FC2ブログ

ヴィントヤッケ(Windjacke)

こんにちは、エーデルマンです。いやーそれにしても殺人的な暑さですね。東京ではコロナよりも熱中症で搬送される数の方が多く、命にかかわる重症者も出ています。外で活動される場合はぜひお気をつけ下さい。
WJ05.jpg
さて先日アップしたヴィントブルーゼに続いて、本日はヴィントヤッケ(Windjacke)を取り上げたいと思います。
ヴィントヤッケの起源は第一次大戦中の防寒着のようですが、第二次大戦のドイツ軍のヴィントヤッケとは違い前合わせは8つボタンが一列に並んでおり、フードが付いたタイプもあったようです。

第一次大戦後、登山やスキー用に民間で販売されたヴィントヤッケは前合わせのボタンがダブルで、こちらが原型となった可能性が高いです。

60.jpg 
1930年代のスキーウェアの広告。左下の服(Nr.2938)が同じ形です。(少し丈が短いですが)

なお、1920年代初頭にはナチス突撃隊での着用が非常に多く確認されています。初期の突撃隊はバイエルン州の義勇軍出身の隊員が多く、特にオーバーラント義勇軍においては登山帽とヴィントヤッケがトレードマークの一つでもあったようです。

Bundesarchiv_Bild_102-13374,_Neustadt,_Motorrad-Patrouille_der_SA

ヴィントブルーゼで説明した通り、ライヒスヴェーアで1925年頃から使用されていたようです。(こちらのサイトには実物の写真が掲載されています)

GJ_jacke_19.jpg
なお資料本『Die deutsche Reichswehr』によると、当時のヴィントヤッケはグレーと白のリバーシブルになっており、グレー側はタグア椰子(独 Steinnuss)の黒ボタン、白側は白い角製ボタンが付いていたようです。(以上の情報や資料は、弊ブログの読者であるottoさんから頂きました。ありがとうございます!)


WJ1.jpg

それではヴィントヤッケの詳細を見て行きたいとおもいます。ドイツ軍が山岳部隊へ支給したヴィントヤッケはオリーブグリーンの帆布(キャンバス)製で、5つボタンのダブルです。

WJ13jpg.jpg
襟元は野戦服と同じく、スチール製のホックで留められるようになっています。

WJ14jpg.jpg
開襟にすることもできます。

WJ5-1.jpg
襟の裏です。襟を立てた状態で固定する為のフラップが付いており、釦で留められるようになっています。

WJ12jpg.jpg
縦襟にしてボタンで留めれば首から体温が奪われるのを防げます。

WJ101jpg.jpg
軍用なので野戦服と同様に着脱式の肩章となっています。このヴィントヤッケにはフェルト製の肩章が付いていますが、キャンバス製の肩章も非常にレアですが存在しています。

WJ22.jpg

こちらがキャンバス製の肩章。(ネットで拾った画像ですみません)ただし、このような肩章はラーヒスヘールの夏季モールスキン制服用として他兵科でも一般的に使用されることがあります。

WJ9.jpg
サイドポケット(ハンドウォーマー・ポケット)

WJ15.jpg
腰ポケットは容量たっぷりです。

GJ_jacke_26.jpg
ウエストベルトをヴィントヤッケの上から締めることが一般的です。

WJ11.jpg
袖ににはボタンで絞れるようになっています。

WJ3.jpg
内装を見ると、リバーシブルでは無く一枚のキャンバス地で作られていることが分かります。なお、右側にはボタンホールが無いことから左前では着用できません。

WJ2.jpg
後ろ側は極めてシンプルで、腰に調整用のハーフベルトが付いています。

WJ8.jpg
胸囲が96cm、襟から肩の長さは39cm、首回り50cm、袖丈51cmであることが分かります。この写真では補給廠のスタンプは薄れて判読が難しいですが、肉眼では"M40"と見えなくもなく、ミュンヒェンに40年に納品されたと推測します。

WJ17-1.jpg
こちらはGew.33/40を支給された高地山岳猟兵(Hochgebirgsjäger)のゾルトブーフの支給装備欄ですが、ヴィントヤッケがリストに入っています。

このヴィントヤッケには写真のように右袖にエーデルヴァイス章の丸い縫い跡があるのですが、日焼け具合から戦時中には付いて無かったと思われます。
WJ18.jpg
当時の写真で見ると、エーデルヴァイス章が付いていない事が多く、このヴィントヤッケも戦後コレクターが付けられたものを、再度外した可能性が高いです。

キャンバス地に機械刺繍されたヴィントヤッケ専用のエーデルヴァイス章が希少ながら存在しています。下記の画像は前述のottoさんより拝借しましたので掲載させていただきます。
WJ20.jpg

このような専用品は汎用性が無い上に、エーデルヴァイス章はヴィントヤッケへの着用が必須で無かったこともあり、総生産数が極めて少なかったと思われます。
WJ19.jpg
こちらはフェルト生地に刺繍のエーデルヴァイス章ですが、ヴィントヤッケのキャンバス生地ごと切り取られています。

WJ16.jpg
当時の写真を見るとエーデルヴァイスのヴィントヤッケへの着用例は少ないです。


FC2 Blog Rankingに参加しています。

←ポチっと応援お願いします!

