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官給腕時計(Dienstuhr)

オク用の写真を撮影したら、図らずもシブい画になったのでアップします。

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ARSA (オーガストレイモンド)
1898年にオーガスト・レイモンドによってスイスジュラ渓谷のトラメランに創立。
ムーブメント「ユニタス」を開発したことで有名。


ちなみに『ARSA』はAuguste Reymond SAの意味。

Uhr12.jpg

歴戦の勇士って感じで良いですね。(動かないけど・・・)



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M35書類ケース (Meldekartentasche 35) Part5

ドイツ軍の書類ケースの左側にはヨコ6cm xタテ19cmサイズのポケットがありますが、このポケットに何が入れるのか?コレクターの間では様々な意見が交わされております。

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以前このブログでは、セルロイド製の分度器を収納できると紹介しました。

map11_20121015045148.jpg

map20.jpg 

確かにぴったりなのですが、この分度器自体一般的なアイテムでは無く、どうも本来左ポケットに入れるアイテムでは無さそうです。

書類ケースの中身を指示した教本や当時の写真があれば良いのですが・・・

ドイツ軍装資料本を見ると、木製の定規らしきものがポケットには挿入されています。
mapcase7_20160717133714274.jpg


ネットにアップされている写真を調べてみると、木製の定規を収納していることが多いです。

kurvenmesser 01

mapcase6.jpg 

このようなシンプルな定規は多目的に使われるので、書類ケースには間違いなく入っていたでしょうし、サイズ的にも問題ありません。

上記の写真と同じタイプの木製定規を入手しました。
mapcase10-1.jpg
問題なく収納できます。しかし左ポケットの幅は定規には少し大きいし、わざわざ一般的な定規に専用のポケットを作るのかどうか??どうもすっきりしません。

mapcase11.jpg


mapcase12.jpg 

そんなある日、某フォーラムで左ポケットの正規アイテムはSchußweitenmesser(射程距離計)では、というコメントを発見しました。

MAP CASE RULER_EF_#547_1938 
画像検索すると、こちらが“Schußweitenmesser”のようです。
目盛と10万分の一のSchußweiten=射程距離が刻まれています。写真ではスチール製のように見えますが、プラスチックかも知れません。

本当に正規アイテムなのか、左ポケットにぴったりと収まるのか入手して試してみることにしました。(と、簡単に書いていますが、入手するのにかなりの費用と時間を要しました・・・)

mapcase13-1.jpg
こちらが苦労して手に入れた射程距離計です。表側?には Höltgebaum & Heinicke AG Berlin N.W.7(所在地)の刻印、反対側には22cmの目盛り、重火器とその射程距離が刻まれています。材質は薄いスチール製です。


mapcase3_20160717135312978.jpg



mapcase4-1.jpg 
おー、左ポケットにジャストフィットです。全く隙間がありません。
やはり、この射程距離計が正規アイテムなのかも知れません。


mapcase16.jpg

射撃距離計のクローズアップ写真
重火器の種類とそれぞれの有効射程距離の表示があります。

射程距離が短いものから、l.M.W、m.M.Wとあります。

mapcase16_20160717135651568.jpg 
M.WはMinenWerfer=迫撃砲のようです。(lはleichte, mはmittlererの意味でしょうか)

“s.M.G”は言わずもがなですね。
smg.jpg

ちなみに一番射程距離の長いのは15cm K.16 (15cm カノン砲 16型)」で22キロとなっています。

他にもF.K 16(FeldKanone 16型)が表示されているので、このスケールは戦前に作られたようです。
一次資料が無いので断定はできませんが、この射程距離計が書類ケースの標準装備アイテムとしても不思議では無いでしょう。


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軍靴の手入れ用品(Stiefelpflege und reinigung)

どの国の兵士も入隊と同時に軍靴を官給品として支給され、銃と同じく命の次に大切に扱うよう厳しく教え込まれました。
国民の血税で購入した軍装品を粗末に扱うべからずということと、靴を常にメンテナンスすること=重要な移動手段である足を保護するという2重の意味だったのでしょう。
本日はドイツ軍兵士が使用した靴のお手入れ用具と関連用品を紹介したいと思います。

bootscaregoods1.jpg

まずはお手入れ用具の基本であるブラシ(Bürste)です。ブラシには1.靴に付いたほこりや汚れを落とす、2.靴クリームを革に塗り込む、3.靴クリームを落とし磨く、という3種類の用途あります。

