MP717(r) / PPsh41

シュタイナー軍曹は斃した敵の傍に転がっている短機関銃を手に取った。木製ストックという少々古風な外見の短機関銃だが、ドイツの銃が凍てついて動かないような日もこの銃は確実に動作しこちらに向かって火を噴いてきた。大型のドラム型弾倉には71発装填でき、フル・セミオートの選択射撃も可能だ。敵国の武器をあまり誉めないドイツ兵もこの銃だけは喉から手が出るほど欲しがっている。軍曹は迷うことなく敵の銃に自分の命を預けることを選んだ。
ppsh german soldier
映画『戦争のはらわた』の冒頭シーンでシュタイナー軍曹は偵察中にソ連製の短機関銃PPsh41を鹵獲し、それまで所持していたMP40の代わりに使用します。(その後の場面で、部下やストランスキー、ブラント大佐がMP40を使っているので弾薬が入手できなくなったわけではなさそうです)
最後の場面では裏切った味方の兵士に向かってPPsh41をぶっ放すスローモーション映像が衝撃的でした。(十字のマズルフラッシュがしびれる!)


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さて本日紹介するのはソ連製の短機関銃PPsh41(Pistolet-Pulemyot Shpagina)の無可動実銃です。
1939年の冬戦争でフィンランド軍のスキー部隊が装備していたスオミ短機関銃(M1931)を参考にゲオルグ・シュパーギンが1940年に開発。鋼板プレス材を使用した為、大量生産に向いており終戦まで500万挺以上生産されました。T34戦車、カチューシャ(通称スターリンのオルガン)と共にソ連を代表する兵器で勝利に貢献しました。戦場で鹵獲されたPPsh41は、MP717(r) という型名を付けられドイツ軍で大量に使用されました。
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MP717(r)  / PPsh41(Pistolet-Pulemyot Shpagina) 仕様

種別         短機関銃
口径         7.62mm/9mm
銃身長        269mm ライフリング4条右回り
使用弾薬     7.62×25mm トカレフ弾/9mmパラベラム弾
装弾数        71発(ドラム型弾倉), 35発(バナナ型弾倉)
作動方式     シンプル・ブローバック方式 オープン・ボルト撃発
全長           840mm
重量           3,500g/4,750g(マガジン装填時)
発射速度     900-1,000発/分
銃口初速     488m/秒
有効射程     150m



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穴あきのバレルジャケット、木製ストックそしてドラム型マガジンが特徴です。その姿からドイツ兵からは「バラライカ」(ロシアの弦楽器)と呼ばれました。


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ちなみにこちらがバラライカ。似ても似つかない??

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バレルジャケットの細部です。斜めに傾斜したジャケット先端は反動で上に跳ね上がるのを抑制するマズルブレーキの役目を担っています。

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バレルジャケットは3mmの鋼板を折り曲げて作られています。
フロントサイトは螺子を使用してエレベーション調整機能を兼ねるという合理的な発想です。短機関銃のサイトにはこれで全く問題がありませんね。一方サイトフードは凝った作りです。

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100m/200m切り替えの2段式です。初期型はタンジェントサイトになっていますが、即効で廃止となりました。(“20”は200m側)

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ボルトは軽量化され、900-1000発の発射が可能です。エジェクションポートの上部には1942の刻印が見えます。

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レシーバー内に土砂や雪などが入っても確実に作動するよう余分なクリアランスがとられています。
マガジンレシーバーには、ドラムマガジン以外にバナナマガジンが装着できます。写真の状態はマガジンキャッチがリリースになっています。

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バナナマガジン


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トリガーガードは鋼板を曲げただけの簡単な作りです。トリガーの前にあるのはフル・セミオートの切り替えレバーで左の写真がフル、右がセミの状態です。

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バットストック部。オイラーを収納するスペースがあります。このあたりはトンプソン短機関銃の影響でしょうか。

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MP18 と同じように上下二分割構造になっています。いくらクリアランスが余分に取られているとは云え、レシーバーに大量の泥や雪などが混入した場合、やはりボルトを外して清掃する必要があり、このような構造になっていると素早いメンテナンスが可能です。

こちらの写真は2010年7月に訪問したモスクワの中央軍事博物館の展示物です。PPsh41が大量に展示されていたので、いくつか写真を紹介したいと思います。

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ブルーの剥げたPPsh41は歴戦の勇士という趣が。

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武器庫?MP40にバレルジャケットがついたタイプを発見。

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PPsh41をさらに簡略化したPPS43も展示されていました。

冒頭に書いたように、東部戦線のドイツ兵は堅牢でどんな状況でも確実に作動するPPsh41を好んで使用しました。ただし多くは小銃の代わりとしてであり映画のように下士官がMP40を捨ててまで使用することは無かったようです。(ただしMP40の弾薬が切れて一時的に使用することは有り得る)

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永遠のライバル?


