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M38ヴィントブルーゼ(Windbluse 38)

こんにちは、エーデルマンです。ゴールデンウィーク終盤、いかがお過ごしでしょうか?今年は去年同様、巣ごもりされているのでしょうか?或いは政府に反旗を翻して観光地へ繰り出している方もいらっしゃるのかも知れません。私は近所の公園をブラブラしたり、瞑想にふけったりとのんびり過ごしております。

本日は山岳猟兵(Gebirgsjäger)に支給されたM38ヴィントブルーゼ(Windbluse 38)をアップします。

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このヴィントブルーゼは長らく探していたアイテムで、偶然見つけた時は嬉しさのあまりツイッターで呟いてしまったほどです。
初めてM38ヴィントブルーゼの存在を知ったのは、左側に掲載した"雪洞で休息する山岳猟兵"の写真です。胸ポケットが2つであること、右胸に国家鷲章があることからM42ヴィントブルーゼとは違うのは一目瞭然でしたが、当初導入年や名称等は不明でした。


The German Mountain Army Soldier of WWII
Wade Krawczyk Bart Jansen
The Crowood Press UK
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最終的にはお馴染み『The German Mountain Army Soldier of WWII』でM38ヴィントブルーゼについての情報を得ることができました。
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92ページ目にはM38ヴィントブルーゼが掲載されています。ポケットの数が3つや胸章が無いことから、つい最近まで完全に別のタイプと思っていました。(英語の説明は面倒なので読まないタイプ)

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赤いラインのところには、1938年に山岳部隊専用として初めて導入されたアイテムでM42ヴィントブルーゼの先行モデルと紹介されています。

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こちらには3つポケットの他に“2つポケットのバリエーションも見られる”と書かれています。

さらに"当時の写真で見られるような胸や袖の国家鷲章は個人で縫い付けたもので規定通りではない"と説明書きがあり、雪洞の山岳猟兵が着ているM38ヴィントブルーゼは完全にイレギュラーだったことが判明しました。

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確かにこちらの写真のM38ヴィントブルーゼには国家鷲章が付いていません。ちなみに手袋は模様から個人所有のものでしょうか。

それでは、M38ヴィントブルーゼの細部を見て行きましょう。

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首元はレースアップで、襟とフードの開口部を調整できます。いくつかの鳩目で白いセルロイドのコーティングが外れているのが分かります。

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内部にはフラップがあり風雨の侵入を防ぐことができます。内側にはフラップを留めるボタンが一つあります。

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胸ポケットには波型の雨蓋にプリーツが付いています。

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胸ポケットの大きさは190mmx160mmで、スノーゴーグルが余裕で入りそうです。

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後ろ側です。ウエストを絞るドローコードが付いています。野戦服の上から着想する為、ゆったりした造りになっています。着丈は膝上までとなります。

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袖口は絞れるようになっています。

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袖口の調整はフリクション付きバックルで行います。

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M42ヴィントブルーゼ(右)との比較。こちら側から見た感じでは全く同じ造りです。
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こちら側から見ると、留め板の形状が微妙に違っています。
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こちらは裏返した状態です。M42ヴィントブルーゼと違ってリバーシブルではありません。

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M42と同様に、裾を固定するストラップが付いています。

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『A.R.3』(Artillerie-Regiments3)のシュテンペルが押されています。このシュテンペルは戦後にノルウェー軍によって押されたとされているものの確証はありません。

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フード内部に押されたシュテンペル。残念ながら判読不可能です。

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M38ヴィントブルーゼは1941年に生産終了となり、前述の通りM42ヴィントブルーゼに山岳猟兵のメインアウターの座を譲ります。


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M43野戦服 (Feldbluse 43) 末期タイプ

こんにちは、エーデルマンです。明日から3度目の緊急事態宣言が発出されることになりました。私の住む地域は対象外とは言え、東京は仕事先ですし、また実家が大阪なので家族、親族がいつ感染してもおかしくない状況です。今話題の変異株は若年層にも重症化しやすいようで、ティーンエイジャーが3人もいる我が家はより一層感染予防に気を付けなければなりません。幸い子供たちは私に似ず?に、インドア派ですが油断大敵です。

さて、本日はえっさいさんから非常に珍しいM43野戦服をお借りしたので、そちらの紹介記事となります。(えっさいさん、貴重なコレクションの写真を掲載することを快諾いただき誠に感謝いたします)

