分隊用ストーブ (ARARA 37 Feldkocher fur ein Gruppe)

ドイツ軍が戦時中に使用した分隊用ストーブが欲しくなり、数年前に『JUWEL 34』をオークションで入手しました。
分隊用ストーブはその名の通り分隊単位で配られた料理を作ったり、暖を取るのに使用する調理用ストーブです。

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『JUWEL 34』
ご存知の通り、JUWEL 34は戦後の生産品で、ナチスドイツではなくDDR(東ドイツ)の軍隊が使ったストーブです。
しかしながら実は購入前に大きな誤解をしていました。
『JUWEL 33』という大戦中に使用されたストーブのことは知っていたので、JUWEL 34はでっきり33の翌年、34年に採用された戦中モデルと勘違いしたわけです。(数字=採用年だと考えてしまう軍装マニアの悲しい性・・・)

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写真は『JUWEL 33』です。後継モデルであるJUWEL 34とは構造はもちろん、外観もほぼ同じです。
(写真は海外コレクター所蔵品)
なお、このJUWELストーブ、現在もマイナーチェンジを経て販売されています。(現行モデルはこちら

もともと『SVEA 123R』(ポータブルストーブの元祖ブランドでJUWELはそのコピー)を学生時代から登山やキャンプで愛用し、このタイプのストーブが好きな私は、返品もせずコレクションに加えることにしました。

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20年以上愛用しているSVEA 123R。全くメンテナンスしていないにも関わらず、動作は常に良好です。
冬山のキャンプでは「ブォー」という力強いバーナーの音に寒さや疲れを忘れます。

それでも、一応はドイツ軍装コレクター端くれ。やはり大戦中モデルのJUWEL 33の存在が忘れられません。
ぜひ入手したい!しかし軍装コレクターだけでなく、ヴィンテージストーブコレクターも血眼になって探しているアイテムです。
ジャンルを広げてウォッチしましたが、現存数が少ない為でしょうか、なかなか市場に姿を現してくれません。

そしてある日のこと、オークションにJUWEL 33に形の良く似たポータブルストーブが出品されてました。

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上蓋には『ARARA 37』の文字が。


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『Deutsche SOLDATEN』の258ページに載っているストーブと同じようです。

あくまでJUWEL 33が本命ですが、これも大戦中のストーブには間違いないようなので狙ってみることにしました。
しかしながら相場が全く判りません。JUWEL 34の1.5倍くらいかな?と気軽に考えていたのは浅はかでした。
競った末、なんとか落札できたものの想定の2倍以上の価格に。。。(涙)
ドイツ軍装コレクターにとって、分隊用ストーブは露出度が低くエスビットほど必須アイテムってわけではないはず。
きっとヴィンテージストーブコレクターも入札に参加したに違いありません。

アメリカのイリノイ州より到着したARARA 37です。

1_20120219004654.jpg  2_20120219005847.jpg

光源の違いで微妙な違いが出てしまいました。上側が実際の色に近いですね。

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出品者の説明によればアメリカの帰還兵がドイツから持ち帰ったそうですが本当でしょうか?
  
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タンク部は風防や蓋と同じくジャーマングレーで塗装されています。
NUR FUR BENZIN(ガソリン専用)の文字はJUWEL 33や34にもあります。

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火力の調整、メンテナンス用のツールが付属しています。
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ポータブルストーブのコレクション。左からARARA 37・JUWEL 34・SVEA 123Rです。
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タンクやバルブの形に違いがあるものの、基本構造は全く変わっていません。
ARARA 37はプレヒートした形跡はありますが、バルブが綺麗なのでほとんど使われてはいないようです。

ARARA 37は入手したものの、JUWEL 33をまだ捜し求める自分がいます。(どこまで続くこの泥沼よ・・・)

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分隊用ストーブ (Juwel 33 Feldkocher fur ein Gruppe)

人類と火の歴史が始まったのは今から160万年前ごろ、ジャワ原人や北京原人などのホモ・エレクトスがいた時代だと考えられています。落雷や山火事で発生 した火は、最初は彼らにとって恐怖の対象でしかなかったと思います。
そのうち群れの中で勇気ある一匹(一人?)が恐る恐る近づいて火のついた枝か何かを洞窟に持 ち帰ってみたところ・・・

