M31水筒 (Feldflasche 31) Part3 後期型

さていろんな事があった2011年も終わろうとしています。今年最後のアップはM31水筒・後期型で締め括りたいと思います。

RC1.jpg     RC2.jpg

こちらがM31水筒・後期型です。後期型の本体やカップはスチール製となっています。これはM31飯盒のところでも書きましたが、貴重になった航空機素材のアルミニウムの節約の為です。


ratecanteen3.jpg
分解したところです。材質が変わっただけで、基本構造は以前と同じです。ボトル本体には赤い錆止め塗料が塗られています。なお、ストラップは着色されていない状態です。

ratecanteen4.jpg
カップはオリーブグリーン塗装です。1941年4月23日付けの命令書 (HM No. 435, 1941) により、飯盒、水筒のカップは黒からオリーブグリーン塗装に変更となりました。

ratecanteen6.jpg
刻印がありますが、製造年の〝44〟以外は判読不可能です。

ratecanteen7_20111230211806.jpg
ボトル本体には〝SMM〟〝43〟の刻印があります。
このように製造年やメーカーがマッチしていない水筒は非常に多く、戦場で取り違えてしまったと思われます。もちろんデッドストックやコレクターによる涙ぐましいマッチング作業の結果、本体とカップが同じ刻印の水筒も多く存在しています。

ratecanteen14_20111231082729.jpg
カップの中もオリーブグリーンで塗装されています。これも錆止め塗料でしょうか?

ratecanteen9.jpg
同じくHRE43年製のスチールカップとの比較です。右側は赤い錆止め塗装がされています。
錆止めの塗料が赤いのは主成分が鉛丹の 為です。鉛丹は別名、赤鉛とも呼ばれており戦車の下地塗装にも使われていました。文字通り鉛を含んでいるので、鉛中毒になる可能性もあるのですが、当時は これしか方法が無かったのでしょう。しかし兵士の健康より、スチールを錆びさせない方を優先、、いくら戦時中とは云えやはり複雑な気持ちです。。。

ratecanteen11.jpg
44年製と、43年製スチールカップの大きさ比較です。このようにメーカーによって容量の違いがあったようです。
ついでに同じメーカー(HRE)どうしアルミとスチールのカップと比べてみました↓ 

ratecanteen18.jpg  
口が当たる縁の加工も折り返しただけになっています。

ratecanteen20.jpg
ストラップ通しやハンドル取り付け部の鉄板がリベット止めから溶接止めになるなどの簡素化が見られます。

ratecanteen10.jpg
ナス環もオリーブグリーンで塗装されています。

ratecanteen12.jpg
M44雑嚢にM31飯盒・後期型と共に取り付けました。大戦末期の組み合わせです。
この後、末期型と呼ばれる水筒も出現します。末期型については、また来年早々にでもアップしたいと思います。

今年一年、アラフォー親父のブログに訪問いただきありがとうございました。
来年が皆様にとって素晴らしい年になりますように。


FC2 Blog Rankingに参加しています。

←ポチっと応援お願いします!

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...
スポンサーサイト

M36野戦ズボン(M36 Langhose)

Frohe Weihnachten!(ドイツ語で“メリークリスマス”)ということでX'masに関連したグッズをネタにしようと考えましたが、相応しいものが思い付かなかったので秘蔵のM36野戦ズボン(M36 Langhose)を紹介したいと思います。(クリスマスには全く関係なし)

M36野戦ズボンは第二次大戦開戦前後に兵・下士官に支給されたウール製のストレートズボンで、ストーングレイ "steingrau" と呼ばれる青っぽいグレー色が特徴です。

pants17.jpgpants18.jpg
ベルトでは無く、サスペンダーで吊るオーソドックスなスタイルです。背中側にはウエストで絞れるよう調整ベルトが付いています。

 pant13.jpg
“社会の窓”はジッパー式ではなくボタンフライ。裏地は白のコットン製でウエスト部分のみとなっています。


pant12.jpg  
右前ポケットの隣に懐中時計用のポケットと時計のチェーンを留めるループが取り付けられています。
(このような専用ポケットがあると、懐中時計が欲しくなりますね)


