HBT作業着(Drillichrock)
以前M40野戦服の日記で書いたように、ウール製の野戦服は極力洗濯を避けることとされていました。しかしそれでは訓練や作業が多い兵営内では不便な為、入営時に野戦服2着(戦闘用・外出用)と一緒に洗濯可能なコットン製の作業着(Drillichrock)が1着支給されました。作業着は野戦服をなるべく温存させるという目的で訓練以外にも着用されたようです。
ということで本日はドイツ兵が入隊時に支給された作業着を紹介したいと思います。
上記はコットン製でヘリンボーン・ツイル(HBT)と呼ばれる生地で作られています。ホワイトベージュの作業着は1933年に制定され戦前の兵営で使用されました。
同時期に採用されたM33野戦服以降と共通部分は多いが、フラップ無しの腰ポケットのみという簡素な造りになっています。
襟には紙製ボタンでクラーゲンビンデ(布製カラー)が取り付けられるようになっています。
野戦服と同じ位置にサイズと工場を示すスタンプがあります。
ボタンは野戦服と同じものが使われています。
折り返し部分を開くと、ボタンを止めるS字金具が見えます。
ベルトをしないことが前提だった為、ウエストを絞れるヒモが付いています。

戦前の兵営内のロッカー。野戦服2着とコートの間に白い作業着が見えます。
冒頭で記述した通り、兵営内で行われる訓練・作業での着用がメインだった為、戦場を舞台とした戦争映画に出てくることはほとんどありませんが、ハンス・ヘルムート・キルストのベストセラー小説を映画化した『08/15』では兵士が作業着を着て訓練するシーンがふんだんに出てきます。
整列して上官から厳しい指導を受ける主人公(アッシュ上等兵)と戦友。全員作業着を着用しています。
よく見るとクラーゲンビンデが襟元から覗いて見えます。
ドイツ歩兵の伝統的訓練。“Hinlegen!”(伏せ!) “Auf!”(立て!)“Masch!”(駆け足!)
“Hinlegen!!!!”泥だらけでも訓練は続きます。
訓練後は当然このようになります。
映画版の『08/15』は小説と同様に三部作となっており、第一部は戦前の兵営内での砲兵中隊の生活が中心、第二部は東部戦線が舞台(『戦場のはらわた』を彷彿させるストーリー)、そして第三部は戦争末期と降伏後が描かれています。
(いつか原作をドイツ語で読んでみたいですね・・・)
1940年には同じデザインで戦場でも着用できるリードグリーンの作業着が導入されますが、完全には切り替わらず当時の写真でもしばしば混在使用が見られます。上記は『グロースドイッチュランド師団写真史』(大日本絵画)に掲載されている1943年頃に撮られた補充兵訓練の写真ですが、左の兵士はリードグリーンの作業着、その右隣はホワイトベージュの作業着を着ています。
ということで本日はドイツ兵が入隊時に支給された作業着を紹介したいと思います。


上記はコットン製でヘリンボーン・ツイル(HBT)と呼ばれる生地で作られています。ホワイトベージュの作業着は1933年に制定され戦前の兵営で使用されました。

同時期に採用されたM33野戦服以降と共通部分は多いが、フラップ無しの腰ポケットのみという簡素な造りになっています。

襟には紙製ボタンでクラーゲンビンデ(布製カラー)が取り付けられるようになっています。

野戦服と同じ位置にサイズと工場を示すスタンプがあります。

ボタンは野戦服と同じものが使われています。

折り返し部分を開くと、ボタンを止めるS字金具が見えます。

ベルトをしないことが前提だった為、ウエストを絞れるヒモが付いています。



戦前の兵営内のロッカー。野戦服2着とコートの間に白い作業着が見えます。
冒頭で記述した通り、兵営内で行われる訓練・作業での着用がメインだった為、戦場を舞台とした戦争映画に出てくることはほとんどありませんが、ハンス・ヘルムート・キルストのベストセラー小説を映画化した『08/15』では兵士が作業着を着て訓練するシーンがふんだんに出てきます。

整列して上官から厳しい指導を受ける主人公(アッシュ上等兵)と戦友。全員作業着を着用しています。
よく見るとクラーゲンビンデが襟元から覗いて見えます。

ドイツ歩兵の伝統的訓練。“Hinlegen!”(伏せ!) “Auf!”(立て!)“Masch!”(駆け足!)