 
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こちらは3種類のブラシがポーチに入ったセット。上から1. 汚れ落し用ブラシ、2. 靴クリームを塗るブラシ、3. 磨くブラシの順番になっています。
ところで専門家によれば保革クリームは指で温めながらゆっくりと塗り込む方法がベストらしいのですが、どうしてもムラが出来てしまうので広い範囲に万遍なくという場合はブラシが良いそうです。

bootscaregoods12.jpg
兵営内での靴の手入れ。ブラシの形状から靴クリームを半長靴と編み上げ靴に塗り込んでいるようです。

次は靴クリーム(Schuhcreme)を見ていきましょう。

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こちらは直径約8cmの缶に入ったCamilloというブランド名の靴クリームです。

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中にはクリームが少し残っており、今でも使えそうです。
この靴クリームは靴以外の革製品にも使えます。塗布することで革を保護し、防水性を高めることができますが、塗りすぎると逆に革をダメにしてしまうのでベタベタしない程度に塗ることが肝心です。

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REIBERTには革製品の手入れ方法の記述があります。
図にはシャフト(すねとふくらはぎ部分)や踵はポリッシュし、足首と甲部分はクリームを塗り込むこととあります。

・Mica kit
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こちらは身嗜み用品がコンパクトなアルミケースに収納された便利な「Mica」キットです。当時兵士には人気で酒保などで購入することができました。

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商品名の「Mica」の刻印のある方の蓋を開けると、髭剃りや歯磨き、整髪などの身嗜みに必要なもの全てが収納されています。

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このケースは両開きとなっており、D.R. PATENT (ドイツ帝国特許)が刻印された側を開けると、靴のメンテナンス用具が入っています。

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中身を展開したもの。

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4種類のブラシに靴クリームの容器が収納されています。黒いブラシは靴用、白いブラシは爪磨きか洗濯用と思われます。なお、この持ち主は一番下のブラシを衣服用として使っていたようで、鉛筆で(Kleider-Bürste)と書かれています。


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靴クリーム用のケースは両蓋になっており、反対側にはポリッシュ用の布が入っています。


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このmicaキットは飯盒に入れて持ち運ぶことができるよう設計されています。
靴の手入れ道具を飯盒に入れて運ぶというのは、現代の感覚ではかなり違和感がありますが、空きスペースを少しでも有効活用するというアイデアだと思います。
(micaキットについては別途詳しく記事にする予定です)

・ブーツ脱ぎ器(Stiefelknecht)



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こちらはブーツを脱ぐ際に使用する器具です。上記は折りたたんだ状態で、使用するには収納されているアームを左方向に展開します。

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Y字の部分でブーツの踵を引っ掛け、スタンドに片足を乗せてブーツを脱ぎます。
靴べらと同じくこのような専用器具を脱着に使うことで、ブーツを不必要に消耗させないようにすることも重要です。

・Fuss Poder

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外側のみならず内側の湿気も靴にとっては大敵。フットパウダー(Fuss-Puder)で足の汗を防ぐことも靴の状態を保つには効果的です。
(ちなみに下記はベビーパウダーなのですが、傷口をふさぐのにも使用できるようです)


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この他、シューキーパーも一般的なシューケアアイテムです。ただし携帯性を考えると果たして戦場に持って行ったかどうかは疑問ですが・・・。

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M44野戦服(Feldbluse 44)

1944年、ナチスドイツに対する敵の攻撃は日増しに激しくなり、6月には西からの連合軍のオーバーロード作戦、東からはロシアによるバラクチオン作戦とまさに四面楚歌の状況となります。
両戦いで損失した兵員を補充するべく、同年7月には国民擲弾兵師団が、またその3ヶ月後には国民突撃隊が結成され国土防衛に駆り出されることになります。