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懐中電灯 (Taschenlampe)

子供の頃から暗い押入れや納屋で探し物をしたり、夜の外出時に足元を一条の光で照らしてくれる懐中電灯がとてもたのもしく大好きでした。そんな懐中電灯を持たせてもらった時は、なんだか大人扱いしてもらったようで嬉しかったことを覚えています。

しかし嬉しいはずの大人扱いも戦争末期の混乱の中で行われたとしたら?
名作映画『橋 - Die Brücke - 』(1959年西ドイツ)は年端もいかない少年たちが兵士として無意味な戦いに駆り出され犠牲となる話です。


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【Amazonの作品紹介より】
ベルンハルト・ヴィッキが監督に挑戦した長編第一作。第二次世界大戦末期のドイツの田舎地方を舞台に戦争に散った少年たちの奮闘を描く。未成年ながら戦争 に駆り出され、祖国の勝利のために命を捧げる青年たちの姿は日本の特攻隊と重なって見える。非常に重たく暗い作品ではあるが、見終わった後に、「戦争と は」「死とは」と考えずにはいられない名作だ。


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当時のポスター。映画の中で、闇夜と霧のシーンでは懐中電灯が効果的に使われています。


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こちらは劇中に使われている懐中電灯で、ドイツの電灯メーカーDAIMONが1938年に発売したNr.2233というモデルです。緑・青・赤の3種類のカラーフィルターのレバーが特徴です。
ただし第二次大戦中にドイツ陸軍に納品されたNr.2233は一般的にフィールドグレイ色とされているので、このモデルは戦中民間向けに販売されたものか戦後西ドイツ軍向けに納品されたものと思われます。

 

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こちらの懐中電灯もドイツ軍で使用されていたタイプで、上記と同じDAIMONが1936年に発売したTELKO TRIOというモデルです。光を拡散させないフードが付いており、フィルターも緑と赤の2種類のみとなっています。


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戦前のDAIMONの広告には、TELKO TRIOが掲載されています。


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TELKO TRIOの蓋を開けた所です。電球の下部には4.5Vのバッテリーを入れるスペースがあります。


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4.5Vバッテリーの規格は現在も使用されており、ヨーロッパやロシアで入手することができます。


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『橋 - Die Brücke - 』は戦争の記憶も新しい時代に作られただけあって、細部に渡って当時の様子が再現されており、懐中電灯もきちんと所定の位置(第2ボタンや胸ポケットのボタン)に取り付けられています。


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懐中電灯のバリエーションは非常に多く、それだけを集めているマニアも存在しています。冒頭の通り、懐中電灯好きの私ですが〝そこそこ広く、浅く〟がモットーなのでこれ以上手を出さないようにするつもりです。


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野戦郵便 (Feldpost)

フランス, マルセイユ -1943年2月

ハインツ・クルレ兵長は高台にある兵舎の戸口に座って海を眺めていた。同じ国でも大西洋側と地中海側でこうも町の雰囲気が違うものだろうか。

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部隊がマルセイユに到着したのは1月下旬。この港から海路でイタリア半島に沿って地中海を横断し同盟国のアルバニア、ルーマニア経由で南ロシアに向かうと思われたが、まだ輸送船を手配できないでいる。
マルセイユの港は日々北アフリカからの負傷兵や代わりに送られる兵隊や物資でごったがえしており、ロンメルが輸送船を一隻でも多く必要としていることは間違いなく、それが足止めの原因になっていることは容易に想像できる。陸路で行くにしても輸送列車の割り当ては負傷者の移送が優先で、あの数だと自分たちはいつになるか判らない。列車に乗れる負傷兵の多くは瀕死の状態で祖国に着く以前に力尽きてしまう者も多いだろう。それでもドイツに帰れるだけ上等だ。ロシアでは負傷兵が拳銃と銃弾二発を渡されて戦場に置き去りにされているという噂である。一発は敵に、そして残りの一発は自分用だそうだ。