pants11.jpg
調整ベルトでウエストを絞ることができますが、よく見るとベルトのフックを通す穴がありません。適当な場所で穴を開けたのかも知れません。V字切り込みの両脇に付いている4つのボタン(1つ欠品)はサスペンダーを吊る用のものです。

pants14.jpg

M36野戦ズボンは1939年のポーランド侵攻や1940年のフランス侵攻のカラーの記録映像で見ることができます。

 pants15.jpg
24秒あたりで、行軍する兵士が履いているズボンは明らかにM36野戦ズボンです。

life_262.jpg
こちらのカラー写真の兵士が履いているズボンもストーングレイです。

pants10.jpg
モノクロ写真でもはっきり違いが判りますね。

M36 野戦ズボンは、ウール生地が同色で上着と共有できるM40野戦ズボンが導入されると同時に姿を消していきます。戦場での消耗が激しいズボン は、上着に比べると交換のサイクルが早かった為でしょう、M36野戦服を着ている兵士でもズボンはM40野戦ズボンというパターンが多く見られます。
それ故にM36野戦ズボンの残存率は低く、これまで売りに出されているのを目にしたのはこのズボンを含めて3着のみです。なおM36に限らずドイツ軍の野戦ズボンはどれも市場に出てくることは稀で、外観はいたって普通、特別な造りでは無い野戦ズボンは、戦後も民間で使用され多くが消耗・廃棄されてしまった為か、上着よりも数倍入手しづらくなっています。

フランス侵攻作戦当時のドイツ上等兵の姿を再現してみました。

pant5.jpg
ドイツ軍が連戦連勝だった頃の姿ですね。


FC2 Blog Rankingに参加しています。

←ポチっと応援お願いします!

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

シュカート (Skat)

ポーランド, ソビエト国境付近 -1943年2月

バンシーの悲鳴のような列車のブレーキ音で、ハインツ・クルレ兵長はまどろみから現実の世界に引き戻された。腕時計の針は夜中の3時を指している。今が何時か知らないほうが良かった。また朝までの数時間を取り留めないことを考えながら時間を潰さなければならない。

ワルシャワを出てから今日で3日目である。ポーランドの国境を超え(国境というものが存在していればの話だが)ロシアに入っているはずだが景色は一向に代わり映えせず自分たちがどこにいるのか皆目分からない。大隊が乗車しているのは電気暖房機能が付いた貨車だが、窓に目張りした板のすき間から入り込んでくるロシアの凍てつく冷気のおかげで寝ている間に凍死してもおかしく無いほど寒い。
クルレはありったけの衣服を着込み、軍用毛布を頭から被ってはいたがワルシャワを出て以来、寒さと漠然とした不安で熟睡することができず、毎日夜中に目が覚めては考え事をしながら朝までの時間を無為に過ごしていた。


skat2.jpg

マルセイユを想定していたよりも早く出発することが出来たのは東部戦線に一人でも多くの補充兵(軍隊用語では“新鮮な肉”と呼んでいる)が欲しいマンシュタインが鉄道局のお偉方に直々に要請した為らしい。
マルセイユからはドイツを迂回するようにボローニャ、ウィーン、プラハと貨物列車を乗り継ぎ、2月中旬にワルシャワにたどり着いたが、弾薬と食料を積み込むとすぐにキエフに向けて出発となった。
ワルシャワもマルセイユと同じく戦線から送られてくる負傷兵と物資でごったがえしていたが、ロシアの負傷兵はアフリカ戦線戻りの兵士とは比べ物にならないほどの深い悲壮感を漂わせており、誰もが表情に生気がなく何かに怯えていた。
彼らが前線で何を見てどんな体験をしたのか、そのうち分かる時が来るだろう。


skat3.jpg  
負傷者輸送列車

先の事を考えると憂鬱になるばかりなので、クルレは退屈な車内で唯一の楽しみであるシュカート(Skat)の勝ち方について整理することにした。
シュカートは2から6のカードを抜いた32枚のトランプで行われるゲームで、3人のプレイヤーが単独プレイヤーと2人の対抗プレイヤーに分かれ10枚の手札で一勝負ずつ行い、最も得点を稼いだプレイヤーが勝ちである。勝つための基本は以下の3つである。