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はい、これぞ正しい43年型の野戦服です。プリーツ無しのポケットに、直線的なカットの雨蓋、台布なしマウスグレー共通兵科色の襟章、そして見るからにゴワゴワした生地、海外で良く言われる"Hard to upgrade"、訳して"これ以上はアップグレードできない"素晴らしいコンディションの野戦服です。
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後ろ側を見てみましょう。前側が綺麗な野戦服でも、後ろ側は意外と虫食いやひっかき穴が多かったりするのですが、こちらの服は非常に良いコンディションが保たれています。後ろ側にはザイテンハーケンが付いています。
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内装(ライナー)はこれまた後期の典型的なレーヨン製(あるいはペルロン製)で人工絹と言われるように、光沢感が美しいです。

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サイズとメーカーのシュテンペル。RBNrは0/0750/0078と読めます。最初の一桁の産業、次の4桁は場所、最期の4桁はメーカーコードを表します。この服は0は軍儒工業、0750はStuttgart、0078はWilhelm Bleyle KGで生産されたようです。

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Wilhelm Bleyle KGは1889年にStuttgartに設立された服飾メーカーで、上記の写真の通り子供向けのセーラー服で事業を拡大しました。
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既にお気づきの通り、こちらの野戦服はM43野戦服によく見られるフェルトグラウ44やイタリア生地とは違う色で染色されております。写真では分りづらいかも知れませんが、パンツァーグラウに近い色です。

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こちらの写真が一番実物に近い色かも?パンツァーグラウで塗装されたザンテンハーケンと比較すると色合いが近いことが分かります。

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国家鷲章は末期タイプです。

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肩章のパイピングは歩兵科で、連隊番号の刺繍のあるストラップが付いています。
撮影時には気づかなかったのですが、263連隊はスペイン義勇兵で結成された青師団(Blau Division)の所属部隊となります。

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Wikipediaによれば青師団は1941年6月24日、ヒトラーはスペインから義勇兵の受け入れを承認。将校2,612名、兵士15,492名で総勢18,104名が7月にドイツへ入国、国防軍第250歩兵師団麾下の4個歩兵連隊に配属されます。バルバロッサ作戦では北方軍集団に組み入れられ、レニングラード包囲戦に参加します。

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当初、ドイツ軍はスペイン人の義勇兵には期待していませんでしたが、勇敢な戦いぶりから師団の評価が高まっていきます。
1943年11月3日にスペイン政府から帰国命令が出ますが、約3,000人の将兵は残存、ドイツ軍(第3山岳師団、第357歩兵師団)に加わり、ユーゴスラビアで対パルチザンや対フランスレジスタンスとの戦いに従事します。また一部の将兵(約140人)は第11SS義勇装甲擲弾兵師団 ノルトラントに加わり、ソビエト赤軍とのベルリン攻防で最期の日まで戦います。

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ちなみにメキシコ時代に知り合った青師団コレクターのハイメ(左)はスペイン系メキシコ人で彼の祖父の長兄はスペイン義勇兵に志願、青師団、そしてノルトラントに所属しベルリン攻防戦で戦死したとのこと。写真の中で彼が抱えているのは、デミヤンスクで発掘したという青師団のヘルメットでちゃんとスペイン国家色のデカールが残っていました。

青師団は解散時にドイツ軍から支給された装備は全て返却したようなので、義勇兵が記念に持ち帰ったストラップが戦後どこかでM43野戦服と組み合わさったのか、或いは残存したスペイン義勇兵が新たに支給されたM43野戦服に付けたのか・・・。
オーナーのえっさいさんによれば、購入時からストラップはこの野戦服に付いていたそうです。263連隊のストラップはそれだけで大変な価値があるので、戦後にわざわざ組み合わせたとは考えづらく、個人的には後者の可能性が高いと思います。


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クライミングシューズ(Kletterschuhe)

こんにちは、エーデルマンです。受験生を持つ全国の親御さんお疲れさまでした。唐突に何を?と思われたと思いますが、実はこのたび長男が無事に都内の某大学に進学することになりまして、年末からのピリピリした環境からやっと解放された、そんな状況です。まぁ、大変だったのは長男で私は特別何もしていませんが・・・
しかしホっとしたのも束の間、大学から送られてきた授業料の振込用紙を見てじぇじぇじぇ!(古い)、思わず軍装品だったらアレやコレが買えるのに。。と呟いてしまいました。

これから節約・倹約生活が始まるので、軍装品にかけられる予算はグっと削られることは間違いなく、ブログの更新ペースも月1から数か月に1回、いや1年に1回になってしまうかも。まだまだ仕事を一所懸命に頑張るしかありませんね。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回紹介するのはドイツ軍山岳猟兵(Gebirgsjäger)のクライミングシューズ(Kletterschuhe)です。
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こちらはドイツ軍山岳猟兵に支給されたロッククライミング専用の靴です。

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ロッククライミングする高地山岳猟兵(Hochgebirgsjäger)。上の写真と同じタイプのクライミングシューズを履いています。