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寒 い冬でも凍死しなくなった、調理することで多くの食物を安全に食べることができるようになった、襲ってくる獣や敵から身を守ることができたなど、人類は火 を身近に置くことで数多の恩恵を受けます。するどい牙や厚い皮膚を持たない人類が厳しい生存競争に打ち勝つことができたのも、火という心強いパートナーがいたからでしょう。

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火と親密になればなるほど文明はますます栄え、生活は豊かになっていきます。
そして13世紀末には、ある物質が誕生し人類に強大な破壊力を与えることになります。



火薬の発明です。

【火薬】
火薬(かやく)や 爆薬(ばくやく)は、熱や衝撃などにより急激な燃焼反応をおこす物質(爆発物)のことを指す。狭義には最初に実用化された黒色火薬のことであり、ガン・パウダーの英名通り、銃砲に利用され戦争の歴史に革命をもたらした。
(Wikipediaより)


火薬と同時に遠くの敵をより多く殺傷する火器も開発され、戦術は大きく変わります。article161.jpg
17世紀に入ると固体(石炭)や液体(石油)など、木に変わる燃料を燃やし動力とする機械が作り出され、人間はその何千・何万倍の力を有するようになります。
こうして文明はますます発展していきますが、とどまることを知らない人類の欲望はさらに多くの火を必要とし、20世紀には燃料の奪い合いが世界規模で起こります。

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2度の世界大戦はあらゆる分野でイノベーションを起こしますが、これまで築き上げてきた文明を一瞬にして消滅させてしまう"核"という新たな火も人類は作り出してしまいました。

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「多すぎる火は何も生みやせん」 by 風の谷


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火が人間の愚かさを露呈させる一方で、文化的発展に大いに貢献したことの一つに食物の加工=調理があります。

火を使って調理することで多くの物を安全に食べられるだけでは無く、美味しく食べることができるようにもなりました。
焼く以外に煮る、蒸す、揚げる、炒めるなどの料理法も竈や鍋などの調理設備の発達で可能となり、世界中で食文化が生まれます。

野外で調理したい場合、薪や炭を使う焚き火が一般的な方法でしたが、19世紀のフランスで灯油を燃料に使用するポータブル・ストーブが発明されます。ポータブル・ストーブは火をおこす手間を減らし、持ち運びにも便利という利点を備えており、屋外活動が主なキャンプや登山、さらには軍隊でも使用されました。

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スウェーデンで1892年に開発された加圧式ストーブ「プリムス・ストーブ」は頑丈で信頼性が高く、ロアール・アムンセンの南極点の探検やリチャード・バードの北極点到達といった極地探検への携行ストーブとして選ばれ、とくに悪環境下でその性能を発揮しました。
「SVEA 123」はプリムス・ストーブから発展したポータブル・ストーブで加圧ポンプを省略し、さらに小型・簡素化を実現、携行性を高めています。

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   こちらは改良型のSVEA 123R

第二次大戦中のドイツ軍はこのSVEA 123に類似のストーブを採用します。以前紹介した「ARARA 37」と今回紹介する「Juwel 33」が有名です。

下記は先週の出張で持ち帰ったモノの一つ、Juwel 33です。ドイツから送られてきました。


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SVEA 123のコピーと言われていますが、外観を見る限りはこれはこれで独自のデザインです。
このJuwel 33には上下の蓋を固定するストラップが付いていますが、ストラップ無しのタイプもあります。

JUWEL14.jpg

蓋にはJuwel 33とGutav Barthel社の刻印があります。

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使用するには上蓋を外し、風防兼防護カバーの上に調理容器をのせます。


 JUWEL9.jpg

心臓部のバーナーと燃料タンクです。燃料タンクをプレヒートし気化した燃料(ガソリン)に着火するという非常にシンプルな構造です。火力は斜め下に突き出した制御バルブで調整します。
この部分は、SVEA 123とそっくりです。どちらが真似をしたのかは定かではありませんが、知名度を考えるとJuwel 33がコピーだと考えるべきでしょうか。

タンクにも蓋と同じくJuwel 33とGutav Barthel社の刻印がありますがこちらは錆びがびっしりと浮いている為、判別が難しい状態です。


続いて、Juwel 33の付属品です。

1 工具ケース
2 スパナ
3 漏斗
4 ノズル清掃工具
5 清掃針

スパナはバルブを分解する際や制御バルブのハンドルを操作する時、ノズル清掃工具はニップル(パイプ)が詰まった際に使用します。
付属品には上記に加え予備のニップルやパッキングがありますが欠品しています。