①単独プレイヤー(Einzelspieler)と呼ばれる勝負の主導権を握るプレイヤーになること。
②単独プレイヤーの特権である切り札の指定を行い、それを上手く使って61点以上稼ぐこと。(シュピール)
③さらに得点が増加するシュナイダーやシュバルツ、ウヴェアといった宣言を確実に成功させること。

ただし宣言は失敗するとしっぺ返しも大きいので持てる全ての勝負勘、運を総動員しなければならない。それに加え、相手プレイヤーの持ち札を確率論で推測し、それにどう対応するか即座に計算する能力も求められる。シュカートはそれ故、実戦経験の乏しい兵士の間では単なるゲームという域を超え、戦場での生存能力を推し量るモノサシとして考えられ、勝負に強い兵士は階級に関係なく仲間から一目置かれることになる。もっともシュカートは兵隊たちの娯楽である以外に不足しがちな食料やタバコ、その他生活必需品を入手するための手段でもあり、シュカートの勝負に長けていればその分、生存率は多少なりとも上がるわけだが。
クルレはこのシュカートが得意で特に将校シュカート(Offiziersskat)と呼ばれる二人用シュカートがめっぽう強く、中隊の中では彼の右に出るものはいなかった。勝ち取った賞品は必要なタバコ以外はすべて仲間に配ったのでその穏やかな人柄もあってクルレは上下関係なく誰からも好かれていた。
戦場で、シュカートをプレイしている時のように冷静に考えて対応できれば良いが、ワルシャワにいた負傷兵の感情を失った顔を見て以来、他の兵士のように楽観的にはどうしても考えられなかった。

考え事をしている間に夜が明けたようである。貨車の小窓から外を覗くと列車は大きな町に入っていく。貨車はどんどん速度を落としていき、やがて大きな駅に到着した。駅名標にはロシア語で『Киев』、その横にはドイツ語で『Kiew』と書かれていた。

クレル兵長はフランスから長い道のりを経て、ようやくロシア(現ウクライナ・キエフ)に到着しました。スターリングラード攻防戦で勝利し反撃してくるソ連軍との交戦はもうすぐそこに迫っています。
クルレ兵長は、果たしてシュカートのように難局を乗り越えることができるでしょうか?

ということで今回は、ドイツ兵の娯楽だったシュカートについて掘り下げて書いてみたいと思います。

skat6_20111217154243.jpg
こちらがシュカートに使用されるカードです。52枚のトランプから2-6のカードを抜いて使っても全く問題ありませんが、上記は初めからシュカート専用にパッケージされています。

skat8.jpg
箱のデザインです。THEDOR WAGLERは会社名、Posamentenfabrikは仕上げ工場、Berlin SW61 Blücherstraße 12 は工場のあった住所でFernsprech-sammel-Nr.663283/84は電話番号のようです。

IMG_0035.jpg
こちらはカードの裏側のデザイン。GRÖSSTES LAGER(最大級のストック) SCHNELLSTE ANFERTIGUNG(最速の生産)と自画自賛です。

シュカートの歴史についてはWikipediaから引用します。

19世紀初頭ドイツのテューリンゲン地方の町アルテンブルクで、シャフコップフ(Schafkopf)、ロンブル(L'hombre)、ソロ(Solo)、タロック(Tarock)をもとにしてできたとされている。スカート(Skat)の語源はイタリア語のscartareやフランス語のécarterで、伏せて置くという意味。1830年頃からドイツ全土へと広まり、特にライプツィヒ、ハレ、イェーナの学生の間で流行。次第に賭博にも使われるようになり、それにより得失点を倍増させる多くの変則ルールが加わった。

vTurm1.jpg
シュカートの町アルテンブルク

シュカートのカードにはドイツ式とフランス式の2種類があり、公式に使用されるのはフランス式の方です。フランス式の場合、キング、クイーン、ジャックはそれぞれドイツ語でケーニヒ(König)、ダーメ(Dame)、ブーベ(Bube)となり、スート(マークの種類)は一般的なトランプと同じでクロイツ (Kreuz)、ピーク (Pik)、ヘルツ (Herz)、カロ (Karo)と呼びます。
なおドイツ式ではキング、クイーン、ジャックをケーニヒ(König)、オーバー(Ober)、ウンター(Unter)、そしてエースの代わりにダウス(Daus)というカードが使われます。さらにドイツ式ではスートが独自のものとなり、クラブはアイヒェルン(Eicheln、どんぐり)、スペードはグリュン(Grün、木の葉)、ハートはロート(Rot、ハート)、ダイヤはシェレン(Schellen、鈴)となります。