“Hinlegen!!!!”泥だらけでも訓練は続きます。

訓練後は当然このようになります。
映画版の『08/15』は小説と同様に三部作となっており、第一部は戦前の兵営内での砲兵中隊の生活が中心、第二部は東部戦線が舞台(『戦場のはらわた』を彷彿させるストーリー)、そして第三部は戦争末期と降伏後が描かれています。
(いつか原作をドイツ語で読んでみたいですね・・・)

1940年には同じデザインで戦場でも着用できるリードグリーンの作業着が導入されますが、完全には切り替わらず当時の写真でもしばしば混在使用が見られます。上記は『グロースドイッチュランド師団写真史』(大日本絵画)に掲載されている1943年頃に撮られた補充兵訓練の写真ですが、左の兵士はリードグリーンの作業着、その右隣はホワイトベージュの作業着を着ています。
“グロースドイッチュランド”師団写真史―東部戦線におけるGD機甲擲弾兵師団1942‐1944
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HBT作業着(Drillichrock)
皆様、大変ご無沙汰しております。1ヶ月以上更新し無かったので、恐怖のスポンサーサイトがついに出現してしまいました。前振りしていた通り、いよいよ人生の転機が11月に迫っており、その準備でまったく趣味に時間が割けなくなってきました。。。11月後も新しい環境に順応する為、ブログは当分の間、お休みさせていただこうと考えています。(すみませんがお休み中はMail、コメントにも返答できないかも知れません・・・)
さて今回はHBT作業服のズボンが手に入りましたのでアップしたいと思います。

フェルト製の野戦服は洗濯に適していないことから、汚れても頻繁に洗えるコットン製でヘリンボーン・ツイル(HBT)と呼ばれる生地で作られています。こちらのホワイトベージュの作業着は1933年に制定され、戦前のプライベート写真には兵営での教練や作業で使用されてるシーンが多く残っています。
全体的にフェルト製の野戦ズボンをコットン製に置き換えたつくりになっています。“社会の窓”はアルミ製の平ボタン、ポケットが斜めではなく、垂直に近い位置になっている点は違っています。
背中側もサスペンダー用の平ボタンが2組あり、ウエストを絞る調整ベルトもあります。腰ポケットはありません。
破損しやすい調整ベルトのバックルは洗濯時に取り外せるようになっています。
検印スタンプ「B.A W(WurzburgのBekleidungsamt=被服廠)244 42(42年4月24日?)」とサイズ 「96 82(96は股下、82はウエスト)」のスタンプが押されています。
前回の日記で説明した射撃訓練の風景です。兵士はホワイトベージュの作業着を着用しています。
こちらも教練風景。国家色のデカール、1940年2月に制定されたリードグリーンの作業着を着た兵士がいることから、フランス侵攻直後の写真でしょうか。上下で色が揃っていない兵士が2名いますが、これは在庫品とサイズの関係でこのような互い違いになったと思われます。
こちらは訓練ではなく営内の清掃作業中に撮った写真のようです。汚れるのは下半身だけの作業なのか、数名ズボンのみ作業着で上着は野戦服を着用しています。
下士官に対するオリエンテーリングの訓練。こちらもズボンのみ作業着となっています。
こちらは兵営の洗濯場で作業着を洗って干している風景ですが、作業着の代わりに体操ジャージを着用しています。
さて今回はHBT作業服のズボンが手に入りましたのでアップしたいと思います。

フェルト製の野戦服は洗濯に適していないことから、汚れても頻繁に洗えるコットン製でヘリンボーン・ツイル(HBT)と呼ばれる生地で作られています。こちらのホワイトベージュの作業着は1933年に制定され、戦前のプライベート写真には兵営での教練や作業で使用されてるシーンが多く残っています。

全体的にフェルト製の野戦ズボンをコットン製に置き換えたつくりになっています。“社会の窓”はアルミ製の平ボタン、ポケットが斜めではなく、垂直に近い位置になっている点は違っています。

背中側もサスペンダー用の平ボタンが2組あり、ウエストを絞る調整ベルトもあります。腰ポケットはありません。

破損しやすい調整ベルトのバックルは洗濯時に取り外せるようになっています。

検印スタンプ「B.A W(WurzburgのBekleidungsamt=被服廠)244 42(42年4月24日?)」とサイズ 「96 82(96は股下、82はウエスト)」のスタンプが押されています。

前回の日記で説明した射撃訓練の風景です。兵士はホワイトベージュの作業着を着用しています。

こちらも教練風景。国家色のデカール、1940年2月に制定されたリードグリーンの作業着を着た兵士がいることから、フランス侵攻直後の写真でしょうか。上下で色が揃っていない兵士が2名いますが、これは在庫品とサイズの関係でこのような互い違いになったと思われます。

こちらは訓練ではなく営内の清掃作業中に撮った写真のようです。汚れるのは下半身だけの作業なのか、数名ズボンのみ作業着で上着は野戦服を着用しています。

下士官に対するオリエンテーリングの訓練。こちらもズボンのみ作業着となっています。

こちらは兵営の洗濯場で作業着を洗って干している風景ですが、作業着の代わりに体操ジャージを着用しています。
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