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M40 オーバーコート (Übermantel 40)

 こんにちは、エーデルマンです。仕事柄、海外とコミュニケーションを取ることが多いのですが、最近よく聞かれるのが『オリンピックは開催するのか?』です。日本国民がビッグイベンドについてどう思っているのか非常に関心があるようです。個人的にはプロ野球のように感染対策をしっかりとやった上で開催しても良いかと思いますが、反対意見は結構多いようですね。

さて本日のネタはドイツ軍兵・下士官用のオーバーコート、M40マンテル(Übermantel 40)です。
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ドイツ軍のオーバーコートは以前、M36オーバーコートで紹介しましたが、こちらは襟の本体と同じフェルドグラウに変更したタイプとなります。寒冷時に野戦服の上に着用する防寒着として全ての兵・下士官へ支給されました。

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真ん中の乗馬ズボンを履いた兵士を挟んで、左側2人の兵士はM40オーバーコート、右側の兵士はM36オーバーコートを着用しています。写真が撮影された時期や場所は不明ですが、コートを着てない兵士もいることから1940年の秋頃でしょうか?
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M36オーバーコート(左)との比較。襟の色がフェルトグラウに変更されましたが、サイズや形はほぼ同じです。この変更は野戦服が1940年春にM40野戦服に変わったのと同時期に変更されたと思われます。

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なお、M36オーバーコートでは上記のような左前合わせ、右前合わせどちらもできたのですが、1939年12月1日付の規定で、左前身頃のボタンホールが廃止され左前合わせができなくなってしまいます。
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このように左前見頃にボタンホールがありません。(一番下のボタンホールは、裏地にあるボタンで留める為のものです)よって左前身頃のボタンは完全に飾りとなります。

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肩章のパイピングがレモンイエローなので通信課となります。第246中隊のストラップが付いています。

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こちらは後見頃の写真です。

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ウエストの幅を調整するベルト。二つのボタンでウエストを絞ることが出来ます。

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センターベントはボタンで割り丈を調整できるようになっています。

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裾の先端には、フックが付いていてサイドのループに引っ掛けることで裾をたくし上げることができます。なお、このフックは

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M36オーバーコートの記事の時にフィギュアで再現してみました。

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内装はコットン製で生地は腰までとなっており、防寒というよりウールの摩耗を防止することが目的と思われます。
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野戦服に付けたベルトフックを出すスリットがあります。なお、この服にはM36オーバーコートにあったウエストベルトを通すスリットがありません。

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サイズと被服廠のシュテンペル。

41〟 襟から肩の長さ 〝49〟 首回り
88〟 胸囲
117〟 着丈 〝61〟 袖丈
〝H40〟 ハノーファー 1940年製

M36オーバーコートの記事でも書きましたが、M36,40オーバーコートはロシアの厳冬期では不十分で凍傷や低体温症症にかかる兵士が多く発生しました。
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M40オーバーコートを着用してロシアで雪中行軍する第17装甲師団兵士。(1941年)

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この後、襟を大型化し胸部ポケットを追加したタイプが導入され、だいぶ防寒性は改善されますが、コートはどうしても機動性に欠ける為、より迷彩効果に優れたアノラックに置き換わっていきます。

(補足)MXXというのはドイツ軍の正式な名称ではありません。野戦服と同じく後世でコレクターが、分類の為に勝手に名付けただけで、ドイツ軍では全て『Übermantel』で、当時のドイツ兵にしてみれば、支給される年によって襟の色が違う、襟が大きい、ポケットが増えたくらいの感覚だったと思います。


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M38ヴィントブルーゼ(Windbluse 38)

こんにちは、エーデルマンです。ゴールデンウィーク終盤、いかがお過ごしでしょうか?今年は去年同様、巣ごもりされているのでしょうか?或いは政府に反旗を翻して観光地へ繰り出している方もいらっしゃるのかも知れません。私は近所の公園をブラブラしたり、瞑想にふけったりとのんびり過ごしております。

本日は山岳猟兵(Gebirgsjäger)に支給されたM38ヴィントブルーゼ(Windbluse 38)をアップします。

M38windbluse1.jpg
このヴィントブルーゼは長らく探していたアイテムで、偶然見つけた時は嬉しさのあまりツイッターで呟いてしまったほどです。
初めてM38ヴィントブルーゼの存在を知ったのは、左側に掲載した"雪洞で休息する山岳猟兵"の写真です。胸ポケットが2つであること、右胸に国家鷲章があることからM42ヴィントブルーゼとは違うのは一目瞭然でしたが、当初導入年や名称等は不明でした。


The German Mountain Army Soldier of WWII
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最終的にはお馴染み『The German Mountain Army Soldier of WWII』でM38ヴィントブルーゼについての情報を得ることができました。
M38windbluse11.jpg
92ページ目にはM38ヴィントブルーゼが掲載されています。ポケットの数が3つや胸章が無いことから、つい最近まで完全に別のタイプと思っていました。(英語の説明は面倒なので読まないタイプ)

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赤いラインのところには、1938年に山岳部隊専用として初めて導入されたアイテムでM42ヴィントブルーゼの先行モデルと紹介されています。

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こちらには3つポケットの他に“2つポケットのバリエーションも見られる”と書かれています。

さらに"当時の写真で見られるような胸や袖の国家鷲章は個人で縫い付けたもので規定通りではない"と説明書きがあり、雪洞の山岳猟兵が着ているM38ヴィントブルーゼは完全にイレギュラーだったことが判明しました。

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確かにこちらの写真のM38ヴィントブルーゼには国家鷲章が付いていません。ちなみに手袋は模様から個人所有のものでしょうか。

それでは、M38ヴィントブルーゼの細部を見て行きましょう。

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首元はレースアップで、襟とフードの開口部を調整できます。いくつかの鳩目で白いセルロイドのコーティングが外れているのが分かります。

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内部にはフラップがあり風雨の侵入を防ぐことができます。内側にはフラップを留めるボタンが一つあります。

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胸ポケットには波型の雨蓋にプリーツが付いています。

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胸ポケットの大きさは190mmx160mmで、スノーゴーグルが余裕で入りそうです。

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後ろ側です。ウエストを絞るドローコードが付いています。野戦服の上から着想する為、ゆったりした造りになっています。着丈は膝上までとなります。

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袖口は絞れるようになっています。

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袖口の調整はフリクション付きバックルで行います。

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M42ヴィントブルーゼ(右)との比較。こちら側から見た感じでは全く同じ造りです。
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こちら側から見ると、留め板の形状が微妙に違っています。
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こちらは裏返した状態です。M42ヴィントブルーゼと違ってリバーシブルではありません。

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M42と同様に、裾を固定するストラップが付いています。

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『A.R.3』(Artillerie-Regiments3)のシュテンペルが押されています。このシュテンペルは戦後にノルウェー軍によって押されたとされているものの確証はありません。

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フード内部に押されたシュテンペル。残念ながら判読不可能です。

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M38ヴィントブルーゼは1941年に生産終了となり、前述の通りM42ヴィントブルーゼに山岳猟兵のメインアウターの座を譲ります。


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エーデルマン

Author:エーデルマン
脳内の99%をドイツ軍が占めている、そんなアラフィフ親父です。
注)当時のドイツ軍の装備・生活用品に興味がありますが、特定の団体・思想を支持するものではありません。

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