本日はそんな切羽詰った状況の中、1944年に導入されたM44野戦服(Feldbluse 44)の実物と、海外のコレクターRamsey氏の写真コレクションの一部を氏の許可を得て紹介したいと思います。
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M44野戦服は〝Neue Uniform〟(新しい制服)として、1944年10月21日に9月25日付けAHM(一般陸軍通達) Nr.603 において導入されます。
特徴としては丈がぐっと短くなり、それに伴い腰のポケットは省かれました。
当初は全軍共通の野戦服として規格され、当時の写真を見ると陸軍以外に武装親衛隊、空軍そして警察での使用が認められます。
ただ実際にはこれまでの野戦服も在庫がある限り使い続けられた為、最終的には全部隊に行き渡らないまま戦争が終わってしまいました。

M44-2_2015042620295316a.jpg
後ろから見ると、とてもドイツ軍の野戦服には見えませんね。
通常、野戦服は耐久性の観点から、背中部分が一枚布で作られていますが、このM44野戦服は真ん中で張り合わせになっています。ただし腰部分は一枚布になっており、横方向の引っ張りには若干強くなっています。
両サイドにザイテンハーケン用の穴が見えます。

M44-15.jpg
インナーも背中の部分は省略されていますが、腰ポケットが無くなった分、内ポケットが両側に付けられました。
かろうじてザイテンハーケン用のベルトループも残されています。(末期タイプはベルトループが省略されます)

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M43野戦服までは詰襟がデフォルト仕様でしたが、M44野戦服は逆に開襟がデフォルトになったようで、襟の幅が広くとられ、襟どうしを留めるホックが標準でありません。もちろん、従来通り第一ボタンまで留めることは可能ですがどこか変ですね。

M44-11.jpg
オーバーコートのように襟の裏側にはフラップとボタンが付けられており、写真のように襟を立てた状態にすることができます。


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襟章は1940年5月9日に採用となったマウスグレー各兵科共通タイプです。
なお下士官以上になると野戦服の襟の淵には通常トレッセを取り付けることができるのですが、M44野戦服の場合、取り付けられていないケースが多く存在しています。


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肩章のトレッセから階級は伍長と思われますが、襟にはトレッセが付いていません。Photo by coutesy of Ramsey


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国家鷲章は逆三角形のBEVOタイプで、M43規格帽と同様に縫い付けを簡単にすることができます。


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こちらは工兵科?の軍曹の写真ですが、国家鷲章が刺繍タイプになっています。Photo by coutesy of Ramsey


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袖口のサイズをボタンで調節できるようになっていますが、ボタンの数が2個から1個に減っています。
ただしその分、ボタンホールが2個に増えているので機能は変わりません。
(ところが最末期タイプになると、袖口のサイズ調整機能の無い筒型の袖になります)


前述した通り、M44野戦服が採用されたのは敗戦の7ヶ月前という状況だった為、当時の写真は少なく、今回掲載したような写真館で撮影したポートレートか連合軍に投降した時に撮られたものが大半を占めます。

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M44野戦服を着た山岳猟兵。どこか駐屯中の街で撮影されたものでしょうか?袖をまくっているのと、中にシャツを着ていないことから、比較的温暖な地域と思われます。Photo by coutesy of Ramsey

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こちらも前線で撮影された貴重な写真。M43規格帽にM44野戦ズボンというまさに末期のスタイルです。Photo by coutesy of Ramsey


こちらはYoutubeにアップされていたカラー映像ですが、2分50秒あたりでM44を着た若い兵士の映像が出てきます。

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これまでのドイツ軍野戦服の変遷とM44野戦服が開発された時代背景を知っているだけに、これまでなんとなく末期に作られた貧相な服というイメージを持っていましたが、実際に手に取って見てみると、結構手の込んだ作りになっていると感じました。
もしこれが何の予備知識も無く、はいっと渡されたら別の感想になっていると思います。


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M40野戦ズボン(M40 Langhose)

こんにちは。本日は、歩兵部隊の兵・下士官に支給されたM40野戦ズボン(M40 Langhose)を紹介します。
ちなみに野戦ズボンは正確にはドイツ語で「Feldhose」で「Langhose」は直訳すると〝長ズボン〟ですが、裾を絞った種類のズボンもFeldhoseなのでそれらとの混同を避けるため、タイトルは敢えてLanghoseにしています。(ややこしくてスミマセン...)