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クライミングシューズ本体はキャンバス地でつま先から甲、踵にかけて革で補強されています。いずれも薄い材質で作られており、軽量化されています。

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踵の無いソールがフラットな形状です。靴紐の裏地が革で補強されています。

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アッパー(つま先)もソールも右足の方が消耗が激しいことから、持ち主は右利きだったようです。
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クライミングシューズの特徴はこのフラットなソールにあります。ソールがフラットなのには理由があるようです。
フラットである理由は「静止摩擦係数 × 面積 × 加重=フリクション」という法則にあります。「フリクションが高い」とは、足が滑りにくいこと。つまり、ソール(静止摩擦係数)がフットホールドと広い「面積」で接するとフリクションは高くなります。この広い面積を出すためには、フラットなソールが有利なのです。
-山と渓谷社より(一部抜粋)-
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ソールのクローズアップ。フェルト製で鉄製の化粧釘で本体に固定されています。フェルトは激しく摩耗していますが、滑り止めの細い線が無数に入っていることが分かります。
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靴紐を通すアイレットは鉄製で8穴です。飛べ出ているのはシュータン(ベロ)で、泥や砂の混入を防ぎ、靴を足にフィットさせるのに非常に重要なパーツとなっています。

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インナーは薄い革製で地面から伝わるショックを十分に吸収できません。荒れ地を長時間歩くことを目的に作られた登山靴とは対照的です。

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内側には所属部隊、サイズ、メーカー名(或いは持ち主)のスタンプが押されています。上段から、I/GJR 100? 1286 37(個人認識番号?)、Größe: 27 1/2 Breite: 6Kurt DiebachHohnald???2.K

クライミングシューズにはいくつかのバリエーションが存在しているようです。

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上の写真は『The German Mountain Army Soldier of WWII』のページを拝借しております。後期のクライミングシューズ(右下)は全てスウェード製です。

The German Mountain Army Soldier of WWII
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こちらは、クレタ従軍カフタイトルで紹介した第100山岳猟兵連隊所属のFriedrich伍長のSoldbuchの装備品ページです。
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登山靴の隣にはクライミングシューズの項目がありますが、支給された記録がありません。通常、クライミングシューズは高地での山岳訓練に際してのみ支給されたようで、前線で使用されることはありませんでした。
クライミングシューズの横にあるHüttenschuheは、文字通り山小屋(Hütte)で履くフェルト製のスリッパのようですが、残念ながら私は実物を見たことがありません。

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こちらは第2山岳猟兵師団第79砲兵予備大隊のアルバムに貼られた写真です。同大隊はInsbruck近郊のMieminger で1942年7月8日から9月24日まで登山学校(Kletterschule)で訓練を受けています。

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リードグリーンの作業着を着た訓練兵が教官のOberfeldwebelからロッククライミングの指導を受けています。

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教官が履いているクライミングシューズは今回紹介した物と同じコットンと革のミックスのようです。左胸には山岳ガイド章らしきものが写っているので、山岳指導者(Bergführer)かも知れません。

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訓練兵のクライミングシューズは全て革製に見えますね。教官とは対照的に表情に緊張が感じられ、どことなくヘッピリ腰です。彼を見上げながら順番待ちしている兵士の不安な気持ちが伝わってくるようです。


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Bico身嗜みセット(Bico Kassette) Part2

こんにちは、エーデルマンです。本日は前回からの続きで、身嗜みセット『Bico Kassette』を取り上げたいと思います。
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こちらは小型バージョンとなります。(このブログでは便宜上、前回アップしたBicoを"大型"、今回のものを"小型"と呼ぶことにします)

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サイズは18cmx7cmx11cmで、小型バージョンと言っても前回のBicoと同じ長さ、奥行きが1cmほど短いだけでM31飯盒には入らないサイズです。
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前回の記事に載せたBicoの中身とその説明書のイラスト。中身が違うことが分かります。

さっそく小型バージョンの中身を見て行きたいと思います。
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こちらはロゴ側の蓋を開けた状態です。クシ、ハサミ、シェービングトレイ、歯ブラシ、替え刃コンテナー、シェービングブラシは大型バージョンと共通のようです。なお、写真には一部しか写っていませんが、同じく16cmx6cmの横長の鏡が所定の位置に入っています。
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こちらは小型バージョンのソーイングセット(Nähzeug)で、アルミのシートを折り曲げて作った大変シンプルな造りです。大型バージョンのソーイングセットと比べて明らかに省力化されています。