KC.jpg KS.jpg KH.jpg KD.jpg
DC.jpg DS.jpg DH.jpg DD.jpg
BC.jpg BS.jpg BH.jpg BD.jpg
上からケーニヒ(König)、ダーメ(Dame)、ブーベ(Bube)です。
なお、http://www.froja.de/karten/berlin.htmlには年代別の絵札の図柄が載っており、左記サイトによるとこのカードは1931年以降に作られたバージョンのようです。

AC.jpg AS.jpg AH.jpg AD.jpg
こちらはエース札の各スートです。左からクロイツ (Kreuz)、ピーク (Pik)、ヘルツ (Herz)、カロ (Karo)

なおそれぞれのカードには強さがあり、強い順からA, 10, K, D, 9, 8, 7,となります。なおブーベ(Bube)は単独で切り札スートとして扱われ、強い順からとなります。
またカードにはそれぞれ以下の点数が付けられています。

A =11 点、10=10 点、K=4 点、D=3 点、B=2 点、9,8,7=0 点

全カード32枚のポイント合算は120点で、勝負をし過半数の61ポイントを取ることがゲームの目的となります。

skat18.jpg
ところでハートのエースには、Deutsches Reich Nr. 90と国家章のスタンプが押されていますね。これはトランプのようなギャンブル性の高いカードゲームに課された税金、いわゆるトランプ類税を収めたという証明スタンプです。
なおこのタイプのスタンプは1936年から1939年まで使用されました。Nr.90はアルテンブルク の税務署の番号とのこと。

次に実際のゲームがどのように進められるか、ほんのさわりの部分だけ書きたいと思います。(これまで知ったかぶりして書いてきましたが、実はゲーム未経験者なのです。細かい所はよく判っておらず、記述に間違いがあればご指摘下さい)
シュカートは3人でプレイするのですが、テーブルには4人、もしくは5人が座ることができます。(下記参照。5人の場合は1人が見学)まずは役割とプレイする順番を決めます。カードの山から一枚引いて、一番強いカードを引いたプレイヤーがディーラーになります。ディーラーが決まればその左側からフォアハンド、ミドルハンド、リアハンド(エンドハンド)となります。なお3人の場合はディーラーがフォアハンドとなります。(リアハンドという説明もあり)

Skat_family_card_game1.jpg

その後、ビッドで自分の手札のゲーム点を競り合い、単独プレイヤーを決めます。
単独プレイヤーは自分に有利になるように切り札のスート、ゲームの種類を選択でき、対抗プレイヤーに阻止されず61点以上稼ぐことで勝負に勝つことができます。
と、ここまでが私の理解力の限界です。これ以上詳細な説明はとても無理なのでご容赦下さい。

下記はYoutubeで拾った映像で、Skatのゲームの大まかな流れが判ります。(ディールの仕方、ビッドの流れなど)

どうやら真ん中に座った紳士がシュカートのルールを勘違いしたままゲームに加わってしまったようです。
しかし思ったよりもゲーム展開が速くて驚きました。

最後に、シュカートをしている当時の写真をSTEINER氏のご好意によりお借りできたのでご紹介したいと思います。
(写真のご提供誠にありがとうございます)

skat5.jpg
(STEINER氏所蔵)
これからゲームを始めようとしているところでしょうか。真ん中のプレイヤーの右側に座っている兵士がディーラーと思われます。(ディーラーから時計周りにフォアハンド、ミドルハンド、リアハンドになります)

skat4.jpg
(STEINER氏所蔵)
こちらの写真もディーラーを含めた4人でプレイしている所を撮影したものです。右端の兵士がディーラーでカードを配っているように見えます。兵卒に混じって士官がプレイしているところが興味深いですね。

skat23.jpg
『グロースドイッチュランド師団写真史』(大日本絵画)にもシュカートをしている写真が掲載されていました。こちらも士官と下士官が同じテーブルでプレイしています。

“グロースドイッチュランド”師団写真史―東部戦線におけるGD機甲擲弾兵師団1942‐1944“グロースドイッチュランド”師団写真史―東部戦線におけるGD機甲擲弾兵師団1942‐1944
(1999/05)
トーマス マックギール、レミー スペツァーノ 他

商品詳細を見る

クルレ兵長の件で書いたような、兵士の生存能力を占うということは無かったかも知れませんが、シュカートでの勝負には階級や学歴などは関係無く、親睦を深めるツールであったのは間違いなさそうです。

skat20.jpg


FC2 Blog Rankingに参加しています。

←ポチっと応援お願いします!