下記はM40野戦ズボンです。以前、M36野戦ズボンを紹介しましたがシルエットは全く同じです。
M40trousers3-2.jpgM40trousers7-3.jpg

下がM36野戦ズボン。どちらもサスペンダーで吊るすトラディショナルなタイプのストレートズボン(Tuchhose)です。


stonegray42.jpg 上のM40野戦ズボンだけの写真だけを見ていると、ストーングレイっぽく見えますが、M36野戦ズボンと比べると、緑ががったグレイであるとわかります。

このM36とM40野戦ズボン、どちらも最近は実物の入手が困難で良いコンディションのモノはなかなかいい値段がします。

私は当初M40よりもM36を優先して捜しており、その間にいくつかM40のオファーがありましたが、いつでも手に入るからいいやと悉くスルーしてしまいました。
で、やっとM36が見つかって、さー次はM40をと、真剣に捜し出したら今度はM40が全然見つからない・・・

結局、納得いくものに出会えるのに、2年以上もかかってしまいました。コレクターの不文律〝買える時に買え〟〝買ってする後悔よりも、買わなかった時の後悔の方が大きい〟を実感した次第です。



また当時「M36」「M40」という正式な名称があったわけでは無く、当時の歩兵操典やSoldbuch上の記載はただの〝ストレート〟な野戦ズボン「Tuch-Feldhose」です。


M40trousers19-1.jpg  
 
Mxx(xxは年)という呼び方は、後世になってコレクターが分類しやすいように名づけたもので、ウール生地の色がストーングレイ(Steingrau)のものを「M36」、フィールドグレイ(Feldgrau)のものを「M40」と呼んでいます。

M40trousers17.jpg
M36とM40を並べてみると、色の違いがはっきりと判ります。
いつフィールドグレイのズボンが作り始められたかは、当時の資料が無いので不明ですが、現存しているズボンに押されたスタンプ、当時の写真等々から野戦服の襟がダークグリーンからフィールドグレイに変わったのと同じ1940年頃からだと考えられています。
(とは言え急に切り替わったのではなく、1940年以降もストーングレイの生地がある限り、M36野戦ズボンは作り続けられました)


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ライヒスヴェーアの時代の制服。上着はフィールドグレイ、ズボンはストーングレイです。上下色違いは〝粋〟ですが、生産性及び実用性は同一色が望ましいですね。


M40trousers15.jpg
サイズスタンプ。この野戦ズボンは、股下 76cm ウエスト86cm 全長109cm 腰周り100cmです。アーヘンで製造され、フランクフルトの被服廠に1940年に納品されました。(OCOはメーカー名の3桁コードだと思いますが不明)


M40trousers13.jpg
社会の窓はトラディショナルなボタンフライです。物資がまだ豊富な時代に作られたズボンらしく、ボタンは全てアルミ製です。


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背中側にはサスペンダー用の平ボタンが4つあり、サイズ調整用のベルトが付いています。

M40trousers18.jpg
サイズ調整用ベルトの幅はメーカーで違うようですが、バックルはどちらも〝PRIMA〟ブランドです。


M40trousers14-3.jpg
最後に、なぜズボンはフィールドグレイ色に変わったのか?
一般的には1.経済効果 2.迷彩効果、が主な理由として考えられているようです。
1.に関しては普通に考えてアリですね。上着とズボンで同じ生地が使えるし、顔料も一種類だけ用意すればOKなわけです。これはまぁ、議論の余地は無いでしょう。

それでは2.の迷彩効果はどうでしょうか?
迷彩というと複数の色によるパターンを描いた「分割迷彩」が真っ先に思い浮かびますが、単一の色で塗り込めてパターンを持たないものも「単色迷彩」と呼び、周辺の光景に紛れる色であれば迷彩効果があるとしています。ただし上下の服で色が違うとかえって目立つので同じ色にする必要があります。
ではドイツ軍の軍服や装備に使用されたフィールドグレイは、迷彩効果は高かったんでしょうか?
フィールドグレイは1907年にドイツ軍の制服のカラーとして規定されてから、1945年の終戦まで多少色の変化はあっても、一貫してウール製の野戦服に使い続けられます。またドイツ占領後、連合軍は市民の衣服へフィールドグレイの使用を禁止したという話もあるくらいなので、ドイツ軍のみならず連合軍側もフィールドグレイは迷彩効果が高いことは認めていたわけですね。(少々エモーショナルな面もあったと思いますが・・・)

