『ヒトラーの忘れもの』

現在公開中の映画、『ヒトラーの忘れもの』(デンマーク語の原題『Under Sandet』)はナチスドイツが降伏後、ドイツ軍がデンマークの海岸線に埋設した2百万もの地雷の撤去に強制させられたドイツ少年兵たちの物語ですが、史実に基づいた話ということでネットで調べたところ、興味深い記事を見つけましたので紹介したいと思います。
Under Sandet0  
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「The Untold Horror of How Danes Forced German POWs to Clear Mines After WWII」
(語られなかった恐怖、第二次大戦後、いかにデンマーク人は地雷撤去をドイツ兵捕虜に強制したか)

<ここから>
ホロコースト後の歴史の片鱗 - 第二次世界大戦直後のデンマークの海岸におけるドイツ兵捕虜の地雷除去への強制労働 - デンマークの学識者間でさえも議論されたことの無い事実がデンマークと ドイツ合作の新しい映画によって白日の下にさらされている。

映画『ヒトラーの忘れもの』は、ナチス占領時にデンマークの西海岸に埋められた200万以上の地雷の撤去を強制された2,000人以上のドイツ人捕虜(多くはまだティーンエイジャーだった)の物語である。

Under Sandet1 
最近の研究によると捕虜の半数近くが作業中の事故により死亡もしくは負傷、多くは生涯残るような深刻な障害を負った。デンマーク人は戦争捕虜を危険な作業に従事させることを禁止するジュネーブ条約を違反するイギリス軍の決定に従うしかなかった。ドイツ兵は定期的にすべての地雷が除去されたことを確認する為、「死の行進」と呼ばれる地雷原を行進するようなこともさせられた。 

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『ヒトラーの忘れもの』は2015年9月にトロント国際映画祭でプレミア上映され、続いて12月3日にデンマークで公開された。少年兵が腹ばいになって素手で地雷を掘り出すシーンは論争となる。争点はドイツ兵が本当に無実の若者であったのか、それともナチスの残虐行為に参加した兵士だったかどうかという点である。当時のデンマーク人は、ドイツ兵を見ても大人と少年、一部は戦争の最後の数ヶ月でドイツ軍に徴兵されていた十代の若者であったが、を区別できなかったと信じる人たちがいる。

Under Sandet3 
映画の公開をきっかけに、デンマークの新聞社、ポリティカンはこの歴史的な事件を真摯に調べあげた。公文書にはデンマーク解放の数日後、イギリス軍のホランド・スタンリー少佐及び数名のデンマーク軍士官と駐デンマークドイツ軍司令官、ゲオルク・リンデマン将軍との間で会合が行われ、地雷除去の経験を持つドイツ兵を地雷原撤去に従事させることが決定された。リンデマン将軍は既に帰国の途についていたドイツ軍工兵部隊の兵士に地雷除去の為、デンマークへ戻るよう命令することに合意した。捕虜はイギリス軍によって、南ユトランドの捕虜収容所に送られ3日間地雷を無力化する訓練を受けた。撤去作業はユトランドに始まり、その後デンマークのジーランドでも実行された。

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イギリス軍はデンマーク軍では地雷を見つけ除去するのに何年もかかるため、ドイツ軍の経験豊富な兵士がデンマークを去る前に撤去する必要があると主張した。(実際スカリンゲンで最後の地雷が除去されたのは2012年となる)地雷の多くは戦後、国を再建するために不可欠であった農地に埋められていたのである。

Under Sandet6 
ポリティカンの記事には、当時のデンマークの人々は第二次世界大戦直後の雰囲気の中で、ドイツ占領下にドイツ軍がデンマーク国内に敷設した地雷をドイツ兵が除去することになんら問題もないと正当化したことを指摘している。当時、作業については一度新聞で報道されたが、誰もそれが国際法に違反しているとは思わなかった。敗戦後ドイツ兵は何の権利もなく、ただちに慈悲を期待できないという共通の合意もあった。