今度は逆側の蓋を開けてみます。
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靴磨きクリームのケースと乾燥ラック、ハンドブラシは大型バージョンと共通ですが、両端に収納されている黒毛のブラシの形状が違っています。
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黒いブラシは3種類で、収納方法はMicaと同じです。
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上から汚れ落とし用ブラシ(Schmutzbürste)、塗布用ブラシ(Auftragbürste)、磨き用ブラシ(Glanzbürste)です。
大型バージョンに入っていたヘアブラシ(Haarbürste)と被服用ブラシ(Kleiderbürste)は省略されています。
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Garantiert reine Borsten(100%豚毛保証)のスタンプと所有者の名前が手書きで書かれています。

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乾燥ラックは、2種類存在しているようです。左が小型バージョンに入っていたモノですが、一体構造で右のラックの様に蓋とトレイの開閉で石鹸のサイズに合わせた隙間調整が出来ません。
また、洗面用具を立てる穴の形状が微妙に違います。

なお、前回意味不明だった乾燥ラックについての説明文ですが、コメントでバッチリな訳文をいただきました(ライカが好きだったさん、ありがとうございます)
●Dünner werdende Seife mit dem Seifenfachdeckel festklemmen.
(薄くなっている石鹸は、石鹸仕切り蓋で挟んで固定せよ)

大型と小型バージョンが平行して販売されていたのは間違いなさそうで、大型バージョンは基本セットとして、小型バージョンは靴みがきを重視するユーザー向けに作られたのではないかと推察します。

こちらはBicoの取り扱い説明書です。(ネットで拾った写真をお借りしています)
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イラストやサイズ表記から小型バージョンの取り扱い説明書と分かります。この説明書はMicaのものとデザインが非常に似ていることに気づきました。

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こちらがMicaの取り扱い説明書です。大きな文字で書かれた宣伝文句はBicoが『小さなケースに充実した中身』となっていますが、Micaは『兵士の便利セット、兵舎、訓練、作戦に』と兵士が使用することを意識した表現になっています。その他、登録商標の位置や、中身についての記述は全く同じです。

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裏面には、下記が書かれています。(日本語に訳すのが面倒なのでドイツ語→英語翻訳のまま掲載します)

Bico made of aluminum is delivered with:
Removable aluminum insert,
Shoe shine and application brush (pure bristles),
Dirt (dust) brush made from La Fiber
Hand washing brush (pure bristles)
Drying set-up device (aluminum),
Double screw can (aluminum)
Mirror, covered with sheet metal 6x16cm
Rubber comb
Shaving soap box made of aluminum, vulcanized, in a nickel-plated case, shaving adapter made of aluminum,
Aluminum sleeve for toothbrush and cream,
Sewing box made of aluminum
Used parts can be ordered individually

Soap shoe creme, writing material, scissors, razor, blades, soap (Wolff shaving soap, fits 15 pfennigs in the box), toothbrush, creme (small tube), sewing equipment, quick bandage, required for completion, put in from your own possession

Bico costs RM 4.80 each with the items to be delivered for bulk orders of at least 12 pieces, freight and packaging free.
Postage will be charged for smaller quantities.

ここで注目したいのは、四角い枠の中に小さい文字で「石鹸、靴磨きクリーム、筆記用具、ハサミ、髭剃り、替え刃、歯ブラシ、歯磨き粉、ソーイングキット、救急絆創膏は自前で揃えるようお願いします」と書かれている点です。大型バージョンの方の説明書には、万年筆と葉書以外は同梱となっており、買ってすぐ使えるようになっているのに比べ、小型バージョンは自分で買って入れるようになっています。品不足でメーカーでさえこれらのアイテムの入手が困難になったのでしょうか?

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こちらはMicaの説明書です。右端に「初回購入時の費用をなるべく低くするため、一般商店で購入できる汎用的な石鹸、歯磨き、鉛筆、ペン、ハサミ、髭剃り、替え刃、髭剃りクリーム、歯ブラシ(ショートタイプ)、縫い針、糸、ボタン、救急絆創膏などは同梱されていません」と書かれています。品不足で同梱出来なかったのではなく、単に購入者の懐具合を考えての配慮だったんですね。

ところでBicoが4.8ライヒスマルクでMicaが6ライヒスマルクと値上がりしています。材料費は間違い無くBicoの方がかかると思いますが、材料のアルミニウムの高騰で値上げせざるを得なかった、そう考えると納得できますね。(MicaはM31飯盒に合わせて新しく設計されたとされてますが、意外に省資源モデルだったりして)


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Bico身嗜みセット(Bico Kassette) Part1

明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願いします。
連休も引き続きステイホームのエーデルマンです。首都圏はコロナ感染者数が2,000名を超え緊急事態宣言が発令、北陸の方は記録的大雪とのことで年明け早々大変な状況です。今後の無事を祈るばかりです。