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

ジェリカン前期型 (Kraftstoff Kanne)

ドイツ軍の飲料水用のジェリカン(Wasser Kanne)については以前ブログに書きましたが、今回はガソリン用ジェリカンをアップします。

jurry9.jpg   jurry4.jpg
1941年製の前期型ジェリカンです。塗装はほとんど残っておらず、へこみだらけだった為、海外のオークションで安く入手できました。

ジェリカン(Jerrycan)は、プレス加工された2枚の鋼板を溶接して作られた燃料容器である。


第二次世界大戦の北アフリカ戦線において、イギリス軍がドイツ軍の20Lガソリン缶を模倣して製造し、ドイツ兵の蔑称「ジェリー(Jerry)」を冠して「ジェリカン」と呼んだのが名称の由来である。連合軍ジープの後部にはしばしば、スペアタイヤと並んでジェリカンが搭載された。「ジェリ缶」とも表記される。

この野戦用ガソリン缶は元々はアフリカの砂漠に駐屯するイタリア軍の発明であった。
1937年頃にドイツ軍が Wehrmachtskanister (国防軍ガソリン缶)として導入した。従来の200L入りドラム缶に比べて持ち運びや車輌への積載が簡単で、兵士はポンプを使わずに直接車輌の給油口に燃料を注ぐ事ができる利便性から、ドイツ軍戦車部隊の電撃戦の長距離侵攻作戦を支えた工夫のひとつである。

容器の側面上方には「ガソリン20L 火気注意 (Kraftstoff 20L Feuergefährlich) 」と表示されている。さらに×印と四角形を組み合わせたようなへこみ(初期には×印のみ、またイタリア軍型では×部の角度が異なる)が付けられ、内容物の膨張をある程度許容する設計になっている。栓はスクリューキャップ方式ではなく、素早く開栓・閉栓できるバネ方式 (Bügelverschluss) を採用した。更に特徴的な点は、持ち運びのために3本の取っ手が上部に取り付けられていることである。内容が入っている場合には真ん中の取っ手を持てば一人の兵士が両手に2缶持ち運ぶことができ、空缶の場合は2缶を並べ、2缶の内側の取っ手を同時に持てば、片手で2缶、両手で4缶を運ぶことができる。

さらにドイツ軍では飲料水運搬用に、内部を(鉛を含む防錆塗料に代え)メッキして識別用の白十字をペイント、”Wasser”の文字がプレスされた専用のものを開発した。これは全ての戦線、特にアフリカ戦線の砂漠地帯で多用されているのが当時の写真で確認できる。

Bundesarchiv_Bild_101I-186-0166-02A,_Russland,_Treibstoff-Nachschub

(文・写真ともにWikipediaより)

jurry6.jpg
飲料水用ジェリカン(後期型42年製)との比較です。リブがx型になっているのが前期型の特徴です。このリブは膨張を許す以外に缶の強度をアップする役割がありましたが、さらに強度を増す為、後期型のリブはXと□を組み合わせた形となりました。
前期型は1937年に開発され1941年で製造がストップしました。なお、後期型は1939年開発、終戦まで作り続けられます。
(後期型のデザインは現在でもNATOや東欧諸国の軍隊の燃料カンで採用されています)

刻印部分のアップ

jurry8.jpg
Kraftstoff 20L=ガソリン 20L
Feuergefährlich=火気注意
1941=製造年

jurry2.jpg
Brose u. Co. Coburg=メーカー名
40=メーカーコードもしくは管理番号?
Wehrmacht=国防軍

jurry1.jpg
ジェリカンが2つあるので、実際にWikipediaの説明の通りに持ってみました。空であれば家内に“ドラえもん”と言われるほど指が短い私でも楽々持てます。


jurry7.jpg
注入口から内部が防錆用の赤いメッキ処理がされているのが見えます。

なんとジェリカン専門の本まであります。著者はフランス人のようですが、間違いなくコレクターでしょう。自分のコレクションを本にするのはよくある話です。

Du Kanister Au Jerrycan / From Kanister to Jerry Can: 70 ans de Service / 70 Years of ServiceDu Kanister Au Jerrycan / From Kanister to Jerry Can: 70 ans de Service / 70 Years of Service
(2008/05/19)
Phlilippe Leger

