フードコンテナー (Essenbehälter)
タイトルとは関係ないですが、最近になってやっと『フューリー』を観ました。ボービントン戦車博物館のティーガー戦車を使ったという話題作で、今まで見た中では一番リアルな戦争映画ではありますね。
出演者もブラピはじめ素晴らしい演技をしているのですが、こういう趣味をしていると、どうしても細い所が気になってしまい、ストーリーに集中できないのはちょっと残念でした。
さて、今回はドイツ軍のフードコンテナー(Essenbehälter又はSpeisenträgerとも言う)を紹介したいと思います。
フードコンテナーはフィールドキッチン(Feldküche 別名シチュー砲)で調理した食べ物を前線部隊へ運搬するのに使われました。
容量は約12リッターで、ドイツ軍の糧食メニューである、シチューや肉・ソーセージなどの運搬に使用可能です。
フードコンテナーは通常、大型フィールドキッチン(Gross Feldküche)には6個、小型フィールドキッチン(Kleine Feldküche)には4個装備されていました。
フィールドキッチンは安全な後方に置かれる為、離れた前線へは毎日作った糧食を運搬する必要があります。よってフードコンテナーは前線を維持する上で無くてはならない装備品でした。
しかしながら総重量20キロ以上にもなるフードコンテナーを背負って前線まで糧食を届けるのは重労働で、また狙撃手の標的となりやすく危険を伴います。
このことから運搬作業に従事する兵士は、隠れたヒーローで前線の兵士から大変感謝されたのは間違いありません。
ドイツのTVドラマ『ジェネレーション・ウォー』ではこのフードコンテナーが何度か出てきます。
このドラマは3話完結で1941年のソ連侵攻から終戦までを男女5人の視点で描いているのですが、時代考証はしっかりしており、野戦服を始めとする小道具もきちんと再現されています。
1941年の冬季戦線のシーン。フードコンテナーもアルミ製でフィールドグレイ色に塗装されています。
個人的には実物を使用しているんじゃないかと思ってます。
フードコンテナーは二重構造になっていて保温性が高く、糧食を入れる内容器は取り外せ簡単に洗えるようになってます。
コンテナー本体及び内部容器は初期はアルミ製、後期にはスチール製となります。スチール製の内容器は後期の飯盒や水筒と同じく、錆防止のためエナメル加工が施されています。
写真のフードコンテナーの場合、本体はスチール製ですが、内容器も上蓋内側もアルミ製となっており、移行期のモデルのようです。また逆のパターン(本体がアルミ製で内部がスチール製)も存在しています。
上蓋の蝶ボルトは手でもしっかり閉められる構造で、横にしても内容物が漏れません。
フードコンテナー専用レードル(Schöpflöffel)です。1938年の刻印があります。
激戦地スターリングラードで発掘されたものらしくアルミ製ですが、かなり朽ちこみがあります。
スチール製でエナメル加工のあるレードルも近年見つかっています・
このようにレードルは上蓋の内側に収納できます。上蓋の淵には密閉の為のゴムパッキンが見えます。
こちらのストラップはコットンと革の組み合わせですが、すべて革のタイプもあります。
朝の洗面作業。フードコンテナーを使ったお湯の配給があったのでしょうか?右側の兵士がレードルで中身をすくっています。
兵装が緩いため、前線からはかなり離れた場所と思われます。記録係がいる典型的な給食ラインです。シチュー鍋から飯盒に糧食が配給されています。
最後に資料本の紹介です。
『Gulaschkanone』は一年ほど前に購入したフィールドキッチンについての資料本です。レストアされた“シチュー砲”と共にフードコンテナーなどのアクセサリーの写真も満載です。
左側はスチール製の内部写真と専用レードルで飯盒にスープを入れる写真、右側はスープ以外にソーセージや塩漬けキャベツが入っています。
この本を見ていると、だんだんフィールドキッチンが欲しくなってくるのは気のせいでしょうか。
当然買う金なんてどこにも無いし、あっても簡単に手に入るものでは無いのでタミヤのプラモデルで我慢しておきます。