本日は身嗜みセット『Bico Kassette』を紹介したいと思います。
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ロゴは一見"Lico"に見えますが、ジュッターリーン体なので"L"では無く"B"です。"Bico"自体に意味は無く商品名称のようです。“Kassette”は小さな箱という意味で、文字通りアルミ製の小さな箱に身だしなみアイテムがコンパクトに収納されています。
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ドイツ軍兵士が使用した身嗜みセットと言えば『Mica』が有名ですが、Bicoはその兄貴分のような存在です。Micaに比べて認知度は低いですが生活用品マニアの間ではコレクターズアイテムになっています。
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Bicoが製品化された時期やMicaとの併売期間など詳しくは分かっていませんが、本体の大きさがM1910飯盒に合わせて作られていることから第一次大戦前後に発売されたと推測されます。

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こちらはロゴ側の蓋を開けたところです。※中身は取り除いています。中は間仕切りされているので様々なサイズのアイテムを限られた容積に効率よく収納することが出来ます。またアイテムの有無が一目で分るので収納し忘れ防止になります。 

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こちらは反対側の蓋を開けたところです。

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間仕切りは洗浄、乾燥させやすいよう本体から取り外し可能です。

こちらはBicoの取り扱い説明書で、注意書きに加え内容物がイラスト付きで描かれています。まずはロゴ側の中身から。
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左列:Schnellverband(救急絆創膏)、*) Fullhalter(万年筆)、Bleistift(鉛筆)、Spiegel(鏡)、Rasiernapf(シェービングトレイ)、Zahnbürste und -krem(歯ブラシと歯磨き粉)
右列:Postkarten*)(葉書)、Notizbuch(手帳)、Schere(ハサミ)、Kamm(クシ)、Mullbinde(ガーゼ)、Rasierapparat, -klingen und pinsel(剃刀、替え刃とシェービングブラシ)、Nähzeug(ソーイングセット)
*) werden nicht mitgeliefert(*)は含まれていない)

取り扱い説明書の画像をクリックすると拡大します。
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●So einfach ist die Handhabung der Bico kassette.
(Bicoセットの取り扱いはとても簡単)
●Öffnen der Bico-kassette durch Druck des Dauments gegen die Kastenwand, dann Deckelheben.
(親指をケースの壁に押し付けてから蓋を持ち上げて、Bicoセットを開く)
●Beim Einpacken genau nebenstehenden Abbildungen beachten.
(収納の際は、右のイラストに注目)
●Nasse Gegenstände vor dem Einpacken abtrocknen.
(収納する前に濡れたものは乾かすこと)
●Dünner werdende Seife mit dem Seifenfachdeckel festklemmen.
(薄くなっている石鹸は、石鹸仕切り蓋で挟んで固定せよ)

・救急絆創膏(Schnellverband)
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救急絆創膏はハサミで適当な大きさに切って使用します。『HANSAPLAST』はドイツ製絆創膏メーカーの商標で“バンドエイド”のようなものです。

・鏡(Spiegel)

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16cmx6cmの横長の鏡です。ドイツ軍で使用された鏡はこちらでも紹介しています。

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●Spiegel so aufstellen...(鏡はこのように収納)
鏡専用の隙間がありすっぽりと収まります。遊びが無いのでケースを落としても割れない一方で取り出し難いのが難点でしょうか・・・


・シェービングトレイ
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シェービングトレイに石鹸を入れ、髭剃りブラシで泡立てます。こちらはニッケル製です。

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BicoかMicaか識別不能ですが、非常に珍しい身嗜みセットが映った写真。鏡とシェービングトレイが写っています。熊のマークは有名な第510重戦車大隊でしょうか。

・歯ブラシ、歯磨き粉ホルダー
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こちらのケースには歯ブラシとチューブタイプの歯磨き粉が収納できます。歯ブラシを入れる側には、丸い穴が開けられていて乾燥を早めます。
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●Zahnbürste und -krem am Bürstenstiel herausnehmen.(ブラシの柄を使って、歯ブラシと歯磨き粉を取り外す) 
衛生上、口に入れる歯ブラシをこのようなケースで保護できるのは少し安心ですね。なおKOH-I-NOORは有名な文具具メーカーでこちらでも取り上げていますが、歯ブラシまで生産していたとは知りませんでした。

・葉書(Postkarten)

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葉書は個人で買って入れることになっています。筆記用具を入れることが出来るのはケースが防水になっているからでしょうか。なお写真は野戦郵便(Feldpost)でこちらで記事にしています。

・手帳(Notizbuch)
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手帳はMicaと同じタイプです。マス目が印刷されており、文字以外に地図なども記述できます。

・ハサミ(Schere)
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●Schere (bis 15cm länge) mit einem Griffschenkel durch den Schlitz im Schreibzeugfach schieben.(ハサミ、長さは15cmまでとする、の片方のハンドルをスリットに入れる)
ハサミは救急絆創膏や縫い糸、髭を揃えたりする際に使用します。写真では見えづらいですが、SOLINGENの刻印が入っています。