クルレは野戦服の胸ポケットからタバコを取り出し、小さなアルミ製の軍用ライターで火をつけると最初の煙をゆっくりと深く吸い込んだ。こうしている間にも多くの仲間が北アフリカやロシアで闘いそして死んでいる。時々焦燥感で押しつぶされそうになるが、心のどこかではこのままここで平穏な日が続くのを望んでいる。クルレは短くなったタバコを投げ捨てると隣で野戦郵便用の葉書で手紙を書いているブレーメン出身の上等兵に声をかけた。

「フランツ」
「なんですか?兵長」

フランツと呼ばれたまだ顔にあどけなさが残る兵士は手紙を書く手を止めて、クルレに顔を向けた。
20歳になるかならないかで恋人がいてもおかしくない歳だ。

「彼女への手紙か?」
「彼女ならいいんですが・・・残念ながら母親です」
「母親でどうして残念なんだ?手紙を出す相手がいるだけいいよ」
「兵長は手紙を出す相手はいないんですか?」
その問いを想定できなかった自分の迂闊さに舌打ちしたが、誤魔化しても仕方がないと思い正直に答えた。

「父も母もハンブルクの空襲で死んだよ。兄はモスクワの戦いで行方がわからない」
「すみません、知らずに聞いてしまって・・・」
「いや、いいんだよ。お袋さんは元気かい?」
「はい、それが元気すぎるぐらいでして。この間もシュナップスを飲みすぎて酒場でつぶれた親父を5キロ離れた家まで引きずって帰ったそうです」
「それはすごいなぁ」
クルレは笑いながら、この髭も生えていない若者の屈託の無さに好感を持った。

「兵長」
「ん?」
「自分たちはいつまで此処にいるんでしょう?」
それはこっちが聞きたいと言いかけたが、こういう時に部下を安心させるのも長く軍隊でメシを食っている人間の務めではないか、そう考え自分でも納得する答えを捜した。

「それはいつ戦争が終わるのか考えるようなもんだよ。後からあの時こうしておけば良かったなんて後悔したくなければ、先のことは深く考えずに今を楽しんだほうがいい。時間があれば、知り合いに片っ端から手紙を書くんだ」
その場しのぎの答えに納得したかどうかは判らないが、「判りました」と言って、フランツは目を手紙に戻した。

(今を楽しめか・・・)
クルレはついさきほど自分の口から出た言葉を心の中でつぶやいてみたが、どこか遠い国の言葉のように感じられた。


※上記は実在するKurrle兵長の従軍記録(スクラップブック)を元にしたフィクションです。

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マルセイユでのKurrle兵長(奥から2番目の眼鏡をかけた兵士)

Kurrle兵長のスクラップブックに貼られた写真の順番から南ロシアの前にマルセイユに滞在していたことは確かなのですが、文中のように地中海を横断してアルバニア経由で南ロシアへ行くという話は全くの創作ですのでどうか突っ込まないでやって下さい(笑)

さて、今回のネタはフランツ上等兵が母親に書いていた野戦郵便(Feldpost)に関してです。

まずは常套手段のWikipediaから(英文意訳)。
野戦郵便はドイツ軍の軍事郵便制度でその歴史は18世紀のプロイセン王国に遡り、7年戦争やバイエルン継承戦争では既に導入されていた。1937年から1939年まではドイツ国防軍が国内無料の郵便システムを運営しており、1939年9月3日からは250gまでの葉書や手紙(新聞含む)が無料となる。1939年後半には(250g以上でも)1000gまでならわずか20ライヒスペニヒでの郵送が可能となった。ドイツ軍各兵科が専用の郵便部隊を有していたが、通常は戦場に最も近いt野戦郵便局が全兵科の郵便を取り扱っていた。(中略)通常、野戦郵便は民間郵便局では取り扱わず、もし兵士が民間郵便局から発送した場合は有料となった。

当時、野戦郵便は戦地(もしくは捕虜収容所)の将兵と内地の家族・恋人・友人をつなぐ主な手段で、第二次大戦では300億から400億通の郵便がやり取りされたと言われています。

まずは雑嚢の中身 ~衛生用品・雑貨編~で紹介した野戦郵便専用BOX (Feldpost Kasten)です。

feldpost1.png


そしてこちらは野戦郵便で送付された手紙(封筒)です。

feldpost9.jpg

右上には1943年5月7日消印のFELDPOSTのスタンプが押されています。このような非官製の便箋には「Feldpost」の文字が手書きで書かれています。宛先と住所が書かれていますが判読不能。