最近のモデルには、フードコンテナーもばっちり装備されてるんですね~
ちなみに私が子供の頃はこちらのパッケージでした。馬だけ欲しくて買った記憶が・・・今度はちゃんと作ります。。。
出演者もブラピはじめ素晴らしい演技をしているのですが、こういう趣味をしていると、どうしても細い所が気になってしまい、ストーリーに集中できないのはちょっと残念でした。
さて、今回はドイツ軍のフードコンテナー(Essenbehälter又はSpeisenträgerとも言う)を紹介したいと思います。

フードコンテナーはフィールドキッチン(Feldküche 別名シチュー砲)で調理した食べ物を前線部隊へ運搬するのに使われました。
容量は約12リッターで、ドイツ軍の糧食メニューである、シチューや肉・ソーセージなどの運搬に使用可能です。

フードコンテナーは通常、大型フィールドキッチン(Gross Feldküche)には6個、小型フィールドキッチン(Kleine Feldküche)には4個装備されていました。

フィールドキッチンは安全な後方に置かれる為、離れた前線へは毎日作った糧食を運搬する必要があります。よってフードコンテナーは前線を維持する上で無くてはならない装備品でした。

しかしながら総重量20キロ以上にもなるフードコンテナーを背負って前線まで糧食を届けるのは重労働で、また狙撃手の標的となりやすく危険を伴います。
このことから運搬作業に従事する兵士は、隠れたヒーローで前線の兵士から大変感謝されたのは間違いありません。
ドイツのTVドラマ『ジェネレーション・ウォー』ではこのフードコンテナーが何度か出てきます。
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このドラマは3話完結で1941年のソ連侵攻から終戦までを男女5人の視点で描いているのですが、時代考証はしっかりしており、野戦服を始めとする小道具もきちんと再現されています。


1941年の冬季戦線のシーン。フードコンテナーもアルミ製でフィールドグレイ色に塗装されています。
個人的には実物を使用しているんじゃないかと思ってます。

フードコンテナーは二重構造になっていて保温性が高く、糧食を入れる内容器は取り外せ簡単に洗えるようになってます。
コンテナー本体及び内部容器は初期はアルミ製、後期にはスチール製となります。スチール製の内容器は後期の飯盒や水筒と同じく、錆防止のためエナメル加工が施されています。
写真のフードコンテナーの場合、本体はスチール製ですが、内容器も上蓋内側もアルミ製となっており、移行期のモデルのようです。また逆のパターン(本体がアルミ製で内部がスチール製)も存在しています。

上蓋の蝶ボルトは手でもしっかり閉められる構造で、横にしても内容物が漏れません。

フードコンテナー専用レードル(Schöpflöffel)です。1938年の刻印があります。
激戦地スターリングラードで発掘されたものらしくアルミ製ですが、かなり朽ちこみがあります。
スチール製でエナメル加工のあるレードルも近年見つかっています・

このようにレードルは上蓋の内側に収納できます。上蓋の淵には密閉の為のゴムパッキンが見えます。

こちらのストラップはコットンと革の組み合わせですが、すべて革のタイプもあります。

朝の洗面作業。フードコンテナーを使ったお湯の配給があったのでしょうか?右側の兵士がレードルで中身をすくっています。

兵装が緩いため、前線からはかなり離れた場所と思われます。記録係がいる典型的な給食ラインです。シチュー鍋から飯盒に糧食が配給されています。
最後に資料本の紹介です。
Gulaschkanone: The German Field Kitchen in WW2 and Reenacting
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Scott L. Thompson
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『Gulaschkanone』は一年ほど前に購入したフィールドキッチンについての資料本です。レストアされた“シチュー砲”と共にフードコンテナーなどのアクセサリーの写真も満載です。


左側はスチール製の内部写真と専用レードルで飯盒にスープを入れる写真、右側はスープ以外にソーセージや塩漬けキャベツが入っています。
この本を見ていると、だんだんフィールドキッチンが欲しくなってくるのは気のせいでしょうか。
当然買う金なんてどこにも無いし、あっても簡単に手に入るものでは無いのでタミヤのプラモデルで我慢しておきます。


タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.247 ドイツ陸軍 野戦炊事セット プラモデル 35247
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タミヤ(TAMIYA)
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最近のモデルには、フードコンテナーもばっちり装備されてるんですね~
ちなみに私が子供の頃はこちらのパッケージでした。馬だけ欲しくて買った記憶が・・・今度はちゃんと作ります。。。

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M43規格帽 (Einheitsfeldmütze M43)
皆様、大変ご無沙汰しております。
ブログを休止してから1年ちょっと、新たな生活にも少しずつ慣れ、世界の片隅でなんとか生きております。
以前よりペースは落ちましたが、軍装趣味はボチボチと続けており、ネタも増えてきたので久々に更新したいと思います。
さて、今回のアイテムはM43規格帽 (Einheitsfeldmütze M43)です。
相変わらずヘタな写真ですみません! 写真は全くのど素人なので適当に撮っております。
(一応背景は白抜きでそれらしく見せてますが・・・)
使っているカメラも普通のデジカメ、その他の撮影機材は三脚のみ、100%天然光を利用しています。
実は以前住んでいた家はアパートの高層階にあった為、明るく部屋撮りも問題ありませんでした。
しかしながら、今の家は1階で昼間でも暗く、機材を持ってうろうろ。結局、写真はベランダで撮ることになりました。
(外からまる見え。。。かなり緊張しました・・・)
それでは、そろそろ本題に入りましょう。
M43規格帽は戦闘帽(もしくは作業帽)の一種で、それまで将兵に支給されていた、つば無しの略帽に変わって1943年6月11日に導入されたつば付きの帽子です。
デザインは山岳猟兵へ支給されていた山岳帽(Bergmütze)をベースにしたと言われていますが、シルエット的にはM42略帽(Feldmütze M42)につばを付けた感じです。
(実際にM42略帽につばを付けて改造したM42/43規格帽というものが存在しています)
この帽子は初期モデルらしく、山岳帽と同じT字型の帽章が手で縫い付けられています。
このようなT字型帽章は曲線が多く、縫い付けに手間がかかる為、生産効率を考えてBEVOタイプの逆台形(Trapezoid)の国家鷲章をミシンで縫う方法に切り変わります。この省略化は野戦服の胸章にも共通していますね。
こちらがM43規格帽の一般的な帽章。(陸軍の一例)
上と右下は末期タイプ。
M42略帽と同じく折り返しのフラップが防寒用の耳あてとして使用できるよう、ボタンで取り外し可能になっています。
このボタンが一つに簡略化されたタイプも見られます。
フラップを下げるとこのように顔全体をスッポリ覆うことができます。


ライナーに押されたスタンプ。44年製でサイズは60です。RB Nr. 0/1156/0018はメーカー名不明
このM43規格帽、残存数が極めて少ないのですが、理由はズボンやヘムトと同じく戦後に消耗されてしまったというのが一般的です。

戦後のドイツ。少年たちが帽章を外して黒く染めた規格帽(フィールドグレイは法律で禁止された為)を被っています。
他にも連合軍兵士がトロフィー(戦勝品)にしたがるようなアイテムは残存率が高いのですが、見た目が平凡な帽子は魅力薄であまりお持ち帰りされなかったようです。
今でも良いコンディションのドイツ軍の軍装が大量に残っているのは、お土産好きなアメリカさんのおかげ?
よって、M43規格帽、特に陸軍(Heer)のものは市場で高値で取引される為、だますことを目的に出来の良いニセモノ(〝スーパーフェイク〟と呼んでます)が一時大量に作られました。
ホンモノとニセモノの見分け方は非常に困難で 、当時の工作機械(ミシン)を使って、実物のコートなどをバラした生地にホンモノの帽章を使われてしまうと、もうお手上げです。
熟年コレクターは、フェルトの生地はもちろん、ライナー素材・汚れ具合、押されたサイズ又は製造年スタンプの位置、縫製糸の間隔(で工場用ミシンかどうか判る)なども判断基準にしているようです。(私にはさっぱり分かりませんが)
この帽子は一応コレクターのお墨付きです。ライナーのスタンプが判断材料らしいです。良かった。。。(汗)
ブログを休止してから1年ちょっと、新たな生活にも少しずつ慣れ、世界の片隅でなんとか生きております。
以前よりペースは落ちましたが、軍装趣味はボチボチと続けており、ネタも増えてきたので久々に更新したいと思います。
さて、今回のアイテムはM43規格帽 (Einheitsfeldmütze M43)です。