・クシ(Kamm)

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長さ17.5cmでプラスチック製です。Bico純正品がどうかは不明です。

・剃刀、替え刃、シェービングブラシ(Rasierapparat, -klingen und pinsel)

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●Rasierapparat mit dem Klingenhalter an die Schmalseite der Kassette legen.(剃刀を替え刃コンテナーと一緒にケースのスペースに収納する)


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替え刃は錆びないようマッチ箱サイズのコンテナーで保管します。10枚程度は余裕で入る容量です。


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●Rasierpinsel auf den Griff des Apparates legen.(シェービングブラシをハンドルに取り付ける)
散弾銃の実包のようなケースはハンドルにもなります。丸い水抜き穴の開いた蓋を外してケースからブラシを取り出し、スクリューネジで固定します。

・ソーイングセット(Nähzeug)
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11cmx3cmのアルミ製のケースです。上蓋には針など鋭利なもので花模様と文字が彫られていますが、意味は不明です。
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ケースの中には糸や針、ボタンなどが入っています。上蓋の裏にも持ち主の名前と所属部隊が罫書かれています。ちなみにこのケース、紛失が多い為か、欠品率が高いアイテムの一つになっています。

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こちらは全てのアイテムをイラスト通り入れた状態です。
手前味噌ですが、これまで出版物やブログ、或いはフォーラムでもこのように全てのアイテムが収納された再現写真が掲載されたことは無かったと思います。

それでは反対側の中身を見て行きましょう。こちらも取り扱い説明書のイラストを参考にします。
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左列:Haarbürste(ヘアブラシ)、Handwaschbürste(ハンドブラシ)、Doppel-schraubdose für Krem(靴磨きクリーム用の両蓋ケース)、Auftrag- und Glanzbürste(塗布と磨き用ブラシ)
右列:Kleiderbürste(衣服用ブラシ)、Trockengestell mit Rasierseifen-Kästchen(髭剃り石鹸箱付き乾燥ラック)、Seife、石鹸、Schmutzbürste(汚れ落とし用ブラシ)

・ブラシ一式(Bürsten)
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●Die Schuhputzbürste besteht aus Schmutz-, Auftrag- und Glanz- bürstenteil; letzterer ist höher als die anderen Teile und gestattet bequemes Blankputzen.(靴磨きブラシは、汚れ落とし、塗布、磨きブラシで構成されている。 後者は他のブラシ部よりも毛が長い為、簡単に磨ける)

・靴磨きクリーム用の両蓋ケース(Doppel-schraubdose für Krem)
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●Doppelschraubdose auf einer Seite mit Schuhkrem füllen, die andere mit Gewehrfett, Sonnenschutzkrem u. ä.(両蓋ケースには靴磨きクリーム、もう片方には銃グリースもしくは日焼け止めなどを入れる)

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二重蓋になっており靴磨きクリーム以外を入れることができます。
ちなみにMicaに入っているケースにも"Bico"のケースが入っています。恐らくBicoの在庫を使ったものと思われます。

・髭剃り石鹸箱付き乾燥ラック(Trockengestell mit Rasierseifen-Kästchen)
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歯ブラシなどにアイテムに合った穴が開いていて、立てた状態で乾燥させます。下のトレイには髭剃り用石鹸を収納できます。
 
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●Zahnbürste, Seife, Rasierpinsel und Handwaschbürste trocknen wie abgebildet aus:(歯磨き、石鹸、シェービングブラシとハンドブラシは図のようにして乾燥させる)

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Bico専用のブラシはいずれも残存率は高くありません。特にハンドブラシの欠品率は高く、隙間を埋める為にMicaのハンドブラシで代用しようとしても寸足らずでスカスカです。

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登録商標 "D.R.PATENT AUSLANDSPATENTE"

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上蓋の表面にシボの付いたタイプのBicoも存在しています。フラットが初期、シボ付きが後期とする意見もありますが、Micaにもフラットとシボ付き両タイプが存在しているのでバリエーションとして並行販売されていたと考えられます。

最期に取り扱い説明書に赤で囲ったイラストをよく見ると、これまで紹介してきたBicoとは違うタイプであることが分かります。
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イラストを拡大してみます。
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イラストにはソーイングセット(Nähzeug)が描かれていますが、左側にあるはずのヘアブラシがありません。
実はBicoにはもう一つ別のバリエーションがあり、そちらも併せて描かれているようです。今回ブログ記事にする為にスキャナーで取り込んで初めて気づきました。