ある者はこの作戦はデンマークの最大の戦争犯罪としている一方で、他の者はドイツ兵は戦争捕虜ではなかったと唱えていると記事で述べている。地雷除去の作戦を実行したデンマーク部隊の一員だったクヌーズ・クリスチャンセンは、ドイツ軍兵士が作業に志願することで、より早く祖国に戻ることができると考えており、またより良い食糧や僅かながらも給金といったインセンティブを受けられると信じていたと言っている。ポリティカンとのインタビューで、クリスチャンセンは、デンマーク政府が地雷除去を兵士に強制したことを否定している。彼はまた、作業に参加した兵士たちは十代の若者ではなく、東部戦線で戦っていた兵士であると主張した。
Under Sandet7 
法学者であり歴史家のヘルゲ・ハーゲマンは、彼の1998年のデンマーク語の著書 "Under Tvang"」(「強制の下で:1945年のユトランド西海岸での地雷撤去)でデンマークの政策に対して重大な告発を提起した。ドイツ兵たちは作業の為に適切な訓練を受けておらず、時間と感情的なプレッシャーの下で働らかされていたと書いている。ハーゲマンによれば、ドイツ兵は「汚物」のように扱われ、成功のしそうもない作業に志願することで何百人もが死亡もしくは生涯残るような深刻な障害を負ったとしている。

<ここまで> 

なお、パウル・カウルの著書『捕虜』にはフランスで地雷除去の作業に従事させられたドイツ兵は約4万人、死亡したドイツ人の数は今もって不明であり、少なく見積もっても数千人に及ぶと書かれています。



今年もお世話になりました。来年も宜しくお願いします。


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M31雑嚢 (Brotbeutel 31) 熱帯用

こんにちはエーデルマンです。
最近は一人きりで過ごすクリスマスを〝クリぼっち〟と言い、家族や恋人と一緒でなくても楽しむ方法もあるようですね。私が若い頃(バブル時代)、クリスマスの夜を恋人と過ごせない人間の価値はゼロに等しく(嘘)、ひたすら息を潜めながらクリスマス、特にイブが過ぎるのを待ったものです。ちなみに日本でクリスマスを恋人と一緒に過ごすことが勝ち組とされるようになったのは、1980年代の始めだそうです(山下達郎の「クリスマス・イブ」が発売された1983年頃でしょうか?)

前置きが長くなってしまいましたが、本日は熱帯用のM31雑嚢(Brotbeutel 31)を取り上げたいと思います。

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形は一般の雑嚢と変わりませんが、革製パーツがコットン(ウェブ)製になっています。乾燥した場所では革は傷みやすく、長持ちさせる目的でコットンを使用したと思われます。


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このように力のかかるバーツは、しっかりと織り込んだウェブでできています。
革だと経年で脆くなっている場合がありますが、70年以上前でも非常に頑丈です。

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後ろ側のDリングパーツにもコットンが使用されています。



Breadbag_TP3-1.jpg  
"Ernst Melzig LIEGNITZ 1942" のスタンプが残っています。




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こちらのパーツも全てコットン製ですが、中央のベルトが革製のバリエーションもあります。

Breadbag_TP8-1.jpg  
こちらはオールコットンのストラップです。写真には写っていませんが、スタンプ(判読不可能)が押されています。

Breadbag_TP9-1.jpg  
金具部分のクローズアップ。

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本来クリスマスは家族と過ごすもので、日本のようにカップルで過ごす習慣は欧米はもちろん、非キリスト圏でもほとんど無いようです。(日本では家族と過ごすのは正月という文化があるからかも知れませんが)

さて、北アフリカ前線に派遣された兵士は、家族からは遠く離れた土地でどんな思いでクリスマスを過ごしたのでしょう。
Breadbag_TP15.jpg 
Fröhliche Weihnachten!!


