小銃射撃訓練 (Schießausbildung mit Gewehr)

第二次世界大戦における歩兵の主力火器はボルトアクションライフルであり、まさに「ONE SHOT ONE KILL」(一撃必殺)の世界で兵士には高い技量と戦場で冷静さを保つ精神力が求められました。ドイツ軍でも歩兵をSchütze(射撃手)やJäger(猟兵)と呼び、ライフル射撃のエキスパートとして訓練しました。
本日はドイツ軍における射撃訓練の詳細をREIBERTや射撃記録帳(Schießbuch)、当時の写真などを参考に見ていきたいと思います。

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1. 座学

実弾発射訓練に備え、兵士には座学がみっちりと行われました。

STEINER氏のサイトのコンテンツ「兵営生活(タイムテーブル編)」によると午前7:00-9:00は小銃と105mm榴弾砲に関する講義、午後1:00-2:00は算数と弾道計算の講義が行われていたようです。(注:砲兵連隊の場合)
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REIBERTには小銃の構造や操作、メンテナンス方法や、弾薬の種類、弾道の計算、照準方法など30頁に渡って小銃射撃に関する説明が書かれています。

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7.92mm小銃弾とPatronen s.S.(重尖頭弾)の紙箱。大きい紙箱には15発入りの紙箱が20個入るようになっています。

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この頁には肘射、伏射、膝射(次頁には立射)などの射撃の姿勢の写真と説明が掲載されています。

2. 実弾発射訓練

実射訓練は座学、模擬弾による十分な訓練を経て基地内の射撃場(レンジ)で行われました。

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この画像は映画『08/15』に出てくる射撃訓練シーンをキャプチャーしたものです。

射撃場には複数のレンジがあり、銃弾が隣のレンジに飛び込んでいかないよう、土手状の盛り土で区切られています。映像には指揮官(Offizier)、射撃台の上で伏射する兵(Schütze)、教官(Unteroffizier)、結果を記録する兵(Schreiber)、小銃弾を管理・供給する兵(Patronenausgeber)などが描かれています。


08/15 [DVD]08/15 [DVD]
(2004/02/25)
ヨアヒム・フックスベルガー

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ちなみにこの『08/15』は戦後間もない1955年に作られた映画で、時代的にも当時の実物が大量に使われております。また製作者や俳優の多くは戦争を体験してい るはずで、兵営内の描写は実際のものに近いはず。そんな映画ゆえに劇中の射撃場も、戦時中のものがそのまま使われた可能性もあります。

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こちらは射撃台を前方から見た当時の写真。
この射撃場は土手ではなく、高いコンクリート製の塀で仕切られています。
上記の写真と同じく、射撃台が2つ重ねになっており、教官が屈まなくても良いようになっています。
またツェルトバーンで作った天蓋があり、雨でも教官が濡れない配慮もされています。
(あるいはエジェクトした薬莢を回収しやすくする為のものかも知れません)

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こちらはREIBERTに乗っている標的の図。
120cmx170cmの紙もしくはキャンバス地に12条(リング)の円が書かれています。右の標的にはヘルメットを被った頭部の図柄が中心に描かれていて、ちょうど塹壕から顔を出したようになっています。

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この写真は「THE K98k RIFLE」に掲載されているものです。

The K98k Rifle (The Propaganda Photo Series)The K98k Rifle (The Propaganda Photo Series)
(2001/07/19)
G. de Vries、B. J. Martens 他

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兵士がターゲットに近づいて射撃結果を教官と一緒にチェックしています。(目線がターゲットでは無い?)
Kar.98kがオープンボルトになっているのは事故防止の為でしょう。

なお標的の左にある数字や記号は弾が当たったリングのポイントを示します。
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10以上は記号で表されます。Trefferは"アタリ"、Fehlerは"ハズレ"

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旗による射撃合図の説明。

3. 記録

兵士が行った訓練の成果は個人記録として中隊で管理されました。
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ヴェアパスの20頁には訓練大隊で行った射撃訓練の武器の種類が記入されています。

下記は射撃記録帳(Schießbuch)です。射撃記録帳は縦14.5cm x ヨコ10.5cm、12頁綴りの冊子でゾルトブーフとほぼ同じサイズです。小銃やピストル、機関銃そして手榴弾の訓練・成果を書き込めるようになっています。
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表紙には所有者の名前や階級、所属部隊などが書かれています。

-Name.(名前):Balzert?
-Dienstgrad(階級) :Schütze (二等兵)
-Truppenteil und Kampanie(所属部隊および中隊):16??Kampaie Inf. Regt.102(第102歩兵連隊第16中隊)
-5.Lehrgang 1938 : 1938年第5コース?
-(Monat Aug/Sep): 8月/9月
-Gewehr 98 Nr 4555(Gew 98 シリアルNo.4555)
-L.M.G Nr (軽機関銃)
-Pistole 08 Nr (ルガーP08)

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1頁目は使用した小銃の記録です。Kar.98KでPatronen s.S.(重尖頭弾)を7発撃った際のグルーピング(銃の精度を測る為、銃身を固定して複数発射した弾痕の外形サイズ)は縦6cm x ヨコ8cmとなっています。

2頁目には小銃(Gew.98/Karabiner)の成績結果が記録されています。

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2頁目には標的射撃(schulschießübungen)の結果が書かれています。
100m先の標的に肘射で3発撃つ訓練は中心の黒点ゾーンに全弾命中。しかし150mの伏射は少々難しかったようで2回とも中心に一発も当たっていません。

3頁には距離や標的などカスタマイズされた射撃訓練の記録です。
おなじく数字はリングのポイントで、"F"はアタリ、"O"はハズレという意味です。 

この記録帳には小銃のほかに軽機関銃や拳銃、手榴弾の訓練記録を記載する頁もあります。

拳銃(ルガーP08)の射撃記録
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この兵士は拳銃の訓練を受けていないようです。
25m先の標的に向かって立射の姿勢で5発という内容です。(うち一つは2秒間隔で発射)

軽機関銃の射撃記録
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一方で軽機関銃の訓練は受けております。1938年という時代からするとMG34でしょうか?

一つ目の訓練は25m先の標的に向かって単発で5発、二つ目は同じく距離は25mで3点バーストを3回の9発、三つ目は距離25mで15発連射となっています。

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こちらはREIBERTから抜粋した機関銃の標的です。四角い枠に人型の図柄が書かれています。

4. 記章

射撃技術に優れた兵士にはさまざまな栄誉が贈られました。
下記はM31水筒野戦郵便などの記事に登場したハインツ・クルレ兵長所有の章記です。

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「クルレ兵卒 優れた射撃成績 1942年4月10日 上級曹長および中隊長 Fortsch?」
七面鳥の絵に小口径の銃弾で打ち抜いた痕があります。絵をターゲットにして中隊で射撃の腕を競ったのでしょう。

また1936年6月29日付けで制定された射撃優秀者飾緒(Schützenschnur)は、射撃の技術を1級から12級までランク付けすることで基礎訓練を終えた兵士に対しても、射撃技術の向上を促しました。

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射撃優秀者飾緒の仕様
    射撃優秀者飾緒は礼服及び野戦服の右肩から胸に付ける。このアルミニウム製のコードで作られたランヤードはパレードや外出時に着用する。12階級は下記のとおり

※以下省略

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左から5級、1級、4級の飾緒。射撃優秀者飾緒の詳細はこちらを参照下さい。

特に優れた射撃技術を持つ兵士は選抜射手として、Z.F.41狙撃用スコープが供与されることもありました。

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