迷彩色は、その国の自然環境が反映されると言います。(基本は国土防衛ですからね)深草色の森や草原が多いドイツではフィールドグレイ色が最も自然に溶け込める色だったのは理解できます。

あと血の色を判り難いくするというのは理由としてどうでしょうか?手術着が緑色なのは、血の色が目立たないようにする効果があるからと聞いたことがありますが・・・うーん、これは、あまり関係無さそうですね。

戦場では工場出荷のまま綺麗な色の状態をずっと保てることはまずあり得ません。(お偉いさんは別)歩兵科の兵士は間違いなく泥や埃で汚れますし、汚れを落とすために洗濯して干すと色はだんだんと薄くなってきます。そのような状態も想定した上で軍服の色は決められているのでしょう。

Stalingrad_20150310004515c6e.jpg これくらい日に焼けて土埃で汚れると迷彩効果は高そうですね。

今回の記事でネタが切れましたので、またしばらくお休みをします。
それでは、またお会いできる日まで、ごきげんよう!


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双眼鏡 (Doppelfernrohr) Part4

もうすぐ春ですね。今は四季の無い国に住んでいるので、春という季節の変わり目が懐かしいエーデルマンです。
さて、本日はドイツ軍の双眼鏡シリーズの第4弾として、戦争末期に作られた6倍率のベークライト製、軍用双眼鏡(Dienstglas 6x30)を紹介したいと思います。
※双眼鏡について過去の記事はこちら

以前ブログで書いたとおり、双眼鏡の材質はアルミダイキャスト(又は亜鉛)が主なのですが、あらゆる金属物資が枯渇してくる戦争末期には、筐体にプラスチック(ベークライト)を使用した双眼鏡も作られます。

Bakebino1.jpg

ここでちょっとベークライト(フェノール樹脂)について調べてみました。(いつも通りWikipediaからの抜粋)

フェノール樹脂(フェノールじゅし、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、ベークライト、石炭酸樹脂)は、フェノールと ホルムアルデヒドを原料とした熱硬化性樹脂の一つで、世界で初めて植物以外の原料より、人工的に合成されたプラスチックである。硬化させた樹脂は、3次元的な網目構造を持つ。電気的、機械的特性が良好で、合成樹脂の中でも特に耐熱性、難燃性に優れるという特徴を持つ。耐油、耐薬品性も高いが、アルカリに弱い。また、これらの性能の割に比較的安価である。

(以上Wikipediaより)

耐熱・耐油性に優れ、安価という特長は軍用にはうってつけですね。実際にドイツ軍が使用した装備にベークライトは大変多く使われています。

Bakebino2-6.jpg
重さを計ってみると590gありました。アルミ製と亜鉛製のちょうど中間の重さです。
しかし末期の双眼鏡とは言え、さすがは工業国ドイツ。造りはしっかりとしており、ベークライト特有のべっ甲に似た色合いで高級感さえ醸し出していますね。
Bakebino5-1.jpg
しかしながら、金属に比べると強度は落ちる為、強くぶつけたりすると簡単に欠けてしまいます。この双眼鏡も戦場で酷使されたようで所々に欠けた跡があります。


bino5-1.jpg  
6倍率の軍用双眼鏡を意味するDienstglasと6x30の刻印。なお、この双眼鏡にはレンジファインダーはありません。

bino6_201503011340339e4.jpg
cxnはEmil Busch A.-G. 社のコードです。ドイツの光学機器メーカーで、双眼鏡のほかにもZF41 狙撃用スコープ (Zielfernrohr 41)などを製造しています。

emil_busch_a_g_optische_industrie_122.jpg

同社の製品ラインナップには、カメラや顕微鏡もあります。ちなみにドイツの光学メーカーのコードの一覧はこちら

bino7-1.jpg  
グリース番号は△です。下記の通り、△は1943年以降の製造を意味します。青い色になっているのは寒冷地仕様のグリース使用もしくは視認性向上のどちらか、もしくは両方と言われています。