相変わらずヘタな写真ですみません! 写真は全くのど素人なので適当に撮っております。
(一応背景は白抜きでそれらしく見せてますが・・・)
使っているカメラも普通のデジカメ、その他の撮影機材は三脚のみ、100%天然光を利用しています。
実は以前住んでいた家はアパートの高層階にあった為、明るく部屋撮りも問題ありませんでした。
しかしながら、今の家は1階で昼間でも暗く、機材を持ってうろうろ。結局、写真はベランダで撮ることになりました。
(外からまる見え。。。かなり緊張しました・・・)
それでは、そろそろ本題に入りましょう。
M43規格帽は戦闘帽(もしくは作業帽)の一種で、それまで将兵に支給されていた、つば無しの略帽に変わって1943年6月11日に導入されたつば付きの帽子です。

デザインは山岳猟兵へ支給されていた山岳帽(Bergmütze)をベースにしたと言われていますが、シルエット的にはM42略帽(Feldmütze M42)につばを付けた感じです。
(実際にM42略帽につばを付けて改造したM42/43規格帽というものが存在しています)

この帽子は初期モデルらしく、山岳帽と同じT字型の帽章が手で縫い付けられています。
このようなT字型帽章は曲線が多く、縫い付けに手間がかかる為、生産効率を考えてBEVOタイプの逆台形(Trapezoid)の国家鷲章をミシンで縫う方法に切り変わります。この省略化は野戦服の胸章にも共通していますね。

こちらがM43規格帽の一般的な帽章。(陸軍の一例)

上と右下は末期タイプ。

M42略帽と同じく折り返しのフラップが防寒用の耳あてとして使用できるよう、ボタンで取り外し可能になっています。
このボタンが一つに簡略化されたタイプも見られます。

フラップを下げるとこのように顔全体をスッポリ覆うことができます。


ライナーに押されたスタンプ。44年製でサイズは60です。RB Nr. 0/1156/0018はメーカー名不明
このM43規格帽、残存数が極めて少ないのですが、理由はズボンやヘムトと同じく戦後に消耗されてしまったというのが一般的です。

戦後のドイツ。少年たちが帽章を外して黒く染めた規格帽(フィールドグレイは法律で禁止された為)を被っています。
他にも連合軍兵士がトロフィー(戦勝品)にしたがるようなアイテムは残存率が高いのですが、見た目が平凡な帽子は魅力薄であまりお持ち帰りされなかったようです。

今でも良いコンディションのドイツ軍の軍装が大量に残っているのは、お土産好きなアメリカさんのおかげ?
よって、M43規格帽、特に陸軍(Heer)のものは市場で高値で取引される為、だますことを目的に出来の良いニセモノ(〝スーパーフェイク〟と呼んでます)が一時大量に作られました。
ホンモノとニセモノの見分け方は非常に困難で 、当時の工作機械(ミシン)を使って、実物のコートなどをバラした生地にホンモノの帽章を使われてしまうと、もうお手上げです。
熟年コレクターは、フェルトの生地はもちろん、ライナー素材・汚れ具合、押されたサイズ又は製造年スタンプの位置、縫製糸の間隔(で工場用ミシンかどうか判る)なども判断基準にしているようです。(私にはさっぱり分かりませんが)

この帽子は一応コレクターのお墨付きです。ライナーのスタンプが判断材料らしいです。良かった。。。(汗)
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