れた射程距離計です。表側?には Höltgebaum & Heinicke AG Berlin N.W.7(所在地)の刻印、反対側には22cmの目盛り、重火器とその射程距離が刻まれています。材質は薄いスチール製です。


mapcase3_20160717135312978.jpg



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おー、左ポケットにジャストフィットです。全く隙間がありません。
やはり、この射程距離計が正規アイテムなのかも知れません。


mapcase16.jpg

射撃距離計のクローズアップ写真
重火器の種類とそれぞれの有効射程距離の表示があります。

射程距離が短いものから、l.M.W、m.M.Wとあります。

mapcase16_20160717135651568.jpg 
M.WはMinenWerfer=迫撃砲のようです。(lはleichte, mはmittlererの意味でしょうか)

“s.M.G”は言わずもがなですね。
smg.jpg

ちなみに一番射程距離の長いのは15cm K.16 (15cm カノン砲 16型)」で22キロとなっています。

他にもF.K 16(FeldKanone 16型)が表示されているので、このスケールは戦前に作られたようです。
一次資料が無いので断定はできませんが、この射程距離計が書類ケースの標準装備アイテムとしても不思議では無いでしょう。


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軍靴の手入れ用品(Stiefelpflege und reinigung)

どの国の兵士も入隊と同時に軍靴を官給品として支給され、銃と同じく命の次に大切に扱うよう厳しく教え込まれました。
国民の血税で購入した軍装品を粗末に扱うべからずということと、靴を常にメンテナンスすること=重要な移動手段である足を保護するという2重の意味だったのでしょう。
本日はドイツ軍兵士が使用した靴のお手入れ用具と関連用品を紹介したいと思います。

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まずはお手入れ用具の基本であるブラシ(Bürste)です。ブラシには1.靴に付いたほこりや汚れを落とす、2.靴クリームを革に塗り込む、3.靴クリームを落とし磨く、という3種類の用途あります。

 
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こちらは3種類のブラシがポーチに入ったセット。上から1. 汚れ落し用ブラシ、2. 靴クリームを塗るブラシ、3. 磨くブラシの順番になっています。
ところで専門家によれば保革クリームは指で温めながらゆっくりと塗り込む方法がベストらしいのですが、どうしてもムラが出来てしまうので広い範囲に万遍なくという場合はブラシが良いそうです。

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兵営内での靴の手入れ。ブラシの形状から靴クリームを半長靴と編み上げ靴に塗り込んでいるようです。

次は靴クリーム(Schuhcreme)を見ていきましょう。

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こちらは直径約8cmの缶に入ったCamilloというブランド名の靴クリームです。

bootscaregoods6-2.jpg

中にはクリームが少し残っており、今でも使えそうです。
この靴クリームは靴以外の革製品にも使えます。塗布することで革を保護し、防水性を高めることができますが、塗りすぎると逆に革をダメにしてしまうのでベタベタしない程度に塗ることが肝心です。

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REIBERTには革製品の手入れ方法の記述があります。
図にはシャフト(すねとふくらはぎ部分)や踵はポリッシュし、足首と甲部分はクリームを塗り込むこととあります。

・Mica kit
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こちらは身嗜み用品がコンパクトなアルミケースに収納された便利な「Mica」キットです。当時兵士には人気で酒保などで購入することができました。

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商品名の「Mica」の刻印のある方の蓋を開けると、髭剃りや歯磨き、整髪などの身嗜みに必要なもの全てが収納されています。

micakit4-1.jpg  
このケースは両開きとなっており、D.R. PATENT (ドイツ帝国特許)が刻印された側を開けると、靴のメンテナンス用具が入っています。

micakit8-1.jpg  
中身を展開したもの。

micakit7-3.jpg   

4種類のブラシに靴クリームの容器が収納されています。黒いブラシは靴用、白いブラシは爪磨きか洗濯用と思われます。なお、この持ち主は一番下のブラシを衣服用として使っていたようで、鉛筆で(Kleider-Bürste)と書かれています。


bootscaregoods14.jpg

靴クリーム用のケースは両蓋になっており、反対側にはポリッシュ用の布が入っています。


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このmicaキットは飯盒に入れて持ち運ぶことができるよう設計されています。
靴の手入れ道具を飯盒に入れて運ぶというのは、現代の感覚ではかなり違和感がありますが、空きスペースを少しでも有効活用するというアイデアだと思います。
(micaキットについては別途詳しく記事にする予定です)

