M40野戦ズボン(M40 Langhose)

こんにちは。本日は、歩兵部隊の兵・下士官に支給されたM40野戦ズボン(M40 Langhose)を紹介します。
ちなみに野戦ズボンは正確にはドイツ語で「Feldhose」で「Langhose」は直訳すると〝長ズボン〟ですが、裾を絞った種類のズボンもFeldhoseなのでそれらとの混同を避けるため、タイトルは敢えてLanghoseにしています。(ややこしくてスミマセン...)

下記はM40野戦ズボンです。以前、M36野戦ズボンを紹介しましたがシルエットは全く同じです。
M40trousers3-2.jpgM40trousers7-3.jpg

下がM36野戦ズボン。どちらもサスペンダーで吊るすトラディショナルなタイプのストレートズボン(Tuchhose)です。


stonegray42.jpg 上のM40野戦ズボンだけの写真だけを見ていると、ストーングレイっぽく見えますが、M36野戦ズボンと比べると、緑ががったグレイであるとわかります。

このM36とM40野戦ズボン、どちらも最近は実物の入手が困難で良いコンディションのモノはなかなかいい値段がします。

私は当初M40よりもM36を優先して捜しており、その間にいくつかM40のオファーがありましたが、いつでも手に入るからいいやと悉くスルーしてしまいました。
で、やっとM36が見つかって、さー次はM40をと、真剣に捜し出したら今度はM40が全然見つからない・・・

結局、納得いくものに出会えるのに、2年以上もかかってしまいました。コレクターの不文律〝買える時に買え〟〝買ってする後悔よりも、買わなかった時の後悔の方が大きい〟を実感した次第です。



また当時「M36」「M40」という正式な名称があったわけでは無く、当時の歩兵操典やSoldbuch上の記載はただの〝ストレート〟な野戦ズボン「Tuch-Feldhose」です。


M40trousers19-1.jpg  
 
Mxx(xxは年)という呼び方は、後世になってコレクターが分類しやすいように名づけたもので、ウール生地の色がストーングレイ(Steingrau)のものを「M36」、フィールドグレイ(Feldgrau)のものを「M40」と呼んでいます。

M40trousers17.jpg
M36とM40を並べてみると、色の違いがはっきりと判ります。
いつフィールドグレイのズボンが作り始められたかは、当時の資料が無いので不明ですが、現存しているズボンに押されたスタンプ、当時の写真等々から野戦服の襟がダークグリーンからフィールドグレイに変わったのと同じ1940年頃からだと考えられています。
(とは言え急に切り替わったのではなく、1940年以降もストーングレイの生地がある限り、M36野戦ズボンは作り続けられました)


M40trousers21.jpg
ライヒスヴェーアの時代の制服。上着はフィールドグレイ、ズボンはストーングレイです。上下色違いは〝粋〟ですが、生産性及び実用性は同一色が望ましいですね。


M40trousers15.jpg
サイズスタンプ。この野戦ズボンは、股下 76cm ウエスト86cm 全長109cm 腰周り100cmです。アーヘンで製造され、フランクフルトの被服廠に1940年に納品されました。(OCOはメーカー名の3桁コードだと思いますが不明)


M40trousers13.jpg
社会の窓はトラディショナルなボタンフライです。物資がまだ豊富な時代に作られたズボンらしく、ボタンは全てアルミ製です。


M40trousers8-1.jpg  
背中側にはサスペンダー用の平ボタンが4つあり、サイズ調整用のベルトが付いています。

M40trousers18.jpg
サイズ調整用ベルトの幅はメーカーで違うようですが、バックルはどちらも〝PRIMA〟ブランドです。


M40trousers14-3.jpg
最後に、なぜズボンはフィールドグレイ色に変わったのか?
一般的には1.経済効果 2.迷彩効果、が主な理由として考えられているようです。
1.に関しては普通に考えてアリですね。上着とズボンで同じ生地が使えるし、顔料も一種類だけ用意すればOKなわけです。これはまぁ、議論の余地は無いでしょう。

それでは2.の迷彩効果はどうでしょうか?
迷彩というと複数の色によるパターンを描いた「分割迷彩」が真っ先に思い浮かびますが、単一の色で塗り込めてパターンを持たないものも「単色迷彩」と呼び、周辺の光景に紛れる色であれば迷彩効果があるとしています。ただし上下の服で色が違うとかえって目立つので同じ色にする必要があります。
ではドイツ軍の軍服や装備に使用されたフィールドグレイは、迷彩効果は高かったんでしょうか?
フィールドグレイは1907年にドイツ軍の制服のカラーとして規定されてから、1945年の終戦まで多少色の変化はあっても、一貫してウール製の野戦服に使い続けられます。またドイツ占領後、連合軍は市民の衣服へフィールドグレイの使用を禁止したという話もあるくらいなので、ドイツ軍のみならず連合軍側もフィールドグレイは迷彩効果が高いことは認めていたわけですね。(少々エモーショナルな面もあったと思いますが・・・)

迷彩色は、その国の自然環境が反映されると言います。(基本は国土防衛ですからね)深草色の森や草原が多いドイツではフィールドグレイ色が最も自然に溶け込める色だったのは理解できます。

あと血の色を判り難いくするというのは理由としてどうでしょうか?手術着が緑色なのは、血の色が目立たないようにする効果があるからと聞いたことがありますが・・・うーん、これは、あまり関係無さそうですね。

戦場では工場出荷のまま綺麗な色の状態をずっと保てることはまずあり得ません。(お偉いさんは別)歩兵科の兵士は間違いなく泥や埃で汚れますし、汚れを落とすために洗濯して干すと色はだんだんと薄くなってきます。そのような状態も想定した上で軍服の色は決められているのでしょう。

Stalingrad_20150310004515c6e.jpg これくらい日に焼けて土埃で汚れると迷彩効果は高そうですね。

今回の記事でネタが切れましたので、またしばらくお休みをします。
それでは、またお会いできる日まで、ごきげんよう!


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脳内の99%をドイツ軍が占めている、そんなアラフィフ親父です。
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