商品詳細を見る
ジェリカンは液体の運搬以外に、戦場では椅子やテーブルとしても活躍しました。

jurry3.jpg
ジェリカンを2つならべて簡易食卓を再現してみました。
全く同じサイズなので板を平行に置くことができます。(“火気注意”なのにストーブを置いてはまずかったかな?)なお缶詰がプルトップオープンになっているのはご愛嬌(笑)

Bundesarchiv_Bild_101I-018-0011-07,_Russland,_lesender_Soldat

Bundesarchiv_Bild_101I-162-0283-11A,_Bulgarien,_Soldaten_vor_Sch#252;tzenpanzer


FC2 Blog Rankingに参加しています。

←ポチっと応援お願いします!

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

折り畳み式スコップ (Klappspaten)

折り畳み式のスコップがやっと届きました。フランスを出発して到着するまでかれこれ3ヶ月です。オークションで落札したのですが航空便が高かったのでケチって船便で送ってもらったら、3ヶ月もかかってしまいました。
shovel133.jpg  
折り畳み式スコップです。1938年11月12日に採用されました。

shovel123.jpg  
折り畳んだ状態で人工皮革製キャリングケースに収納されており、そのまま腰に携帯できます。

Bundesarchiv_Bild_101I-218-0526-22,_Russland-S#252;d_(Don-Stalingrad),_Infanteristen


  shovel131.jpg
shovel7.jpg

ヒンジの部分を延ばすと全長68cmのスコップとなります。スコップというよりショベルという表現が適切かも知れません。

shovel21.jpg  
ヒンジ部のアップです。ベークライト製のネジで固定します。
shovel13.jpg
左が戦前から使われているストレートスコップ。折り畳み式に比べて生産工数も少なく終戦まで作り続けられました。
     shovel127.jpg
折り畳んだ状態ではストレートスコップとほぼ同じ長さですが、伸ばすと15cmほど長くなります。
支点(ブレードと柄の接合点)と力点(柄の先)の距離が長いとそれだけ掘るのがラクになります。小学校の時に習ったてこの原理ですね。
またブレードの先が尖っているので地面に突き刺して掘りやすくなっています。

shovel22.jpg
ブレードには“gyr 1942”の刻印があります。(gyrはSolingenにあるDeltawerk社のコード)

【キャリングケース】

 shovel9.jpg shovel10.jpg


折り畳みスコップ用のキャリングケースです。ほとんどの部分は人造皮革(圧縮した紙=Presstoff)で作られていますが、一部ベルトループなどは革製です。
裏面にはケースをウエストベルトに通すループと銃剣を挿すベルトがあります。
キャリングケースには前期型と後期型があり、こちらは後期型となります。


UBiB_197_1#
写真に写っているのは前期型のケースです。


shovel126.jpg
上蓋を開閉してスコップを取り出します。前期タイプのケースにはこの蓋がありません。


shovel128.jpg  shovel129.jpg
収納ケースには“XC 41”の刻印と内側にXC 41およびWaAのスタンプがあります。


Bild 183-B22173
ストレートスコップ同様、近接武器としても用いられました。
白兵戦時にすぐに取り出せるよう、ウエストベルトに挿している兵士の写真をよく見かけます。

Bundesarchiv_Bild_101I-695-0403-31,_Warschauer_Aufstand,_deutsche_Soldaten_neben_Brunnen


FC2 Blog Rankingに参加しています。

←ポチっと応援お願いします!