・ブーツ脱ぎ器(Stiefelknecht)



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こちらはブーツを脱ぐ際に使用する器具です。上記は折りたたんだ状態で、使用するには収納されているアームを左方向に展開します。

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Y字の部分でブーツの踵を引っ掛け、スタンドに片足を乗せてブーツを脱ぎます。
靴べらと同じくこのような専用器具を脱着に使うことで、ブーツを不必要に消耗させないようにすることも重要です。

・Fuss Poder

fusspuder5.jpg
外側のみならず内側の湿気も靴にとっては大敵。フットパウダー(Fuss-Puder)で足の汗を防ぐことも靴の状態を保つには効果的です。
(ちなみに下記はベビーパウダーなのですが、傷口をふさぐのにも使用できるようです)


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この他、シューキーパーも一般的なシューケアアイテムです。ただし携帯性を考えると果たして戦場に持って行ったかどうかは疑問ですが・・・。

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脳内の99%をドイツ軍が占めている、そんなアラフィフ親父です。
注)当時のドイツ軍の装備・生活用品に興味がありますが、特定の団体・思想を支持するものではありません。

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ドイツの軍用銃の専門書でビジュアル的に見ていて楽しい

ドイツの小銃拳銃機関銃―歩兵兵器の徹底研究 (光人社NF文庫)
ドイツの小銃拳銃機関銃―歩兵兵器の徹底研究 (光人社NF文庫)
ドイツ軍用銃のバイブル的な書。ドイツ軍スナイパートップ3への一問一答が興味深い

Feldbluse: The German Soldier's Field Tunic, 1933-45
Feldbluse: The German Soldier's Field Tunic, 1933-45
M33からM44までドイツ陸軍の野戦服を網羅。特にM36以前の野戦服は必見

Rations of the German Wehrmacht in World War II
Rations of the German Wehrmacht in World War II
とにかく当時のドイツ兵が食べていた糧食にこだわった一冊

武器と爆薬―悪夢のメカニズム図解
武器と爆薬―悪夢のメカニズム図解
迫撃砲はどうやって砲弾を飛ばすのか?小銃擲弾は?ほかにも大砲や爆弾のしくみを源文マンガでわかりやすく解説

グラフィックアクション GRAPHIC ACTION 1993年 No.17
グラフィックアクション GRAPHIC ACTION 1993年 No.17
このシリーズは市場で見つけたら買うべし

ドイツ武装親衛隊軍装ガイド (ミリタリー・ユニフォーム)
ドイツ武装親衛隊軍装ガイド (ミリタリー・ユニフォーム)
WSS専門だけど全部実物!

鼠たちの戦争〈上〉 (新潮文庫)
鼠たちの戦争〈上〉 (新潮文庫)
映画「スターリングラード」の原作本的な内容だが100倍面白い

鼠たちの戦争〈下〉 (新潮文庫)
鼠たちの戦争〈下〉 (新潮文庫)


スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943 (朝日文庫)
スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943 (朝日文庫)
塹壕から故郷へ送った兵士の手紙が興味深い「クリスマスはドイツ風に」の章は涙なくしては読めません

ケルベロス 鋼鉄の猟犬 (幻冬舎文庫)
ケルベロス 鋼鉄の猟犬 (幻冬舎文庫)
ヒトラーが暗殺された後の撤退戦を描いた架空小説。小道具にこだわるところがマニアっぽい

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