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Gew.43 (Gewehr 43)

こんにちは、エーデルマンです。お盆休みですが、今年も暑さと人混みが苦手なので恐らく家に籠りっぱなしです。(一回位は山登りに行こうかと思っていますが・・・)

さて、本日紹介するのは“Hitler's Garand"(ヒトラーのガーランド)ことGewehr 43(Gew.43)です。
ドイツ軍部は第一世界大戦での経験から、ボルト・アクション式に代わる次世代の自動装填式の小銃=半自動小銃の必要性を理解していましたが、全歩兵に支給するという発想や、その為の資金も無く、第二次世界大戦が始まっても、ドイツ歩兵の主力兵器はGew.98を15cm短縮させただけのKar.98Kでした。

一方でソ連やアメリカは半自動小銃の開発を進め、ソ連はシモノフM1936(英:AVS-36 露:ABC-36)とトカレフM1940(英:SVT-40 露:CBT-40)、アメリカはM1ガーランドを採用します。

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1941年に独ソ戦が始まると、ソ連軍兵士の持つボルト操作しなくても装填できる半自動小銃の威力を思い知ることになります。ドイツ陸軍兵器局はマウザー社とワルサー社へ開発を要請、一年弱という短い期間でそれぞれ「Gew.41(M)」と「Gew.41(W)」を完成させます。


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Gew.41(M) 


Gew43_26.jpg 
Gew.41(W) 
画像提供:「WWⅡ ドイツ軍小火器の小図鑑」*Gew.41(M)の原図提供元 Kentomon

実用試験の結果、ワルサー社がマウザー社よりも優れていると判断、Gew.41(W)が正式に採用されます。しかしながら銃口部分が大きくなるバン・システムはフロントヘビーで扱い難く、また同方式はガスの移動距離が長い為、ロシア戦線の過酷な状況では作動不良が頻繁に発生しました。そこでGew.41のバン・システムの改良では無く、より信頼性の高いSVT-40のガス作動方式をコピーしてGew.41に組み込んだ新型の半自動小銃「Gew.43」を開発します。

Gew.43 (Gewehr 43) 仕様

種別 半自動小銃
口径 7.92mm
銃身長  546mm 
使用弾薬 7.62×57mm 
装弾数 10発
作動方式 ガス・ピストン方式
全長  1117mm
重量 4400g
発射速度40発/分
銃口初速775m/秒
有効射程 1200m

Gew.43は1943年4月に採用され、ワルサー社のほか、グストロフ社、そしてリューベッカー・マシーネン・ファブリク社(BLM)が製造します。なお名称は、1944年4月25日にkarabiner 43に変更され、それに伴い刻印も「K.43」となります。G.43/K.43併せて終戦まで46万2千挺が生産されました。

Gew43_0.jpg

Gew43_1.jpg
Gew.43は安価に大量生産する為の工夫が随所に見られます。ストックの材質に積層材(ラミネート)やベークライトが使用されるのは同時期の軍用銃と同じですが、Gew.43では鉄製部品の製造に初めて鍛造工程が導入されます。
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レシーバーとボルトキャリアは型鍛造となります。鉄の塊から削り出す切削加工に比べて大量生産向きで製造コストは下がります。またボルドがスライドするレシーバー後部のハウジングはプレス加工で製造されています。

Gew43_48.jpg
トリガーガード部もプレス加工された部品を使用しています。なお、プレス加工とは金型に金属(メタルシート)を挟み、圧力により成型を行う製造法で鍛造同様に大量生産に向いています。

Gew43_37-1.jpg
10発装填可能なマガジンです。Gew.41とは違い脱着が可能です。追加装填は、小銃用の5発装弾クリップを用いて上部から行うよう推奨されていました。

Gew43_62-1.jpg

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マガジンはメタルシート製で補強用のリブが刻まれています。バネの圧力は強くなく、10発装填は容易にできます。

Gew43_40.jpg
マガジンの底部にはgcb (Grohman u. Sohn Ad. Metallwarenfabrik, Wurbenthal/Sud.)のメーカーコード、WaAB92のヴェッフェンアムトとK43の刻印があります。
Gew43_38-1.jpg
バットストックはボルトアクション銃では一般的な形状です。
Gew43_65.jpg  
バットストックにはメンテナンスキットや予備パーツ、マニュアルを収納するコンパートメントがあります。

