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ヴィントヤッケ(Windjacke)

こんにちは、エーデルマンです。いやーそれにしても殺人的な暑さですね。東京ではコロナよりも熱中症で搬送される数の方が多く、命にかかわる重症者も出ています。外で活動される場合はぜひお気をつけ下さい。
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さて先日アップしたヴィントブルーゼに続いて、本日はヴィントヤッケ(Windjacke)を取り上げたいと思います。
ヴィントヤッケの起源は第一次大戦中の防寒着のようですが、第二次大戦のドイツ軍のヴィントヤッケとは違い前合わせは8つボタンが一列に並んでおり、フードが付いたタイプもあったようです。

第一次大戦後、登山やスキー用に民間で販売されたヴィントヤッケは前合わせのボタンがダブルで、こちらが原型となった可能性が高いです。

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1930年代のスキーウェアの広告。左下の服(Nr.2938)が同じ形です。(少し丈が短いですが)

なお、1920年代初頭にはナチス突撃隊での着用が非常に多く確認されています。初期の突撃隊はバイエルン州の義勇軍出身の隊員が多く、特にオーバーラント義勇軍においては登山帽とヴィントヤッケがトレードマークの一つでもあったようです。

Bundesarchiv_Bild_102-13374,_Neustadt,_Motorrad-Patrouille_der_SA

ヴィントブルーゼで説明した通り、ライヒスヴェーアで1925年頃から使用されていたようです。(こちらのサイトには実物の写真が掲載されています)

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なお資料本『Die deutsche Reichswehr』によると、当時のヴィントヤッケはグレーと白のリバーシブルになっており、グレー側はタグア椰子(独 Steinnuss)の黒ボタン、白側は白い角製ボタンが付いていたようです。(以上の情報や資料は、弊ブログの読者であるottoさんから頂きました。ありがとうございます!)


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それではヴィントヤッケの詳細を見て行きたいとおもいます。ドイツ軍が山岳部隊へ支給したヴィントヤッケはオリーブグリーンの帆布(キャンバス)製で、5つボタンのダブルです。

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襟元は野戦服と同じく、スチール製のホックで留められるようになっています。

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開襟にすることもできます。

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襟の裏です。襟を立てた状態で固定する為のフラップが付いており、釦で留められるようになっています。

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縦襟にしてボタンで留めれば首から体温が奪われるのを防げます。

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軍用なので野戦服と同様に着脱式の肩章となっています。このヴィントヤッケにはフェルト製の肩章が付いていますが、キャンバス製の肩章も非常にレアですが存在しています。

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こちらがキャンバス製の肩章。(ネットで拾った画像ですみません)ただし、このような肩章はラーヒスヘールの夏季モールスキン制服用として他兵科でも一般的に使用されることがあります。

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サイドポケット(ハンドウォーマー・ポケット)

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腰ポケットは容量たっぷりです。

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ウエストベルトをヴィントヤッケの上から締めることが一般的です。

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袖ににはボタンで絞れるようになっています。

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内装を見ると、リバーシブルでは無く一枚のキャンバス地で作られていることが分かります。なお、右側にはボタンホールが無いことから左前では着用できません。

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後ろ側は極めてシンプルで、腰に調整用のハーフベルトが付いています。

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胸囲が96cm、襟から肩の長さは39cm、首回り50cm、袖丈51cmであることが分かります。この写真では補給廠のスタンプは薄れて判読が難しいですが、肉眼では"M40"と見えなくもなく、ミュンヒェンに40年に納品されたと推測します。

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こちらはGew.33/40を支給された高地山岳猟兵(Hochgebirgsjäger)のゾルトブーフの支給装備欄ですが、ヴィントヤッケがリストに入っています。

このヴィントヤッケには写真のように右袖にエーデルヴァイス章の丸い縫い跡があるのですが、日焼け具合から戦時中には付いて無かったと思われます。
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当時の写真で見ると、エーデルヴァイス章が付いていない事が多く、このヴィントヤッケも戦後コレクターが付けられたものを、再度外した可能性が高いです。

キャンバス地に機械刺繍されたヴィントヤッケ専用のエーデルヴァイス章が希少ながら存在しています。下記の画像は前述のottoさんより拝借しましたので掲載させていただきます。
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このような専用品は汎用性が無い上に、エーデルヴァイス章はヴィントヤッケへの着用が必須で無かったこともあり、総生産数が極めて少なかったと思われます。
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こちらはフェルト生地に刺繍のエーデルヴァイス章ですが、ヴィントヤッケのキャンバス生地ごと切り取られています。

