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白兵戦章 (Nahkampfspange) 

こんにちは、エーデルマンです。コロナの第一波か第二波なのか分かりませんが、なかなか終息しないですね。経済が回らないから4月5月のような一斉の休業要請は出せないにしても、新宿の一定の地域・店舗は時間制限にするなり、許可制にすれば良いのにねぇ・・・まぁ、世間がGo toなんとかになっても一人ステイホームです。(単なる出不精)

さて本日はまたもや白兵戦章ネタです。
CCCsilver14-3.jpg
こちらは白兵戦章 銀章(II. Stufe)です。FLLの記号でFriedrich Linden製であることが分かります。
銀章は銅章と金章の間の等級で、30日間の近接攻撃に参加した兵士へ授与されました。(金章は50日、銅章は15日)

CCCsilver18-1.jpg
この業界で有名な白兵戦章の銀章授章者と言えば、『戦争のはらわた』のマイヤーですね。

CCCsilver25.jpg
ここまで銀メッキが残っているのは珍しいと思い、一瞬フェイクを疑いましたが、白兵戦章の第一人者であるThomas M. Durante氏に写真を送って確認してもらったところ、とりあえず問題なさそうとのこと。とはいえ、あくまでネット上での判断であり、FLLはフェイクが多いので手に取ったらやっぱりアウトでした、の可能性もありますが。

CCCbook.jpg
こちらはThomas M. Durante氏の白兵戦章のついての資料本とリプロ(フェイク)についての解説。(画像をクリックするとAmazonのページに移動します。)

CCCsilver19.jpg

ところで白兵戦章の授章条件についてドイツ語版のWikipediaに詳しく描かれているのを見つけました。

・敵の白目が見える距離で、スコップなど手に持つ武器で戦ったもの。
・大規模な攻撃、偵察隊、防衛、単一の伝令行為、敵の偵察隊(との遭遇?)などの場合。
・前哨基地、駐機場、前線、砲兵陣地、前線後方または病院列車や補給所のでの戦闘(例パルチザンとの戦闘、ただし1944年8月4日以降は除外)。

(ドイツ語→英語→日本語のGoggle翻訳なので多少怪しいです・・・)

この内容では、より近接戦に限定されている印象を持ちました。また歩兵突撃章では"回"なのが、白兵戦章では"日"が単位となり、一日に何度戦闘が行われても一回とカウントすることから、30日間が授章条件というのはかなり大変だったのでは無いかと思います。

こちらは白兵戦章 銀章の所有証明書です。


Besitzzeugnis (所有証明書)
(Dienstgrad)(階級)
Dem Feldwebel(軍曹)

(Vor-und Familienname)(氏名)
Emil Baranowski  (エーミール・バラノオスキー)

(Truppenteil)(所属部隊)
4. / Div.Fus.Btl (A.A.) 75
(第75軽歩兵大隊(偵察大隊)第4中隊)

Verleihe ich für tapfere Teilnahme
an 30 Nahkampftagen
(勇敢な30日間における近接戦闘参加に対し)

die II.Stufe der
Nahkampfspange.
(白兵戦章 銀章)

Abt.-Gef.-St., den 12.10.1944.
(1944年10月12日大隊司令部にて)

(Dienstgrad u. Dienststellung)(階級と職務)
Major u. Rgt.-Kdr.
(少佐 兼 連隊長)


第75軽歩兵大隊は1939年8月26日に創立した第75歩兵師団第175偵察大隊が前身で、1939年9月のポ-ランド侵攻、1940年5月のフランス侵攻ではマジノ線の戦いに参加します。1941年6月22日から始まったバルバロッサ作戦では南方軍集団の第6軍配下でキエフ、コルムを攻略。1943年7月のクルスクの戦い、1944年1月のコルスン・チェルカッシィ包囲戦、3月のカメネツ=ポドリスキー包囲戦に参加、1945年に上部シレジアに退却後、オストラウで解体されました。