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半長靴:サイコロつぼ(Knobelbecher)

こんにちはエーデルマンです。
最近めっきり寒くなりましたね。街中でブーツを履いている女性を見かけると、どうしてもドイツ兵の半長靴を思い浮かべてしてしまいます。ということで、今回はドイツ軍の半長靴(Marshstiefel)を紹介したいと思います。

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半長靴は以前にも取り上げていますが(過去の記事はこちら)、今回は趣向を変えて、今回は文林堂出版さんの「航空ファン 別冊グラフィックアクション26」に掲載されていた、「Westfront-illustrierte」を翻訳した記事を引用しながら半長靴を紹介したいと思います。

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(著作権上、コピペがまずかったら消しますので教えてくださいませ m(_ _;)m)

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「Westfront-illustrierte」誌 1941年8月号より ヘルムート・ヤーン記

新兵としてその靴を履いたら、それに愛着を持つことになるとは思いたくもないだろう。この靴は決して美しくない。履物として一般に想像されるものとはあまりにも共通点が少ないのだ。この靴は軍隊用語で「クノーベルベッヒャー(サイコロつぼ)」と名づけられている。
-「航空ファン 別冊グラフィックアクション26」より-

boots3-1.jpg

確かに兵用のブーツは将校用に比べるとスマートでは無いですが、〝機能美〟はあるのでは無いでしょうか。
ところでサイコロつぼ(クノーベルベッヒャーKnobelbecher)ってどんなモノ?とネットで調べてみたら、下記の画像がヒットしました。
images.jpg

↑がサイコロつぼで↓が半長靴です。すね部分が筒型のところや縫い目は確かに似ていますね。
boots9_2016121022135538c.jpg

この半長靴は兵士のために造られたものである。考案者は偉大な実用者だったに違いない。もちろん彼は芸術愛好者ではない。趣味と感覚的に優れた彼はこの半長靴を決していい作品だとは思わなかっただろう。美的には評価は低いが、軍事上の評価は上回る。軍事教官(将校)はこの半長靴をサイコロ・ゲームのつぼから出た目の「19」に例えているようだ。 
-「航空ファン 別冊グラフィックアクション26」より-

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さすがは軍用品、外観では無く100パーセント実用性重視です。このサイコロ・ゲームの「19」はバカラの「9」みたいなものでしょうか?良く分りませんが、軍事教官(プロ)にして評価が高いということでしょう。

実際に半長靴を使用したことがある者は、その使い方によって寿命が左右されることを知っている。この半長靴の中でも最もランクの低いものに対し、最も献身的な手入れが施され扱われているということは考えれば不思議なことである。
-「航空ファン 別冊グラフィックアクション26」より-

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支給品の手入れは兵士の務めでしたが、特に軍靴は顔が映るくらい毎日ピカピカに磨くよう厳しく指導されました。軍靴は〝歩く〟ことが日常の歩兵にとって最も使用頻度の高い道具であり、ずさんな扱いは命に関わることを頭より体で覚えさせる目的もあったと思います。

学歴、宗派、貧富、老若、体の大小に関係なく、陽気な者も短気な者も皆、この半長靴を履き、ブラシをかけて泥をたたき落とししては洗い、クリームを塗ってピカピカに磨きあげ、油を塗りつけては息を吹きつけて艶出しに努める。彼らはさらに先の尖ったもので靴底の鋲の間につまった砂をかき落とし、わざわざそのために造られた木製の道具で靴の内側の白い縫い目から注意深く汚れを取り除く。
-「航空ファン 別冊グラフィックアクション26」より-


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ブラシには1.靴に付いたほこりや汚れを落とす、2.靴クリームを革に塗り込む、3.靴クリームを落とし磨く、という3種類の用途あり、大抵は3種類1セットとなっています。

もちろん、彼らはそれをいつでも喜んでやっていたわけではない。いやが上でも武器とつき合わなければならない軍人としての立場から、靴ブラシとつき合っているのである。
-「航空ファン 別冊グラフィックアクション26」より- 


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軍靴の手入れ用品は官給品・私費購入いろんな種類があります。兵士は背嚢に入れて持ち運び、前線でも手入れを欠かしませんでした。
手入れ品についてはこちら
背嚢の中身についてはこちら