このバリエーションについては次回の記事でアップしたいと思います。


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M39背嚢 (Tornister 39) Part2

こんにちは、エーデルマンです。皆さま、静かな年末年始いかがお過ごしでしょうか?Go toキャンペーンは昨日から一時停止となり、各交通機関の込み具合は去年の半分以下になっているようですが、それでも半分の人は里帰りや旅行するんだなぁと思った次第です。まぁ逆に空いている今こそチャンスかも知れませんね。

さて本日はドイツ国防軍のM39背嚢(Tornister 39)と、背嚢の中身のアップデートとパッキングを再現したいと思います。
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こちらは1941年製のM39背嚢ですが、ドイツ軍の一般的な背嚢とは違って上蓋には毛が付いていません。

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こちらは以前こちらで記事にしたM39背嚢ですが、動物(馬や牛)の毛が上蓋に付いています。背嚢が別名"Affe”(独:サル)なのは、この毛むくじゃらの外観からです。
キャンバス地の上蓋は熱帯用とする意見もありますが、このような背嚢は第一次大戦中の背嚢や準軍事組織向けでも存在しているので、恐らく省力化されたモデルだと思います。
Tonister7-3.jpg 
構造は箱型で取り出し易く、メインルームの開口部が広くなっています。

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背嚢上部にはYサスペンダーおよびAフレームと結合するDリングが付いています。Yサスペンダー用フック付きDリングは別パーツになっていて取り外し可能になっています。

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リベットピンの樹脂製のヒモを引っ張り、留め金を垂直の状態にして外します。

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Tonister11.jpg
このように取り外し可能になっているのはDリングの位置を調整する他に、Yサスペンダーが無くても背負ストラップに交換すれば使えるようにする為です。

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革の部分に打たれた刻印。"MAX MUELLER NURNBERG 1941"

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下部にはYサスペンダー用のフック付きDリング、上蓋とメインルームのフラップを本体に留めるベルトが付いています。

conbat magazine-a
こちらは『コンバット★マガジン』1986年4月号の付録ポスターです。ドイツ歩兵装備のイラストとその名称がドイツ語の発音付きで載っており、M39背嚢も描かれていました。と、M36野戦ズボンでも書きましたが、このポスターは私にとってドイツ軍装の参考書であり、ここに書かれた装備を揃えることが目標でした。

最期に『背嚢の中身』のアップデートです。(←のリンクをクリックして8年前と比べてみて下さい)

Tonister12-6.jpg

背嚢を中心として時計回りに、プルオーバーシャツM31飯盒飯盒カバー洗面用具タオル、石鹸、くし、歯磨きセット、、髭剃りセット)、M40オーバーコート、装備ストラップ、編上げ靴、靴下、乾パン(ツヴィーバック)、肉の缶詰、M34クリーニングキットM31ツェルトバーンテントロープ裁縫セット靴みがきブラシセットと靴クリーム

ちなみにこの一枚の写真を撮るのに1時間ほどかかりましたが、こういうの好きなんで全然苦にならない変態です。(笑)
Tonister13.jpg
上記のアイテムを全て収納後、オーバーコートを取り付けて、行軍時のパッキングを再現しました。

それでは皆様、今年も大変お世話になりました。来年も宜しくお願いします。良いお年を!


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兵・下士官用制帽(Schirmmütze)その2

こんにちは、エーデルマンです。3連休の中日いかがお過ごしでしょうか?政府からは我慢の3連休と言われていますが、昨日・今日のような快晴だと我慢できずにGo toしてしまうのは仕方が無いですね。しっかりと感染対策をして外出しましょう。

今回も前回に続き、制帽(Schirmmütze)を記事にしたいと思います。

Visorcap14-2.jpg

こちらはテラーフォルムの兵・下士官用で、ライヒスヴェーアからヴェーアマハトへ移行直後に生産された制帽と思われます。

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1939年製の制帽との比較。鉢巻のフェルトの色が左から右に変わるのは、野戦服の襟が1935年10月にモスグリーンからダークグリーンに変更されたタイミングと完全に同期しています。(襟の変更の時期についてはM34野戦服の年表を参照下さい)

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こちらは山岳部隊へ支給された制帽ということで入手しましたが、パイピングの色が1938年製の制帽と比べると若干暗いグリーンの為、軍属(Beamten)向けの可能性もあります。なおドイツ軍の軍属についてネット上の説明を引用します。