K.F.1940年5月~1942年7月
1942年8月に採用された寒冷地用グリース
  1942年11月~43年後半
1943年後半以降
bino8.jpg
シリアル番号は408177です。これはメーカー別の製造番号では無く、ドイツ軍に納品時に付与される管理番号で連番になっています。なお、私が今まで見たベークライト製双眼鏡はすべて406000から上になっています。


後期タイプと末期タイプの比較。こうして比べてみると、末期タイプは軍用に見えませんね。
Bakebino9-4.jpg

現存するベークライト製双眼鏡の刻印はcxnのみなので、Emil Busch A-G 一社のみが製造を行い、それ以外のメーカーは終戦まで金属で双眼鏡を作り続けていたと思われます。


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フードコンテナー (Essenbehälter)

タイトルとは関係ないですが、最近になってやっと『フューリー』を観ました。ボービントン戦車博物館のティーガー戦車を使ったという話題作で、今まで見た中では一番リアルな戦争映画ではありますね。
出演者もブラピはじめ素晴らしい演技をしているのですが、こういう趣味をしていると、どうしても細い所が気になってしまい、ストーリーに集中できないのはちょっと残念でした。

さて、今回はドイツ軍のフードコンテナー(Essenbehälter又はSpeisenträgerとも言う)を紹介したいと思います。


foodcontainer5-2.jpg  
フードコンテナーはフィールドキッチン(Feldküche 別名シチュー砲)で調理した食べ物を前線部隊へ運搬するのに使われました。
容量は約12リッターで、ドイツ軍の糧食メニューである、シチューや肉・ソーセージなどの運搬に使用可能です。    

foodcontainer12-4.jpg  
フードコンテナーは通常、大型フィールドキッチン(Gross Feldküche)には6個、小型フィールドキッチン(Kleine Feldküche)には4個装備されていました。

foodcontainer21.jpg
フィールドキッチンは安全な後方に置かれる為、離れた前線へは毎日作った糧食を運搬する必要があります。よってフードコンテナーは前線を維持する上で無くてはならない装備品でした。

Bessarabia-Ukraine-Crimea-299.jpg
しかしながら総重量20キロ以上にもなるフードコンテナーを背負って前線まで糧食を届けるのは重労働で、また狙撃手の標的となりやすく危険を伴います。
このことから運搬作業に従事する兵士は、隠れたヒーローで前線の兵士から大変感謝されたのは間違いありません。

ドイツのTVドラマ『ジェネレーション・ウォー』ではこのフードコンテナーが何度か出てきます。

ジェネレーション・ウォーDVD-BOXジェネレーション・ウォーDVD-BOX
(2014/06/04)
フォルカー・ブルッフ、トム・シリング 他

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このドラマは3話完結で1941年のソ連侵攻から終戦までを男女5人の視点で描いているのですが、時代考証はしっかりしており、野戦服を始めとする小道具もきちんと再現されています。
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1941年の冬季戦線のシーン。フードコンテナーもアルミ製でフィールドグレイ色に塗装されています。
個人的には実物を使用しているんじゃないかと思ってます。


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フードコンテナーは二重構造になっていて保温性が高く、糧食を入れる内容器は取り外せ簡単に洗えるようになってます。
コンテナー本体及び内部容器は初期はアルミ製、後期にはスチール製となります。スチール製の内容器は後期の飯盒水筒と同じく、錆防止のためエナメル加工が施されています。

写真のフードコンテナーの場合、本体はスチール製ですが、内容器も上蓋内側もアルミ製となっており、移行期のモデルのようです。また逆のパターン(本体がアルミ製で内部がスチール製)も存在しています。

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上蓋の蝶ボルトは手でもしっかり閉められる構造で、横にしても内容物が漏れません。

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フードコンテナー専用レードル(Schöpflöffel)です。1938年の刻印があります。
激戦地スターリングラードで発掘されたものらしくアルミ製ですが、かなり朽ちこみがあります。
スチール製でエナメル加工のあるレードルも近年見つかっています・

foodcontainer23-1.jpg  
このようにレードルは上蓋の内側に収納できます。上蓋の淵には密閉の為のゴムパッキンが見えます。



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こちらのストラップはコットンと革の組み合わせですが、すべて革のタイプもあります。


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朝の洗面作業。フードコンテナーを使ったお湯の配給があったのでしょうか?右側の兵士がレードルで中身をすくっています。