CCCsilver27.jpg 

バラノフスキー軍曹が白兵戦章を授章したのが1944年10月、授章条件を満たした戦闘が3月のカメネツ=ポドリスキー包囲戦だと間が空きすぎなので、8,9月頃頃では無いかと考え、いつものLEXIKON DER WEHRMACHTで戦歴を師団記録で調べてみました。

CCCsilver30.jpg
8、9月は北ウクライナ軍集団の第1装甲軍に所属しており、位置はKarpaten(カルパティア山脈)となっています。

カルパティア山脈ですぐに思い出したのが「最強の狙撃手」です。ゼップ・アラーベルガーが所属する第3山岳師団がカルパティア前線で防戦する記述がありました。

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北方からカルパティア前線に加えられる圧力は日増しに強くなった。第三山岳師団の司令部は、完全に伸びきった前線区域をできるかぎり確保しようとつとめ、ルーマニアの同盟軍もこの奮戦にしっかりと組み込まれていた。ゼップが戻ってから数日後、ロシア軍の系統だった最初の攻撃が始まり、八月半ばには苛烈さを増すばかりだった。一九四四年八月一九日、隣接する第一三八山岳猟兵連隊におけるロシア軍の砲撃は激しさを増して移動弾幕弾射撃となり、続いて猛然たる総攻撃を加えてきた。
-「最強の狙撃手」より-

こちらもLEXIKON DER WEHRMACHTで調べると第3山岳師団は確かにカルパティア山脈の南東部に展開していたようです。

CCCsilver28.jpg
1944年7月22日-8月19日の前線地図。第3山岳師団が所属する南ウクライナ軍集団が山脈(緑)南部に位置しています。

第75歩兵師団に話を戻すと、ポーランドとの国境に近いリヴォフの北東ブロディ近辺で展開中にソ連軍の総攻撃「リヴォフ=サンドミール作戦」(1944年7月13日–8月29日)に巻き込まれます。

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「リヴォフ=サンドミール作戦」はバグラチオン作戦(1944年6月22日- 8月19日)に呼応したもので、目的はドイツ+ハンガリー混成部隊の北ウクライナ軍集団の殲滅とウクライナの解放、ヴィスワ川で橋頭堡を確保することでした。

ソ連軍の第1ウクライナ方面軍(将兵120万以上、戦車2,050両、火砲・迫撃砲約16,000門、航空機3,250機)の攻撃に、北ウクライナ軍集団は将兵90万、装甲車両900両、火砲6,300門で抗戦しますが、消耗が激しく、リヴォフ占領後は潰走が続きついに8月29日にはウクライナから完全に撤退します。

こちらは8月1日時点の第75装甲師団の作戦地図ですが、リヴォフの南部でソ連軍と対峙していることが分かります。
CCCsilver29.jpg
9月以降もソ連軍の攻撃は手は緩まず、第75歩兵師団はポーランドのクラカウ南部のベスキディまで退却を余儀なくされます。(バラノフスキー軍曹が白兵戦章 銀章を授章したのはベスキディにおいてと思われます)

最期に、前回の記事で一つ修正。前回紹介したこちらの白兵戦章ですが、実は銀章ではなく銅章のようです。

CCCsilver1-1.jpg

これは先のDurante氏でなく他のコレクターからの指摘で、どうやら銅メッキの剥げ落ちた銅章とのこと。確かに言われてみれば、そのように見えなくも無いかと。

さっそく手持ちの銅章(下)と並べてみました。ちなみに二つともFFL製ですが、製造した時期でデザインが違います。

CCCsilver16.jpg

確かに表側は同じような色落ち具合でどちらも銀章に見えますね。一方の裏側を見ると、オリジナルの状態が残っており留め金(矢印)が上と下で色が微妙に違います。上の留め金は銀、下の留め金は銅色っぽいような・・・まぁ、自分は勲章に関してド素人なので銅章という意見には納得しています。
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