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便箋の裏側には、差出人の名前と野戦郵便番号(Feldpostnummer=FpNR)が書かれています。
野戦郵便番号は大隊ごとに割り当てられた5桁の数字とAからEまでのアルファベットで構成された識別番号です。番号であれば郵送途中で敵の手に渡っても所属部隊名と場所の暴露を防ぎ、また部隊が移動しても番号で容易に追随できます。
数字の前にLとMが付く場合もあり、それぞれ空軍(Luftwaffe)と海軍(Marine)用とされています。

なお野戦郵便番号の特定は下記のサイトで調べることができます。
http://www.stampsx.com/ratgeber/stempel-datenbank.php
ちなみに上記の野戦郵便番号23291は、陸軍第38猟兵大隊の番号と出ました。

下記は官製の葉書です。

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左側に差出人(Absender)、右側に宛先(An=英語のAt)と野戦郵便番号(Feldnummer)を記入します。


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こちらも官製葉書ですが、FeldpostではなくPostkarteと書かれており切手を貼る場所があります。


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こちらは官製の封筒です。太い下線の部分に野戦郵便番号を記入します。この封筒の特長は折り込めばコンパクトにすることができる点です。

feldpost22.jpg

feldpost20.jpeg  
裏面に内容を書いた後、縦の線に沿って半分に折り、さらに横の線で4つに折った後に羽の部分に糊を付けて封をします。コンパクトになる上に葉書よりも多くの文字が書けるというアイデア封筒です。

ただし内容に関しては古今東西、どの国も検閲は免れません。
ドイツ軍では下記のような内容を手紙に書いたり送ったりすることは禁止されていました。

1.現在地や攻撃目標、保有兵器などの軍事情報
2.流言
3.写真や絵など
4.敵のプロパガンダ(宣伝)
5.第三帝国や軍隊の活動方針に対する批判的なコメント
6.スパイや破壊工作を促すような記述

郵便は検閲所にて開封され検閲を経た後、便箋の場合は“検閲済み”と印刷されたテープで再封、そして葉書の場合は検閲済みのスタンプが押されました。なお、政府高官及び将軍の郵便物は検閲されなかったようです。

検閲の為、ありのままを書けなかったとは云え、当時の兵士の生活や心情を知る資料として野戦郵便は貴重であり、コレクションの対象としても非常に奥の深い分野です。今回Kurrle兵長の話の成り行きで取り上げた為中途半端な内容になってしまいましたが、今後も引き続き注目していきたいと思います。

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M40野戦服 (Feldbluse 40) Part3

前回紹介したM40野戦服(Feldbluse 40)の詳細を見ていきたいと思います。


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ドイツ陸軍(Heer)の下士官・兵用の野戦服(Feldbluse)です。上等兵(Gefreiter)が着用していたものです。


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襟章(Litzen)は1938年11月26日制定の共通兵科色のものが付けられています。
襟の内側に見えているのは、クラーゲンビンデ(布製カラー)です。

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第一ボタンを外して開襟にした常態です。この野戦服はあまり開襟状態で着られなかったのか、癖がついていません。


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ボタンが付いている側のインナーにはメーカー、サイズ、製造年を示すスタンプが押されています。

<拡大写真>
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Reitz〟 Reitz社製 (ベルギーのアントワープにあったE.Reitz社ではなく、WuppertalにあったReitz社)
43〟 襟から肩の長さ 〝40〟 首回り
90〟 胸囲
71〟 着丈               〝62〟 袖丈
H41〟 H(製造場所の略号:Hはハンブルグ) 1941年製

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腰ポケットの裏側には内蔵サスペンダー用のホールと、フックがあります。

最後にM36野戦服M40野戦服を並べてみました。

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ここで新たな発見。襟の色だけ違うのかと思いきや、本体の色もかなり違います。(違いを際立たせる為、フラッシュを焚いています)
M36野戦服はかなり緑色に近いフィールドグレーです。M36野戦服の製造年が不明なので確かなことは言えませんが、戦前は目立つ色で作られていたのが開戦後にはより実戦的な色合いに変更されたのかもしれません。

M36XM40_2.jpg  M36XM40_3.jpg
胸ポケットはいずれも波型フラップ及びプリーツ付きです。本体とは関係ありませんがポケットの上の国家鷲章の違いが特徴的です。左が1937年制定のダークグリーン地に白い刺繍タイプで、右が1940年制定のフィールドグレー地にマウスグレーの刺繍タイプです。
基本的にドイツ軍はすべての在庫をランニングチェンジ(使いきってから変更)した為、40年以前の国家鷲章がついたM40も多く存在しています。