それでも兵士たちはこの半長靴を高く評価し、次第に好きになっていった。それはもちろん一目惚れではない。確かにそうではないが、彼らは最初のかかわり合いから時間が経過するにつれて理解と分別を働かすようになり、軍隊生活において実際にテストをくり返していくうち、実用的で長持ちするこの半長靴に愛着を覚えはじめ、すっかりと自分の足に馴染むようになる頃には喜びさえ覚える。 
-「航空ファン 別冊グラフィックアクション26」より-


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昔から〝靴を足に合わせるのではない、足を靴に合わせろ〟と言われている通り、支給されたばかりの頃は固靴に最初は馴染めず、タコやマメを作りながら足と靴は夫婦のように寄り添っていったのでしょう。

クノーベルベッヒャーはごく普通の靴で、最もありふれた長靴である。それなのに決して平凡な靴ではない。バックスキンのあて布付きのエレガントな靴、トカゲ革やヘビ革製の靴、狩猟用の靴、鞣した牛革や山羊革の靴の方がずっといいに違いない。だが、この半長靴には独特の個性がある。 
-「航空ファン 別冊グラフィックアクション26」より-
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ドイツ軍の半長靴や編上げ靴はありふれた形なので、ドイツ軍が使用したものかどうか一目で判別するのが困難です。官給品には写真のようなサイズや製造年を示す刻印がありますが、私費購入や搾取品には無いのでドイツ軍で使われたものか分かりません。
なおドイツ軍の靴の特徴についてはこちら

この靴は実直な性格ながら鈍重で、温厚で強くて履き主に忠実なのだ。これまでの靴はどこかの沼地や、ぬかるんだポーランドの畑の深い泥土にはまり込んでしまうと絶対に救いようがなかった。 
-「航空ファン 別冊グラフィックアクション26」より-


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東部戦線の泥まみれの悪路では頑丈な半長靴の存在は頼もしかったと思います。

この靴は自然のままで大地に結びついている。その性質上、過度の洗練を嫌う。これは寄木張りの床を嫌い、大都市にあるよく磨かれたアスファルトを好まない。彼らは外交官ではなく、兵士なのだ。ハイヒールが品良く優雅に振る舞うような場所では彼らの足はツルツルと滑る。小川の流れる道や、土埃が吹き抜ける畑の上、雨でできた茶色の水溜まりのある場所こそが彼らには相応しい。 
-「航空ファン 別冊グラフィックアクション26」より-


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軍靴と言えば鋲(ホブネイル)ですね。民間靴でも登山や作業靴に使用されていて、ビブラムソールが発明されるまで、滑り止め用として一般的でした。しかし、石畳や平らな床ではツルツルと滑ったと思われ、まさに大地に結びついているという表現が当てはまります。滑り止め以外に、靴底の摩耗を防ぐ目的もありました。

彼らの靴は見かけは国際的とはいえないが、大陸的にはもっとも適したものといえる。彼らが歩くところに道ができ、彼らの進むところに障害物はない。彼らの靴底にある鋲が道路の石の上でカチャカチャと音を立て、全身する部隊がザクザクと協調のシャルマイエ(ドイツの木製楽器)を奏で、周囲の物音をすべてかき消してしまう。それは叫び声や抗議の声にも反応を示さない。それは命令によってのみ行動される。 
-「航空ファン 別冊グラフィックアクション26」より-


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しかしながら鋲には欠点もあります。Wikipediaを引用すると〝鋲は鉄製なので冬場は猛烈に冷え、またよく抜ける上に補充するとその周囲の鋲が連鎖的に抜けるなど欠点が多く、ビブラムソールの登場とともに駆逐された。〟ようです。

ドイツ軍人の半長靴は敵の間ではわけもなく力の象徴とされているわけではない。オーバーな表現やあらゆる欺瞞的な策略を問題にせず、兵士たちは黙々と行進し続けるのである。 
-「航空ファン 別冊グラフィックアクション26」より-

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半長靴は戦場で酷使され、また戦後に民間で消耗されてしまいますが、それでも手入れがきっちりされたものは非常に良いコンディションで今でも残っています。


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脳内の99%をドイツ軍が占めている、そんなアラフィフ親父です。
注)当時のドイツ軍の装備・生活用品に興味がありますが、特定の団体・思想を支持するものではありません。

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