M36野戦ズボン(M36 Langhose)

Frohe Weihnachten!(ドイツ語で“メリークリスマス”)ということでX'masに関連したグッズをネタにしようと考えましたが、相応しいものが思い付かなかったので秘蔵のM36野戦ズボン(M36 Langhose)を紹介したいと思います。(クリスマスには全く関係なし)

M36野戦ズボンは第二次大戦開戦前後に兵・下士官に支給されたウール製のストレートズボンで、ストーングレイ "steingrau" と呼ばれる青っぽいグレー色が特徴です。

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ベルトでは無く、サスペンダーで吊るオーソドックスなスタイルです。背中側にはウエストで絞れるよう調整ベルトが付いています。

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“社会の窓”はジッパー式ではなくボタンフライ。裏地は白のコットン製でウエスト部分のみとなっています。


pant12.jpg  
右前ポケットの隣に懐中時計用のポケットと時計のチェーンを留めるループが取り付けられています。
(このような専用ポケットがあると、懐中時計が欲しくなりますね)


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調整ベルトでウエストを絞ることができますが、よく見るとベルトのフックを通す穴がありません。適当な場所で穴を開けたのかも知れません。V字切り込みの両脇に付いている4つのボタン(1つ欠品)はサスペンダーを吊る用のものです。

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M36野戦ズボンは1939年のポーランド侵攻や1940年のフランス侵攻のカラーの記録映像で見ることができます。

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24秒あたりで、行軍する兵士が履いているズボンは明らかにM36野戦ズボンです。

life_262.jpg
こちらのカラー写真の兵士が履いているズボンもストーングレイです。

pants10.jpg
モノクロ写真でもはっきり違いが判りますね。

M36 野戦ズボンは、ウール生地が同色で上着と共有できるM40野戦ズボンが導入されると同時に姿を消していきます。戦場での消耗が激しいズボン は、上着に比べると交換のサイクルが早かった為でしょう、M36野戦服を着ている兵士でもズボンはM40野戦ズボンというパターンが多く見られます。
それ故にM36野戦ズボンの残存率は低く、これまで売りに出されているのを目にしたのはこのズボンを含めて3着のみです。なおM36に限らずドイツ軍の野戦ズボンはどれも市場に出てくることは稀で、外観はいたって普通、特別な造りでは無い野戦ズボンは、戦後も民間で使用され多くが消耗・廃棄されてしまった為か、上着よりも数倍入手しづらくなっています。

フランス侵攻作戦当時のドイツ上等兵の姿を再現してみました。

pant5.jpg
ドイツ軍が連戦連勝だった頃の姿ですね。


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M36野戦ズボン(M36 Langhose) Part2

戦前・大戦初期に使用されたストーングレイ(Steingrau)のフェルト製M36野戦ズボン(M36 Langhose)は過去に一度日記で取り上げましたが、 自分の中でまだ物足りない感があり、ちょうど新しいモノが手に入った機会に細かく見ていきたいと思います。

  stonegray42.jpg  
なお前回と同じ写真の撮り方では面白くないので、今回はマネキンにヘムトと一緒に着装してみました。シルエットが立体的になりズボンのデザインがよく判りますね。

詳細に入る前に、ここでちょっと昔の話を。
人生で初めてストーングレイの野戦ズボンの実物を目にしたのは『コンバット★マガジン』でした。

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1981年10月号の「MP40」の特集でモデルのドイツ兵が履いている青味の強いグレイのズボンは、タミヤMMシリーズの色指定の影響でズボンの色=フィールドグレイ一色と思い込んでいた私にとって衝撃的でした。
他にも1/1実物が満載のこの記事は大好きな“シュマイザー”MP40と相まって私の軍装趣味への第一歩となりました。

さて昔話はここまでにして、野戦ズボンの詳細を見ていきましょう。
stonegray10.jpg
前回紹介したズボンはスタンプが完全に消えていましたが、こちらは内側にスタンプがはっきりと残っています。
青いスタンプの「Lago Salzburg」はザルツブルグのLago(会社名?)で製造、四つの数字はサイズでそれぞれ股下 78cm ウエスト88cm 全長111cm 腰周り102cmという意味です。
また四角いスタンプにある「3 40 RAD BA S」はRAD(Reichsarbeitsdienst=国家労働奉仕団)のBA S(SaltzburgのBekleidungsamt=被服廠)へ1940年3月に納品されたズボンということを表しています。


35065 RAD

RADの制服と言えば茶色のイメージです。ストーングレイのズボンも使用されたのでしょうか?
実はこのRADのスタンプ、陸軍に支給された野戦服やズボン、帽子に押されているのをしばしば見かけます。理由は判りませんが、コレクターの間ではRADが陸軍の被服補給も兼ねていたという見方が一般的です。

stonegray26.jpg
初期の野戦ズボンにはベルトループが無くサスペンダーで吊る必要があります。


stonegray34.jpg    
前側は4つのアルミ製の平ボタンでサスペンダーのループを留めます。


stonegray33.jpg  
背中側にもサスペンダー用の平ボタンが2組あり、どちらかを使用するようになっています。なおウエストを絞る調整ベルトがあるのが判ります。調整ベルトにはバックルが付いており、ウエストを絞ることができます。ちなみにベルトには調整穴は無く、単純にバックルのツメでひっかけて留めるだけのようです。


stonegray14-1.jpg   
この写真のように結構ゆったりとしたサイズのズボンが支給されたようです。
上着との比較が出来ないので履いているのがM36野戦ズボンかフィールドグレイのM40かは不明ですが、白いスタンドカラーのヘムトにM30ガスマスク用のショート缶が写っていることから戦前か大戦初期の写真と思われます。


stonegray37.jpg
ポケットは前に大型のものが2つ、懐中時計用ポケットが1つ、後ろには1つあります。ポケットの間口は広く(前16cm、後15cm)、角度がつけられており、手袋をしたままでもモノの出し入れがし易くなっています。


stonegray16.jpg  
“社会の窓” はジッパーではなくボタンフライになっています。一番上はサスペンダー用と同じアルミ製平ボタン、下4つは牛角製ボタンで留めるのが当時のドイツ軍スボンの標準仕様です。

さて、カラー写真ではフィールドグレイのM36野戦服と、ストーングレイのM36野戦ズボンの色差は明確ですが、当時のモノクロ写真で見分けるのは結構大変です。下記のカラー写真にマウスをあてると・・・
              
いかがでしょうか?カラーでははっきりしていても、モノクロだと“微妙に違うかな・・・?“くらいで、フィールドグレイのバリエーションと言ってもおかしくありません。

conbat magazine-a  
最後に、M36野戦ズボンの日記を書くにあたって古い雑誌を探していたら、もう一つ懐かしいモノを発見しました。
こちらは『コンバット★マガジン』1986年4月号の付録ポスターです。ドイツ歩兵装備のイラストとその名称がドイツ語の発音付きで載っており、M36野戦ズボンも描かれていました。このポスターは私にとってドイツ軍装の参考書であり、ここに書かれた装備を揃えることが目標でした。

夢を与えてくれた『コンバット★マガジン』さんには感謝です。


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脳内の99%をドイツ軍が占めている、そんなアラフィフ親父です。
注)当時のドイツ軍の装備・生活用品に興味がありますが、特定の団体・思想を支持するものではありません。

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