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...
Profile

エーデルマン

Author:エーデルマン
脳内の99%をドイツ軍が占めている、そんなアラフィフ親父です。
注)当時のドイツ軍の装備・生活用品に興味がありますが、特定の団体・思想を支持するものではありません。

↓管理人へのMailはこちらからどうぞ↓

Category
FC2 Counter
Comments
Archive
Links
eBay
エーデルマンの参考文献
Ss-brigadefuhrer Und Generalmajor Der Waffen-ss Theodor "Teddy" Wisch
Ss-brigadefuhrer Und Generalmajor Der Waffen-ss Theodor "Teddy" Wisch
個人秘蔵の未公開写真が満載でLSSAHファンは必読の書。著者は友人

WWII ドイツ軍兵器集 〈火器/軍装編〉 (1980年) ワイルドムック
WWII ドイツ軍兵器集 〈火器/軍装編〉 (1980年) ワイルドムック
長年教科書だった本。小宮氏の「ドイツ軍の全貌」の解説がすごい

最強の狙撃手
最強の狙撃手
ドイツ軍No.2スナイパーの回顧録。狙撃シーンもすごいが、当時の兵士の生活も垣間見れる一冊

第2次大戦ドイツ軍装ガイド
第2次大戦ドイツ軍装ガイド
鮮明な写真による軍装品説明はブログ写真撮影の参考にしています

ドイツ軍装備大図鑑: 制服・兵器から日用品まで
ドイツ軍装備大図鑑: 制服・兵器から日用品まで
軍装品のカタログとも言えるボリュームは圧巻。実は密かに打倒を狙っていたり・・・

第2次大戦ドイツの自動火器
第2次大戦ドイツの自動火器
実物のFG42実射レポートを読めるのはこの本だけ

“グロースドイッチュランド”師団写真史―東部戦線におけるGD機甲擲弾兵師団1942‐1944
“グロースドイッチュランド”師団写真史―東部戦線におけるGD機甲擲弾兵師団1942‐1944
ドイツ国防軍好きなら買って損はなし

図説ドイツ軍用銃パーフェクトバイブル (歴史群像シリーズ Modern Warfare MW)
図説ドイツ軍用銃パーフェクトバイブル (歴史群像シリーズ Modern Warfare MW)
ドイツの軍用銃の専門書でビジュアル的に見ていて楽しい

ドイツの小銃拳銃機関銃―歩兵兵器の徹底研究 (光人社NF文庫)
ドイツの小銃拳銃機関銃―歩兵兵器の徹底研究 (光人社NF文庫)
ドイツ軍用銃のバイブル的な書。ドイツ軍スナイパートップ3への一問一答が興味深い

Feldbluse: The German Soldier's Field Tunic, 1933-45
Feldbluse: The German Soldier's Field Tunic, 1933-45
M33からM44までドイツ陸軍の野戦服を網羅。特にM36以前の野戦服は必見

Rations of the German Wehrmacht in World War II
Rations of the German Wehrmacht in World War II
とにかく当時のドイツ兵が食べていた糧食にこだわった一冊

武器と爆薬―悪夢のメカニズム図解
武器と爆薬―悪夢のメカニズム図解
迫撃砲はどうやって砲弾を飛ばすのか?小銃擲弾は?ほかにも大砲や爆弾のしくみを源文マンガでわかりやすく解説

グラフィックアクション GRAPHIC ACTION 1993年 No.17
グラフィックアクション GRAPHIC ACTION 1993年 No.17
このシリーズは市場で見つけたら買うべし

ドイツ武装親衛隊軍装ガイド (ミリタリー・ユニフォーム)
ドイツ武装親衛隊軍装ガイド (ミリタリー・ユニフォーム)
WSS専門だけど全部実物!

鼠たちの戦争〈上〉 (新潮文庫)
鼠たちの戦争〈上〉 (新潮文庫)
映画「スターリングラード」の原作本的な内容だが100倍面白い

鼠たちの戦争〈下〉 (新潮文庫)
鼠たちの戦争〈下〉 (新潮文庫)


スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943 (朝日文庫)
スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943 (朝日文庫)
塹壕から故郷へ送った兵士の手紙が興味深い「クリスマスはドイツ風に」の章は涙なくしては読めません

ケルベロス 鋼鉄の猟犬 (幻冬舎文庫)
ケルベロス 鋼鉄の猟犬 (幻冬舎文庫)
ヒトラーが暗殺された後の撤退戦を描いた架空小説。小道具にこだわるところがマニアっぽい

Flag Counter
QR CODE
QR