懐中時計 (Taschenuhr)

戦場において軍隊が予め決められた作戦に従い行動する場合は秒単位の正確さが求められます。よって部隊を指揮する将兵にとって正確な時間を知ることのでき る時計は必要不可欠な装備でし た。
本日はドイツ軍の軍用時計(Dienstuhr Heer)の中でも、少々古風な懐中時計(Taschenuhr)を紹介します。
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スイスの時計メーカー「ENICAR」社製です。オープンフェースキャリバーで手巻き機械式。時間合わせはリューズセッティング(リューズを引いて調整)、ぜんまいの巻き上げもリューズトップで行います。最後まで巻いた場合は約41時間可動します。
黒い文字盤に白く見やすい文字で1~12 のアラビア数字、スモールセコンド(秒針用の文字盤)があります。これは当時の陸軍の軍用時計に共通する仕様ですね。


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商標の「LONGEAU」はENICAR社の支店があった場所で、ある時期製造された時計の文字盤に記されています。

軍備拡大に伴いドイツ国内の時計メーカーだけでは需要を賄いきれなくなったドイツ軍はスイスの複数のメーカーと契約を結び軍用時計の製造を委託します。
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ケースは黄銅、いわゆる真鍮製で銀メッキが施されています。裏蓋には「D 1148 4117 H」が刻印されています。はDienstuhr(軍用時計)、はHeer(陸軍)の略で陸軍の官給時計を意味します。そしてDとHの間の数字はこの時計特有のシリアルNo.です。ちなみに、このDから始まる刻印はドイツ国内製造の官給時計には無いと言われています。敢えてDienstの刻印を入れたのは外国製品の品質を管理・保証することが目的かと思われます。
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ねじ込み式の裏蓋を開けたところです。15石のムーブメントでENICAR社の刻印があります。メンテナンスされている為、製造後70年以上たった今でも、実用に問題ないレベルで動いています。

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ドイツ軍野戦ズボンには懐中時計専用のポケットがあり、チェーンを留めるループもあります。
なお、現代のジーンズやチノパンにもコインポケットと呼ばれる小さなポケットがあったりしますが、元はコインでは無く懐中時計を入れる為のものでした。

当時、時計はまだ高級品で一般の兵士が持てるアイテムではなかったので軍が必要と思われる兵士に貸与しました。

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Soldbuchの支給品目のページには「Dienstuhr」の文字があり、シリアルNo.が記入されています。

 なお時計は時間を知る以外に方位計として使えます。
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1. 時計を地面に対して水平に持つ
2. 短針を太陽を指すよう時計を動かす
3. 12時と短針を二等分した方向が南
 
多少のずれはありますが、コンパスが無くても方向を知ることができます。(ただし晴れの日に限る)

20世紀初頭まで個人携帯の時計と言えば懐中時計が一般的でした。しかしながら、時間を確認するのにポケットからわざわざ取り出す必要があり、さらに時間を見る間は片手がふさがってしいます。

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普段の生活では優雅な動作も、戦場ではあまり好ましくはありません。その一連の動作を不満に思ったある兵士が懐中時計を腕に巻きつけて使用したことが腕時計の製品化のきっかけと言われています。
(Wikipediaから抜粋:懐中時計を片手に砲撃のタイミングを計測していた砲兵が手首に懐中時計をくくりつけて使用する工夫から始まったとされている。ドイツ軍がこのアイデアの製品化を時計メーカーに打診している。)

以上懐中時計の紹介でした。いつか腕時計を入手したらアップしたいですね。
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官給腕時計 (Dienstuhr)

本日はドイツ軍官給腕時計(Dienstuhr)を紹介します。前回の日記でなかなか到着しないアイテムがあると書きましたが、実はこの官給腕時計だったわけで、発送から二ヶ月でようやく受け取ることができました。

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スイスの時計メーカー「ONDA」社製の腕時計です。ケースの直径:33mm(含むリューズ35mm) 厚み:10 mm

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当時はクォーツなど無く、もちろん手巻き式です。懐中時計でも説明しましたが、黒い文字盤に白文字で1~12 のアラビア数字、6時の位置のスモールセコンド(秒針)ダイヤルはドイツ軍用時計に共通する仕様です。


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ケース裏にはこのような刻印があります。 STAHL BODEN=スチール製ケース、WASSERDICHT=防水、D=Dienstuhr(軍用時計)、H=Heer(陸軍)の略 DとHの間の番号3222248はシリアルナンバーを表します。

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スクリューバックのケースを開けた内部写真です。15石のムーブメントでA.S 1130の刻印があります。このムーブメントは耐衝撃構造になっているようです。

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こちらは時計の心臓部「テンプ」です。このテンプが一秒間に5~10回転することで秒針を動かします。
ちなみに真ん中に見える赤い石はルビーです。15石とか17石というのは軸に使っているルビーやサファイアなどの宝石の数をいいます。軸に宝石を使うのは磨耗を防ぐためだそうです。


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この時計にはリプロの人口皮革製バンドが装着されていました。時計本体はともかく、オリジナルのバンドは残像数が少なく大変貴重になっています。

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時計は全兵士に配られるものでは無く、任務上時間管理が必要な兵士のみに支給されたアイテムですが、腕時計と懐中時計の両方が支給されたのか、そのどちらか片方なのか、片方の場合、用途の違いがあったのかなど詳しい情報がありません。
なんとなく腕時計は個人貸与、懐中時計は部隊管理で必要に応じて貸与というイメージですが実際どうだったんでしょう?

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官給腕時計(Dienstuhr)

オク用の写真を撮影したら、図らずもシブい画になったのでアップします。

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ARSA (オーガストレイモンド)
1898年にオーガスト・レイモンドによってスイスジュラ渓谷のトラメランに創立。
ムーブメント「ユニタス」を開発したことで有名。

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ちなみに『ARSA』はAuguste Reymond SAの意味。

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歴戦の勇士って感じで良いですね。(壊れていて動かないけど・・・)



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エーデルマン

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脳内の99%をドイツ軍が占めている、そんなアラフィフ親父です。
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