取り扱い説明書も工具ケースの中に折りたたんで入れられるようになっていますが、本品に付属してた説明書は折りたたまれた形跡が無い為、別途保管していた可能性があります。
(取り扱い説明書については下記で詳しく)

【取り扱い説明書】

(表) 使い方の説明及び交換用パーツの部品番号が書かれています。

JUWEL16.jpgJUWEL17.jpg

(裏) Gutav Barthel社の小型ストーブやトーチの広告が載っています。

JUWEL19.jpgJUWEL18.jpg


最後にポータブルストーブの比較です。

JUWEL4-1.jpg  JUWEL10-1.jpg     


まずはARARA 37との比較。ストラップの有無以外は全く同じデザインです。軍からの指定ということで共通性が多いのかもしれません。



JUWEL13.jpg  JUWEL12-1.jpg

戦後モデルのJuwel 34との比較。こちらも風防のスリットの形状・数以外はほとんど同じです。制御バルブが水平に改良されています。

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以上、だいぶ前にキャンプ場で焚き火をぼんやりと眺めながら、ふと浮かんできた考えを文字にしてみたところ、このようにブログ史上最長の前置きになってしまいました。(あと、画像の横に文字が打てることを発見し、嬉しくてつい・・というのも理由です)

このJuwel 33は煤やバーナーの状態から見てつい最近まで使われていたようです。道具は使ってナンボのもの(ただし高いのとか希少品は・・・(^_^;))、こちらに来てアウトドアとは無縁の生活になってしまいましたが、機会があればぜひ使ってみたいですね。

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分隊用ストーブ (Juwel 33 Feldkocher fur ein Gruppe)

Juwel 33ARARA 37と共にドイツ軍が分隊単位で支給したポータブルストーブと言われています。

しかしながら、文献にはほとんど出てこず、兵士の証言から存在が確認できる程度。例えば、エスビットのところで書いたように、フィンランド北部に駐留していた山岳部隊には猟兵2人に1つずつ支給された一方でグロースド イッチュランドのある中隊にはガソリンストーブ20個とエスビットが数個支給された・・・等々。


juwel-01.jpg  
分隊の中で誰が持っていたのか?どういった状況で使われたのか・・・当時の写真にもほとんど写っておらず、実態がよく掴めない装備であったりします。

もちろん、このようなポータブルストーブ自体は缶ストといって登山家やキャンパーから愛用されており、その代表選手は誰もが知るSVEA123でしょう。(現在はOptimus SVEA 123R)


        juwel-10.jpg

ちなみに以前の記事でJuwel 33は、SVEA 123のコピーと書きましたが、SVEA 123は1955年に発売なんですね。元々このスタイルを開発したのはGustav Gerthel社がオリジナルなのかどうなのか・・・ネットで調べてもよく判りません。

そんなJuwel 33ですが、新たに購入してしまいました。

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オークションでゲットしました。あれだけ血眼になって探していたJuwel 33ですが、出るときは出るものですね。


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Gustav Barthel社のロゴ


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スチール製タンクにはJUWEL 33 Uと刻印されています。


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このJuwel 33、風防はヘコミ、塗装も剥げまくりです。
ではなぜ、既に所有していたものよりもコンディションの悪いものを購入したのか?

実は付属のメンテナンスツールが目当てでした。

juwel-9.jpg

本体のボロさとは裏腹に専用ボックスのコンディションは良好、中身の予備のパーツも揃っていました。


ところが、このJuwel 33、驚くべき事実が隠されていました。

到着したら、あまりに煤だらけで汚かったのでWD40で綺麗にしたところ・・・

なんと!燃料タンクの裏に、こんな刻印が。

juwel-3.jpg
ヴァッフェンアムトにH(eer)、1941年にドイツ陸軍に納品されたモノのようです。

軍用ストーブにも、このような刻印が押されていたとは全く知りませんでした。

この刻印はドイツ軍における正式な支給装備であるという裏付けに成り得ますね。筒ストーブをこよなく愛する者としてはちょっと、いやかなり嬉しい発見でした。


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脳内の99%をドイツ軍が占めている、そんなアラフィフ親父です。
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