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当時の写真を見るとエーデルヴァイスのヴィントヤッケへの着用例は少ないです。


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M42ヴィントブルーゼ(Windbluse 42)

こんにちはエーデルマンです。長かった梅雨が明けて、やっと夏らしい気候になりましたね。Go toトラベルは無理でも、地元の健康ランドくらいには行きたいと思っています。

さて本日は山の日ということで、久しぶりの山岳猟兵(Gebirgsjäger)のアイテムをアップしたいと思います。
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こちらは、M42ヴィントブルーゼ(Windbluse 42)です。山岳猟兵に支給された野戦服の上に着るフード付きの防寒・防風着で、頭から被るプルオーバー形式です。素材は防水性のコットン・レーヨン製でグリーンブラウンと雪迷彩のリバーシブルになっています。

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イタリアで米軍に投降する山岳猟兵。機能的に優れたヴィントブルーゼは、現在でも登山やアウトドアで使用されています。

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ファッション業界では『アノラックパーカー』という名称で、ヤング(死語)の間ではタウンウェアとして絶大な人気があります。

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なお、こちらはヴィントヤッケ(Windjacke)です。ヴィントヤッケは戦前からある防寒着で、M42ヴィントブルーゼが支給されるまでは山岳猟兵のメインのアウターウェアでした。

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ネットで拾った1927年のライヒスヴェーアのスキー訓練風景。ヴィントヤッケを着た兵士が写っています。厚いキャンバス地の重いヴィントヤッケは、防寒性・防風性・迷彩性に優れたヴィントブルーゼに取って代わります。

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フードはドローコードで絞って風の侵入を防ぐことが出来ます。

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首元はレースアップで開口部の調整が可能、さらにボタン付きフラップで完全に覆うことが出来ます。

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大きな3つの胸ポケットが特徴で、ハーケンやカラビナなどの登山用具が収納できます。ポケットは上蓋付きで圧縮した紙製ボタンで留められており、両サイドのポケットにはプリーツが付いています。

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布のバンドで袖口を絞ることで風の侵入を防ぎます。フリクション付きのバックルはアルミ製。

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後ろから見たところ。腕・肩・フードは別パーツでなっています。腰にも蓋つきのポケットが2つ付いています。

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腰ポケットは容量が大きく、コミスブロートが丸ごと入りそうです。

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股下を通して裾を固定するストラップが付いています。

Bundesarchiv_Bild_101I-691-0244-11,_Russland,_Winter,_MG_42_in_Stellung 
MG42射手のヴィントブルーゼはストラップで固定されています。ストラップは風でまくられないようにする以外に、このように寝ころんだ時に裾がずり上がって雪や泥が内側に入らないようにする役目もありました。

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迷彩スモックやアノラック同様、裏返すと雪迷彩となります。便利な胸ポケットはこちら側にも取り付けられています。

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ヴィントブルーゼを着た山岳猟兵。この写真のようにドイツ軍の雪迷彩は、すぐに泥や煤で黒ずんで迷彩効果が薄れてしまいやすかったようです。

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後ろ側。見た目は裏側と同じですが、腰ポケットが袋式になっていることが分かります。

ちなみにM42ヴィントブルーゼにはファーストとセカンド・パターンの2種類があり、雪迷彩側が生成りのものがファースト・パターン、ゴム引きになっているものがセカンド・パターンとされています。

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こちらはセカンド・パターンの雪迷彩面です。(画像はネットで拾いました)ゴム引き加工は防水性に優れていますが、このように剥がれてしまうと防水以外に迷彩効果も薄れてしまいます。

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最期にフラップ部にあるスタンプ。"WIWEG"は工場名だと思いますが不明です。"I"はサイズで小となります。

ちなみにヴィントブルーゼはこのM42の他に、M38という種類が存在しているようです。M38には胸ポケットが2つあり、国家鷲章が右胸にあるのが特徴です。

Bundesarchiv_Bild_183-L27357,_Gebirgsjäger_im_Eisbunker
M38ヴィントブルーゼ姿の山岳猟兵。実物を探しているのですが、全然見つかりません(泣)


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脳内の99%をドイツ軍が占めている、そんなアラフィフ親父です。
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