■Gw ZF4(4倍 狙撃スコープ)
Gew.43/Kar.43ともに標準でレールが付いており、ワンタッチで4倍の狙撃スコープが装着できるように設計されていました。半自動小銃の狙撃銃は初弾をミスした場合、第二弾を迅速に発射できる、反撃された場合の素早い応戦が可能になるといった利点があり、『最強の狙撃手』の中で、"ゼップ"・アラーベルガーもKar.98KとGew.43を状況によって使い分けています。

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しかしながら、連合国の戦略爆撃が激しさを増す中、安定した生産体制の維持が困難になり、さらに爆撃の被害や兵役により熟練工が減少、労働力として強制収容所の囚人や捕虜などに頼らざるを得なくなります。そのような状況で生産された中で狙撃銃としての要求仕様を満たせたものは極僅かで、実際に狙撃銃として使用されたのは10%以下でした。
Gew43_32-2.jpg 
こちらは4倍率スコープのGw ZF4(Gewehr Zielfernrohr 4-fach)です。Gew.43以外にFG42やMP43にも装着されました。製造メーカーは3社でそれぞれ生産数は下記の通りです。

メーカーコード生産数
Voigtländer und Sohn, Braunschweigddx. 73,000 
Opticotechna GmbH, Preraudow. 40,000 
AGFA Kamerawerk, Münchenbzz. 3,500 


Gew43_15-1.jpg
このスコープには「Gw ZF4」の刻印がありますが、1944年12月15日には「ZF K43」に変更されます。なお、△はグリース記号で1943年後半以降の製造、水色は一般的には寒冷地仕様を示すとされています。

Gew43_14-3.jpg 
ZF4のアクセサリーは、①ゴム製アイカップ②遮光フィルター③サンシェード④レンズカバー⑤マウント⑥ウィンテージ・ノブキャップがセットになっています。

Gew43_17-2.jpg
垂直に配置されているノブは距離を調整するエレベーション・ノブでレチクルが上下します。1~8(100~800m)まで50m間隔で目盛りが刻まれています。
Gew43_17-3.jpg
水平に配置されているノブはウィンデージ・ノブでレチクルを左右に移動します。
レティクルの前にあるレンズ(対物レンズ側)が左右に動き、像自体が動くようです。(A.Iさん、ご指摘ありがとうございます)


Gew43_33.jpg 
ドイツ軍の狙撃スコープはこのパターンのレチクルが一般的です。

Gew43_57.jpg

ZF4の脱着方法について。

Gew43_43.jpg
レールに沿ってマウントをスライドします。




Gew43_44.jpg
「カチッ」と音がしてレールの溝でロックがかかります。スコープを外す時は矢印の部分を押しながら左にスライドさせます。




Gew43_45.jpg
レバーを左から右に移動し、固定 ”fest"します。外す時はレバーを左に移動し、解除"lose"にします。
Gew43_66.jpg

最初から狙撃スコープ有りでデザインされている為、この状態でのバランスは抜群です。スコープは短く、右側にオフセットされているので、ボルト操作や5発クリップでの装填には一切干渉しません。

■マガジンポーチ
Gew.43のマガジンが2個(20発分)が収納可能な専用のポーチを紹介します。マガジンポーチは本革製以外に代用皮革やビニール製、布製、ゴム引き製と様々なタイプがあります。MP44のポーチと同じく残像数が少なくコレクターの間で高額取引されていた為、東欧を中心にフェイクが大量に生産され市場に出回りました。

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こちらはビニール製のポーチです。ビニールは正確には「ポリ塩化ビニル(PVC)」という合成樹脂の一種で、塩化ビニルモノマーを重合させた樹脂に柔らかくする可塑剤と劣化を防ぐ安定剤が加えられたものです。1927年にアメリカで工業化がスタートします。
ポーチ本体の生地はフランスの高級ブランドのルイ・ヴィトン製品と同じく、キャンバス地をポリ塩化ビニルで加工したものです。

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こちらは革製のポーチです。写真は無いですが、内部に"bla 1944"の刻印があります。

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こちらは"ros 1944"刻印で生成りの革製です。ストラップ通しが無く、留め金具が底部についています。
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ウエストベルトの左側にマガジンポーチ、右側に30発小銃弾入りポーチを装着します。

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私の記憶の限りにおいては、Gew.43が登場する映画や漫画は無かったように思いますが、ショウエイのモデルガン効果もあり非常に人気のある銃です。


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