短ゲートル (Gamaschen)

短ゲートル(Gamaschen)はアンクルブーツ(Schnürschuhe)を履いた際にズボンの裾がヒラヒラして邪魔にならないよう、また靴の中に土や泥が入り込むのを防ぐ用途で1940年8月8日に導入されました。

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アンクルブーツ自体は戦前から既に使用されており、短ゲートル導入以前は革製の脚絆を使用することが一般的でした。

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機関銃手の足元には脚絆が着用されています。

1939年9月のポーランド侵攻から1941年のソ連侵攻までのわずか2年間でドイツ軍兵力は急速に拡大します。
当然多くの資源が不足するようになり、革もその内の一つに数えられるようになりました。
そんな状況を打開すべく軍部はアンクルブーツを後方部隊向けに支給、前述の通り40年の短ゲートル採用後はアンクルブーツとの組み合わせで前線兵士にも支給され始め、42年頃から半長靴との置き換えが進められます。

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何年ごろの写真か判りませんが、半長靴とアンクルブーツが混在しています。

写真は初期型の短ゲートルの裏面です。表面は一番上の写真をご覧下さい。縦15㎝x横36cmのキャンバス製で、ベルトと留め金具が2つ付いており足首に巻きつけて固定するようになっています。

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裏面には番号のスタンプが見えますが、製造番号でしょうか?靴に当たる部分は革で補強されています。

9.gif
上記は後期型の短ゲートルです。補強革の形状が違います。

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装着方法は、このようになります。(左足の取付け位置が違ってしまいました)手持ちにズボンが無いので再現できませんが、裾を折ってたくし込むようにします。

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兵士の間では半長靴に比べてアンクルブーツと短ゲートルの人気は今ひとつでした。

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それはとても理解できます。
機能うんぬんよりも、整列した時の格好良さが全然違いますから。


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山岳猟兵用ゲートル (Gamaschen für Gebirgsjäger)

今更ですが皆様あけましておめどうとうございます。本年も『東部戦線泥沼日記』をどうぞよろしくお願いいたします。
さて、本日は山岳猟兵(Gebirgsjäger) に支給されたゲートル(Gamaschen)をアップしたいと思います。

gamaschen0.jpg
ドイツ軍山岳猟兵の登山靴(Bergstiefel)と巻きゲートル(Wickelgamaschen)及び短ゲートル(Stoffgamaschen)です。
ゲートルは脛を守るという目的以外に、長時間歩行する際に披露を軽減する効果もあります。ヨーロッパの軍隊で伝統的に使用されてきましたが、ドイツ軍は第一次大戦から兵士には半長靴を支給しました。

$_12.jpg 
半長靴はアンクルブーツ(編上靴)+ゲートルに比べ、着用に時間がかからない一方で、異物が靴の中に入りやすい構造となっています。
(機械化された部隊が比較的平坦な土地で戦う場合は良いでしょうけど・・・)
しかしながら、より険しい道を長時間歩かねばならない山岳猟兵にとって、半長靴はふさわしい装備ではなく頑丈な登山靴とゲートルが支給されました。

GJRb-0.jpg

まずは定番の巻きゲートル(Wickelgamaschen)から紹介しましょう。

巻きゲートルとは <Wikipediaから>

巻脚絆とは包帯状の細い布を巻いて脚絆を作るもの。19世紀末頃から使われ始める。世界の軍隊の軍装品としては第一次世界大戦をピークに、第二次世界大戦頃まではレギンス型や長靴とともに各国の軍隊で広く用いられた。脚絆の一端には脚絆を最後に固定するための紐が取り付けられている。欠点としては、上手に巻くには慣れが必要で時間がかかり、高温多湿の環境下ではシラミなど害虫の温床になりやすい。

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こちらの巻きゲートルは官給品とされているタイプで、グレー色のウール生地でできています。
非常に珍しい当時の紙ラベルが付いた未使用状態です。

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「Mars-Band」(火星バンド)
「Eingetragenes Warenzeichen」(登録商標)
「Verschlussband für lange Hosen」(長ズボン用裾テープ)


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裏側は文字はなく、巻きゲートル本体と紙ラベルが虫ピンで止められています。
本来なら巻きゲートルを広げた写真を掲載すべきですが、紙ラベルを破るのがもったいないので、ネットで拾った画像を貼っておきます。
(スミマセン・・・)

gamaschen24.jpg gamaschen25.jpg gamaschen26.jpg 
タグにはL(Links)、R(Rechts)の文字があり、左用・右用に分かれています。タグの下にあるのは登山靴に固定する際に靴紐に引っ掛ける金具です。

