M24柄付手榴弾 (Stielhandgranate 24)

M24柄付手榴弾(Stielhandgranaten 24)はドイツ軍の代表的な手榴弾で、その形状から別名“ポテトマッシャー(じゃがいもつぶしの意味)”とも呼ばれています。

 m24-12.jpg  
   
   m24-14.jpg     

上記は火薬や信管を抜いて安全処理が施されたM24柄付手榴弾です。下の写真は安全キャップを外し、点火用の紐と握り玉を外に出した状態です。説明は、いつものごとくWikipediaから抜粋させていただきます。

<Wikipediaから抜粋>
第一次世界大戦から使用されていたヘアブラシ型手榴弾M1915の改良型で、大量の炸薬を発火させる事により起こる爆圧で相手を殺傷する。有効範囲は約10m。攻撃型手榴弾に分類される。

発火方式は摩擦発火式。木製の柄の中に弾殻に繋がる紐が付いており、柄のねじ込み式安全キャップ(ボトルキャップの様な形状)を外し、中の紐に繋げた握り玉を引っ張ることによって摩擦で(マッチの様に)導火線部に着火させ、3~4秒で爆発する。一般的な仕様は、指や手首に紐を巻きつけたまま投げる事で、発火と同時に投擲を行う。

M24柄付手榴弾・データ

全長           365mm
弾頭部直径   60.5mm
高さ        77.8mm(86.5mm:マウント部を含む)
炸薬量            TNT火薬 170g

M24柄付手榴弾の存在を始めに知ったのは映画『脱走特急』だったかと。
ライアン大佐(フランク・シナトラ)率いる連合軍捕虜はイタリアの捕虜収容所から脱出しスイスへ向かう途中、国境付近のトンネルで追ってきたドイツ軍部隊と戦闘になります。ライアン大佐らは敵兵から奪った手榴弾を使ってドイツ兵を撃退するのですが、味方が投げる手榴弾はよく当たるのに、ドイツ兵が投げたものはなぜか外れるというお約束に当時もドイツ軍ファンだった私は臍をかんだものです。


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娯楽映画の『脱走特急』とは違い、手榴弾の恐ろしさを私の脳裏に刻み込んだ映画があります。『カティンの森』で復活したポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督の名作『地下水道』です。
ドイツ占領下のワルシャワ、出口の無い地下水道で戦い、そして死んでいくレジスタンスを描いた映画で、『世代』『灰とダイヤモンド』とともに抵抗三部作と呼ばれています。


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映画の終盤、ドイツ軍がM24柄付手榴弾を使って仕掛けたブービトラップをレジスタンス兵士が処理するシーンがあります。

m24-17.jpg
M24柄付手榴弾を点火用の紐で逆さに吊り、間違って引っ張ったりすれば爆発という恐ろしい仕掛けです。足場が不安定の中、少しでも揺らさないようレジスタンス兵士が慎重に一つずつ外していくのですが、今にも爆発しそうでハラハラドキドキしながら見た記憶があります。(そして不幸にも・・・)
実際に対独レジスタンスに参加したワイダ監督だからこそ撮れた迫力のシーンだと思いますが、それにしてもこのM24の信管ってそんな微妙な振動・引っ張りで点火するものなんでしょうか?(普通に手榴弾の紐を切れば良いと思うのですが・・・)


話は変わって、タミヤの模型でも手榴弾は欠かせない小物でした。
1/35ドイツ・パラシューターセットにはM24柄付手榴弾を投擲する兵士が含まれており、それほど興味がなかった降下猟兵でしたが腕まくりした兵士が手榴弾を投げるという造型が欲しいが為に買ったりもしました。

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普通の兵科にすべく、スモッグを削って普通の野戦服に。無知って恐ろしい・・・


   m24-15.jpg

こちらが弾頭部分です。破片では無く爆風で敵を吹き飛ばすため薄い鋼板でできています。
VOR GEBRAUCH SPRENGKAPSEL EINSETZEN”(使用する前に起爆装置を取り付けること)というステンシル文字が見えます。

なお破片効果を高める為、弾頭に被せるアタッチメントも開発されました。(陸軍用のを一個持っていたのですが、どうやら引越しの際に紛失してしまったようです←アホです

M24 fragment
引越し用のダンボールを整理していたら、見つかりました!

m24-16.jpg  
さらにアップするとステンシル文字の下に“Sk. Do Ⅱ”という黒いインク文字が見えます。
海外の手榴弾を専門に収集しているコレクターによれば、Sk.はSprengkörper(爆発物)、DoはDonarite(配合)そしてⅡはバージョン、つまり弾頭の中に入っている火薬配合の種類はバージョン2ということを意味しているようです。

m24-3.jpg
弾頭上部には、刻印“RR 1939”とアムト“WaA 65”が見えます。これらの刻印から1939年にRichard Rinker GmbH社で製造され、65のコードを持つ検査員長によって検査され合格したことが判ります。

m24-22.jpg  
弾頭と柄の接合部分のアップ。木の柄に鉄でできたマウント部がネジで止められています。

m24-11.jpg
弾頭部を外したところです。マウント部にはネジが切ってあって、回して着脱できるようになっています。本来、弾頭部には信管を取り付ける為のケースがあるのですが、火薬を抜くためにごっそりと取り除かれています。

下記の写真はM24柄付手榴弾のカットモデルです。(Wikipediaから借用)
信管部分の状況が良くわかります。
421px-Steilhandgranate_Schnittmodell_db.jpg
台紙に国家章が押されていることから、このカットモデルは兵士の教育用に作られたもののようです。

m24-4.jpg
柄には“RR 1940”の刻印があります。


m24-9.jpg
柄の末端の安全キャップを外したところです。中には陶器製の握り玉が入っています。握り玉が陶器で作られた理由としては、生産性プラス安全キャップを外すだけで途中で引っかからずに落ちてくる程度の重さと滑らかさが必要だったからと個人的には思っているのですがいかがでしょうか。

m24-23.jpg
こちらは『第二次大戦ドイツ兵器写真集』(ホビージャパン)に載っていたスターリングラード攻防戦時のドイツ兵の写真です。ベルトに挟む又は手榴弾用バッグに入れて運ぶといった携行方法は教科書どおりです。
本書の解説にはこのように多数の手榴弾を携行するのは、市街戦の場合手榴弾の使用頻度は高く、かつ有効な武器であったからとあり、写真と併せて歩兵戦において手榴弾がいかに兵士の頼りになる存在だったかを知ることができます。
(柄を外したM24の弾頭部6個を一つの手榴弾に針金で巻きつけて束にした収束装薬も対戦車戦に使用されました)

なおドイツ軍が使用した手榴弾は他にもM39卵型手榴弾、M43柄付手榴弾の2種類があります。
それらは、また別の機会にネタにしてみたいと思います。


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