ドイツ軍における軍属のほとんどは将校と同等にランク付けされました。中には上級下士官(Unteroffiziere mit Portepee)ランクも存在していました。彼らは陸戦法によれば軍隊のメンバーでしたが、ドイツ軍の定義では「兵士」ではありませんでした。軍属としての権限はその専門分野に限り拡大、兵士とは異なり、その権限は上位の者にまで及ぶものの、部隊の指揮を執るまでは不可能でした。(中略)人事、供給、ロジスティクスの機能を実行するものに加えて、牧師、医師、バンドマスター、獣医も軍属でしたが、彼らの制服は基本的に区別できる記章を持つ現役の将校のものであるという点で他の役人のものとは大きく異なりました。
-Administrative Officials (Beamten) - Landser-
※Google翻訳なので不自然な表現があることはご容赦ください。

c9363bfa1a8724aa8a28932612aa7ddb.jpg 
陸軍工廠の主計官。襟章は士官用ですが、肩章から上級曹長と思われます。(軍属はランクに限らず自費で勤務服・制帽の購入が義務付けられていましたが、特別に士官グレードの衣服・徽章を選択することが出来ました)

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こちらは米軍が1943年に作成した国防軍の兵科色(Waffenfarben)の一覧表で、山岳猟兵(Gebirgsjäger)と猟兵(Jäger)がライトグリーン、軍属(Beamte)がダークグリーンとなっています。

少し脱線しますが、この表の山岳猟兵と装甲擲弾兵(Panzergrenadiere)の兵科色があべこべになっているのでは?と思った人は山岳オタクです。

Visorcap28.jpg 
この図はドイツ語のWikipediaの"Waffenfarben des Heeres (1935–1945)"の兵科色一覧から抜粋です。(※Panzergrenadiertruppe ab 1943は1942の間違い)

現在はこの配色が正しいと認識されており、実際、当時の略帽のソーターシュや肩章のパイピングもこの通りとなっています。ただし、山岳の肩章についてはJägergrünとWiesengrünが混在して使われていたようで、同じ部隊で2色が使用された例も散見されます。(恥ずかしながら今までJägergrünという表現があることを知りませんでした)

参考までに山岳=ライトグリーンとなったのは、39/40年のドイツ軍の資料に"Hellgrün(明るい緑):Jägerbataillon der Infanterieregimenter, Gebirgs-Jäger-Regimenter"とあった為だが、これは当時の誤記であり、本来この二兵科は異なったグリーンの兵科色で区別される規定になっていた、とドイツ軍研究家の方から情報をいただいたことを付記します。恐らく、その資料を入手した米軍がライトグリーンと直訳、現在に至ったのでは無いかと思われます。
Visorcap18-1.jpg  
それでは話をこの制帽の兵科色に戻しましょう。
後頭部の真ん中のパイピング(矢印)に注目下さい。この部分のパイピングはトップに隠れる為、オリジナル状態が保たれ易く、兵科色の判断にも役立ちます。明るいグリーンの色合いから軍属では無く山岳部隊と思いますがいかがでしょうか?

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皿がトップ入っているかのような形が、テラーフォルムと言われる所以です。中央が高い新しいタイプのコカルデが付いています。

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内装は典型的な褐色のコットン製で鍔の裏側はタン塗装となっています。セルロイド製のシールが残っており、サイズスタンプ”56”が押されています。

Visorcap31.jpg  

最期に製帽の歴史について少し記述したいと思います。

鍔付き帽子の原点はプロイセンが1867年に導入した士官帽とされていますが、当時はチンストラップが無く、トップも低いシンプルな形でした。

Visorcap20.jpg 
M1867制帽です。鍔付きは士官用で兵用は鍔無しでした。プロイセンのコカルデが付いていますが、当時は領邦国家体制だった為、ドイツ国家色(赤白黒)のコカルデはありません。(1871年のドイツ統一後、国家色のコカルデが頭頂部に付くようになります)

第一次大戦前にフェルトグラウへの変更(1907)、チンストラップの導入(1910頃)、またトップも筒型からテラーフォルムやザッテルフォルムの原型と言える形状への変化も見られます。

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第一次大戦前から戦中にかけて制帽は左から右に変化していきます。なお、制帽の鉢巻が青色だったり赤色と目立つ色だったのは、当時の戦場は黒色火薬の使用で煙が蔓延する中で士官の居場所を把握する為だったようです。第一次大戦では小銃の性能が向上、目立つ色は狙撃の標的になり易い為、フェルトグラウなど目立たない色に変更されます。


一連の写真は『German Army Visor Caps 1871-1945』からお借りしました。制帽の歴史を豊富な写真で説明しており、大変勉強になります。(加えてこちらのサイトも参考にしております)

Visorcap22.jpgVisorcap23.jpg

柏葉リースはヴァイマール共和国時代、アドラー(国家鷲)は1935年10月に採用されます。左が旧型のニッケル製の帽章で、右が新型のアルミ製の帽章です。

製帽は服と同じく官給・私費購入に関係なく改造、少しでも恰好良く見せる工夫がいたるところで見られます。今回は無改造の官給品を紹介しましたが、今後、将校用やクラッシュキャップなども入手する機会があれば順次アップして行きたいと思います。


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