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こちらは巻きゲートルに付属する取扱説明書です。巻き始めはフックを2番目と3番目の間にある紐に引っ掛けるべし、など巻き方の説明が載っています。

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裏面には取り外し方が載っており、外した後は緩ませた状態で数時間おいてすぐに巻かないこと、などの注意書きがあります。

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休憩中の山岳猟兵。兵士によってゲートルの長さがマチマチなのが興味深いです。

続いて短ゲートル(Stoffgamaschen)の紹介です。
実は恥ずかしながら2-3年前まで短ゲートルの存在を知りませんでした。
短ゲートルの存在を知ったのはこの本を入手してからです。


The German Mountain Army Soldier of WWII

この本には山岳猟兵の実物軍装や当時の写真が多く掲載されており、山岳猟兵ファンなら必携の一冊です。

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これを見た時、思わず「米軍かよ!」と突っ込んでしまいました。
この短ゲートル、残存数が少なく探すのに苦労しました。(とは言いつつも巻きゲートルより先に入手したんですが・・・)

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この短ゲートルはダークグリーン色のキャンバス生地で作られています。革製の紐で10個のハトメで締めるようになっています。

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裏地です。ウェブで縁が補強されており、非常に頑丈な造りになっています。

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スタンプのクローズアップ。RB  Nr とGr Ⅲ(Größe=サイズ3) が白いインクで書かれています。
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登山靴に装着してみました。巻きゲートルと違い開口部を完全に覆うことができます。
(紐がブチッと切れるのが怖くて、締め方が緩々なのはお許し下さい)

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踵の部分は二重に補強されています。
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こうして見るとますます米軍レギンスに見えます。

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短ゲートルは鉄金具で土踏まずの部分で固定します。

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ウェブ製ストラップは革ループに通して固定。
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ストラップの金具は水筒のフェルドカバーのなどスナップに使用されているSTOCKO製です。
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米軍かよ!(しつこい)
さて、これらのゲートルですが、2つとも山岳猟兵には支給されたのでしょうか?

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こちらの写真では同じ部隊の兵士がそれぞれ巻きゲートルと短ゲートルを使用していることが分ります。
なお右側の兵士は短ゲートルの上から巻きゲートルを被せて防水性を高めているようです。

山岳猟兵の当時の写真は巻きゲートル姿がほとんどで、短ゲートルを着用した兵士の写真は少ないことから、巻きゲートル=一般装備、短ゲートル=特殊装備として限られた兵士のみに支給されたのかも知れません。


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山岳猟兵用ゲートル (Gamaschen für Gebirgsjäger) その2

前回の日記でアップした巻ゲートル(Wickelgamaschen)は、足首部分を巻くにはちょうど良い長さですが、膝下まで巻くには長さが足りません。

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ノルウェーのナルヴィクで、山岳猟兵分隊を閲兵するエデュアルト・ディートル第3山岳師団長。
さすが山岳部隊、将校も山岳ブーツに巻ゲートル着用です。
(良く見ると前列左から3人目と4人目の兵士は前回紹介した短ゲートルと巻ゲートルを併用していますね)

ネットで調べると長さは2m半くらいあるらしく、旧日本軍のそれも同じ位の長さだったようです。
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こちらが長い巻ゲートルです。こちらだけだと長さの違いが分かりません。


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で、両方を並べてみました。長さは倍以上も違いますが幅は同じ7.5cmです。


 
The German Mountain Army Soldier of WWII

山岳猟兵の資料本によれば、巻ゲートルにはロング、ミディアム、ショートの3タイプがあるようです。
ロングは戦前のライヒスヴェーア時代から一般の兵士にも支給されていましたが、ショートは山岳猟兵用に作られたとのこと。

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写真のゲートルはショートタイプで「Mars-Band」のタグがあります。手前の新品のゲートルもMars-Bandでショートタイプなので間違いなく同じタグがあるはずです。


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こちらの巻ゲートルには白い「Mars-Gamasche」タグがあり、右と左に分かれています。

今回入手した巻ゲートルは新品ではないので実際に足に巻いてみようと思いましたが、経年で生地がかなり薄くなっており、きつく巻くと破れそうなので実演は断念しました。

ということで今回の日記はこれで終了です。
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次回の日記はこの中に写っているアイテムを取り上げたいと思います。


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エーデルマン

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脳内の99%をドイツ軍が占めている、そんなアラフィフ親父です。
注)当時のドイツ軍の装備・生活用品に興味がありますが、特定の団体・思想を支持するものではありません。

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