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M40野戦服 (Feldbluse 40) Part2

下士官・兵用M40野戦服(Feldbluse 40) です。イタリアから昨日届きました。以前紹介したM40野戦服とは対照的にミント(手付かず)に近いコンディションです。                                  
 
20_20111103115652.jpg   21_20111103135558.jpg
このM40野戦服、他の軍装品同様、M40(Model 40 = 40年型)と呼称されておりますが、1940年に正式に制定されたという記録がありません。
襟の色が本体と同じフィールドグレー色になっている以外はM36野戦服(下記Wikipedia抜粋参照)と同じ作りなのでM41野戦服への移行期に派生したモデルと考えられています。

<Wikipediaより抜粋>
1933年にナチ党政権が誕生すると新しい野戦服 (Feldbluse) が検討され、いくつかの改良を経たのち、1935年9月5日にM36野戦服が制定された。フィールドグレー色(Feldgrau)を基調とした軍服であり、襟と肩章の部分だけダークグリーン色だった。襟は閉じても開襟でもよかった。前ボタンは5つ、波型のふた付きプリーツポケットが上下左右に4つ付いており、右ポケットの上部には鷲章が付いていた。

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こちらは、M36野戦服です。
 
M36野戦服との唯一の違いである襟本体部分です。

1_20111103135815.jpg

ダークグリーンの襟が本体と同じフィールドグレーに変更になったのは、製造工数を減らす為と考えられています。
同一色に変更後も古参兵の様なダークグリーンの襟に憧れる兵も多かったらしく、M40やそれ以降の野戦服にはダークグリーンの襟に改造されたものが多く存在しています。
襟の付け替え以外にも丈の切り詰め、ポケットを持ち上げる改造は戦前~開戦初期の野戦服で多く見られます。このような改造は後方にいるか、戦線が比較的安定している時にしかできないわけで、戦況が悪化するとほとんど見られなくなります。
どちらにせよ、ドイツ軍は兵隊のおしゃれに寛容だったと言えますね。

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さて、ドイツ軍の野戦服の生地と言えばウールです。ウールは羊毛から作られる布ですが、利点と欠点があります。

利点
1. 保湿性と保温性が高い。
2. しわになりにくい。
3. 他の繊維よりは燃えにくい。
4. 抗菌・消臭機能がある。
5. 空気清浄化作用。

欠点
1. 洗うと縮む。
2. 虫の害を受けやすい。
3. 引っ張りや磨耗に弱い。
4. 人によっては触るとちくちく感じる。
5. アルカリに弱い。
6. 日光で黄変する。

欠点に「洗うと縮む」とありますね。他にも「アルカリに弱い」「日光で黄変する」という問題もあります。 つまり水と石鹸で洗ったり、日干しできないということです。(まぁ色が変わっても機能上は問題ないですが)
野戦服は文字通り戦場で着る服ですから、もちろん汚れます。しかし洗濯できないとなるとどうするか?
答えは「汚れは乾かして叩き落とす」です。手または器具で叩いて落とします。

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しかし叩いても臭いまでは落とせず、いくら「抗菌・消臭機能がある」が利点とは言え、上記の写真のようになったら洗剤で洗うしか方法はないでしょう。
「保湿性と保温性が高い」という利点も、要するに汗や雨に濡れたら最後、なかなか乾かないということですね。冬、洗濯物を生乾きのまま来た時の臭いを思い出してしまいました。
事実、ノルマンディでドイツ兵を捕虜にした米軍が来ていた軍服の悪臭のひどさに驚いたと何かの本で読んだことがあります。

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さて、M40野戦服の各部分をできれば他の野戦服との比較も交えながら見ていきたいのですが、生憎まだ写真が撮れていないのでまたの機会にさせていただきます。

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エーデルマン

Author:エーデルマン
脳内の99%をドイツ軍が占めている、そんなアラフィフ親父です。
注)当時のドイツ軍の装備・生活用品に興味がありますが、特定の団体・思想を支持するものではありません。

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WWII ドイツ軍兵器集 〈火器/軍装編〉 (1980年) ワイルドムック
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長年教科書だった本。小宮氏の「ドイツ軍の全貌」の解説がすごい

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第2次大戦ドイツ軍装ガイド
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鮮明な写真による軍装品説明はブログ写真撮影の参考にしています

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