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兵装が緩いため、前線からはかなり離れた場所と思われます。記録係がいる典型的な給食ラインです。シチュー鍋から飯盒に糧食が配給されています。

最後に資料本の紹介です。

Gulaschkanone: The German Field Kitchen in World War II and Modern ReenactmentGulaschkanone: The German Field Kitchen in World War II and Modern Reenactment
(2011/02/28)
Scott L. Thompson

商品詳細を見る
『Gulaschkanone』は一年ほど前に購入したフィールドキッチンについての資料本です。レストアされた“シチュー砲”と共にフードコンテナーなどのアクセサリーの写真も満載です。

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左側はスチール製の内部写真と専用レードルで飯盒にスープを入れる写真、右側はスープ以外にソーセージや塩漬けキャベツが入っています。

この本を見ていると、だんだんフィールドキッチンが欲しくなってくるのは気のせいでしょうか。
当然買う金なんてどこにも無いし、あっても簡単に手に入るものでは無いのでタミヤのプラモデルで我慢しておきます。

foodcontainer27.jpgfoodcontainer26.jpg


1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ ドイツ野戦炊事セット1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ ドイツ野戦炊事セット
(2001/03/27)
タミヤ

商品詳細を見る

最近のモデルには、フードコンテナーもばっちり装備されてるんですね~
ちなみに私が子供の頃はこちらのパッケージでした。馬だけ欲しくて買った記憶が・・・今度はちゃんと作ります。。。

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エーデルマン

Author:エーデルマン
脳内の99%をドイツ軍が占めている、そんなアラフィフ親父です。
注)当時のドイツ軍の装備・生活用品に興味がありますが、特定の団体・思想を支持するものではありません。

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ドイツ国防軍好きなら買って損はなし

図説ドイツ軍用銃パーフェクトバイブル (歴史群像シリーズ Modern Warfare MW)
図説ドイツ軍用銃パーフェクトバイブル (歴史群像シリーズ Modern Warfare MW)
ドイツの軍用銃の専門書でビジュアル的に見ていて楽しい

ドイツの小銃拳銃機関銃―歩兵兵器の徹底研究 (光人社NF文庫)
ドイツの小銃拳銃機関銃―歩兵兵器の徹底研究 (光人社NF文庫)
ドイツ軍用銃のバイブル的な書。ドイツ軍スナイパートップ3への一問一答が興味深い

Feldbluse: The German Soldier's Field Tunic, 1933-45
Feldbluse: The German Soldier's Field Tunic, 1933-45
M33からM44までドイツ陸軍の野戦服を網羅。特にM36以前の野戦服は必見

Rations of the German Wehrmacht in World War II
Rations of the German Wehrmacht in World War II
とにかく当時のドイツ兵が食べていた糧食にこだわった一冊

武器と爆薬―悪夢のメカニズム図解
武器と爆薬―悪夢のメカニズム図解
迫撃砲はどうやって砲弾を飛ばすのか?小銃擲弾は?ほかにも大砲や爆弾のしくみを源文マンガでわかりやすく解説

グラフィックアクション GRAPHIC ACTION 1993年 No.17
グラフィックアクション GRAPHIC ACTION 1993年 No.17
このシリーズは市場で見つけたら買うべし

ドイツ武装親衛隊軍装ガイド (ミリタリー・ユニフォーム)
ドイツ武装親衛隊軍装ガイド (ミリタリー・ユニフォーム)
WSS専門だけど全部実物!

鼠たちの戦争〈上〉 (新潮文庫)
鼠たちの戦争〈上〉 (新潮文庫)
映画「スターリングラード」の原作本的な内容だが100倍面白い

鼠たちの戦争〈下〉 (新潮文庫)
鼠たちの戦争〈下〉 (新潮文庫)


スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943 (朝日文庫)
スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943 (朝日文庫)
塹壕から故郷へ送った兵士の手紙が興味深い「クリスマスはドイツ風に」の章は涙なくしては読めません

ケルベロス 鋼鉄の猟犬 (幻冬舎文庫)
ケルベロス 鋼鉄の猟犬 (幻冬舎文庫)
ヒトラーが暗殺された後の撤退戦を描いた架空小説。小道具にこだわるところがマニアっぽい

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