Profile

エーデルマン

Author:エーデルマン
脳内の99%をドイツ軍が占めている、そんなアラフィフ親父です。
注)当時のドイツ軍の装備・生活用品に興味がありますが、特定の団体・思想を支持するものではありません。

↓管理人へのMailはこちらからどうぞ↓

Category
検索フォーム
FC2 Counter
Comments
Archive
Links
エーデルマンの参考文献
Ss-brigadefuhrer Und Generalmajor Der Waffen-ss Theodor "Teddy" Wisch
Ss-brigadefuhrer Und Generalmajor Der Waffen-ss Theodor "Teddy" Wisch
個人秘蔵の未公開写真が満載でLSSAHファンは必読の書。著者は友人

WWII ドイツ軍兵器集 〈火器/軍装編〉 (1980年) ワイルドムック
WWII ドイツ軍兵器集 〈火器/軍装編〉 (1980年) ワイルドムック
長年教科書だった本。小宮氏の「ドイツ軍の全貌」の解説がすごい

最強の狙撃手
最強の狙撃手
ドイツ軍No.2スナイパーの回顧録。狙撃シーンもすごいが、当時の兵士の生活も垣間見れる一冊

第2次大戦ドイツ軍装ガイド
第2次大戦ドイツ軍装ガイド
鮮明な写真による軍装品説明はブログ写真撮影の参考にしています

ドイツ軍装備大図鑑: 制服・兵器から日用品まで
ドイツ軍装備大図鑑: 制服・兵器から日用品まで
軍装品のカタログとも言えるボリュームは圧巻。実は密かに打倒を狙っていたり・・・

第2次大戦ドイツの自動火器
第2次大戦ドイツの自動火器
実物のFG42実射レポートを読めるのはこの本だけ

“グロースドイッチュランド”師団写真史―東部戦線におけるGD機甲擲弾兵師団1942‐1944
“グロースドイッチュランド”師団写真史―東部戦線におけるGD機甲擲弾兵師団1942‐1944
ドイツ国防軍好きなら買って損はなし

図説ドイツ軍用銃パーフェクトバイブル (歴史群像シリーズ Modern Warfare MW)
図説ドイツ軍用銃パーフェクトバイブル (歴史群像シリーズ Modern Warfare MW)
ドイツの軍用銃の専門書でビジュアル的に見ていて楽しい

ドイツの小銃拳銃機関銃―歩兵兵器の徹底研究 (光人社NF文庫)
ドイツの小銃拳銃機関銃―歩兵兵器の徹底研究 (光人社NF文庫)
ドイツ軍用銃のバイブル的な書。ドイツ軍スナイパートップ3への一問一答が興味深い

Feldbluse: The German Soldier's Field Tunic, 1933-45
Feldbluse: The German Soldier's Field Tunic, 1933-45
M33からM44までドイツ陸軍の野戦服を網羅。特にM36以前の野戦服は必見

Rations of the German Wehrmacht in World War II
Rations of the German Wehrmacht in World War II
とにかく当時のドイツ兵が食べていた糧食にこだわった一冊

武器と爆薬―悪夢のメカニズム図解
武器と爆薬―悪夢のメカニズム図解
迫撃砲はどうやって砲弾を飛ばすのか?小銃擲弾は?ほかにも大砲や爆弾のしくみを源文マンガでわかりやすく解説

グラフィックアクション GRAPHIC ACTION 1993年 No.17
グラフィックアクション GRAPHIC ACTION 1993年 No.17
このシリーズは市場で見つけたら買うべし

ドイツ武装親衛隊軍装ガイド (ミリタリー・ユニフォーム)
ドイツ武装親衛隊軍装ガイド (ミリタリー・ユニフォーム)
WSS専門だけど全部実物!

鼠たちの戦争〈上〉 (新潮文庫)
鼠たちの戦争〈上〉 (新潮文庫)
映画「スターリングラード」の原作本的な内容だが100倍面白い

鼠たちの戦争〈下〉 (新潮文庫)
鼠たちの戦争〈下〉 (新潮文庫)


スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943 (朝日文庫)
スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943 (朝日文庫)
塹壕から故郷へ送った兵士の手紙が興味深い「クリスマスはドイツ風に」の章は涙なくしては読めません

ケルベロス 鋼鉄の猟犬 (幻冬舎文庫)
ケルベロス 鋼鉄の猟犬 (幻冬舎文庫)
ヒトラーが暗殺された後の撤退戦を描いた架空小説。小道具にこだわるところがマニアっぽい

泥まみれの虎―宮崎駿の妄想ノート (大日本絵画)

ナルヴァ戦線で活躍したオットー・カリウスの自伝を宮崎駿監督が漫画化。「ティーガー薬局」を営むカリウスを訪問しインタビューという企画が素晴らしい

Flag Counter