fc2ブログ

工兵用工具ポーチ(Werkzeugtasche für Pionier)

シルバーウィークの最終日、皆様いかがお過ごしでしょうか?最初は子供向けの漫画ぐらいにしか思っていなかった『鬼滅の刃』ですが、いつの間にか独特の世界観に引き込まれてしまい、完全にファンになってしまったエーデルマンです。ジャンプに連載された漫画ですが、ドラ〇ン〇ールのように最強のボスキャラを倒しても、それを上回る敵が無限湧きしないところがイイですね。

さて、前回の記事で工兵シリーズは終了と書いたばかりですが、工兵の工具ポーチ(Werkzeugtasche)とその中身についてコンテンツ化してなかったのをすっかり忘れていました。

いや、忘れてたというのはウソです。工具ポーチがなかなか入手困難なアイテムで良いものに巡り合えず、ほぼ諦めかけていましたが、偶然オリジナルに近いコンディションのポーチが手に入ったので急遽コンテンツ化することにしました。

Toolpouch0-61.jpg

工具ポーチは、文字通り工具(Werkzeug)を収納する袋(Tasche)ということになります。
広義にはガンナーズポーチも工具ポーチですが、ここでは火工品を扱う工兵に支給されたポーチについて言及したいと思います。

火工品(かこうひん)とは、火薬または爆薬を利用して爆発反応の生起、伝達、その他の目的に適合するように加工した製品である。(中略)

火薬類取締法第二条では火工品の定義を以下のように定めている。

イ 工業雷管、電気雷管、銃用雷管及び信号雷管
ロ 実包及び空包
ハ 信管及び火管
ニ 導爆線、導火線及び電気導火線
ホ 信号焔管及び信号火せん
ヘ 煙火その他前二号に掲げる火薬又は爆薬を使用した火工品(経済産業省令で定めるものを除く。)
-Wikipedia「火工品」より-

専門用語が多くて分かりづらいですが簡単に言うと爆薬を起爆、点火させるのに使用するものということでしょうか。

Toolpouch3.jpg   
工兵爆薬で紹介した教本「H.Dv.316 Pionierdienst aller Waffen (All.Pi.D.) vom 11.2.1935」の28ページで『Werkzeugtasche für Sprengdienst(爆破工作用工具ポーチ)』がイラスト付きで紹介されています。

Toolpouch1-1.jpg
工具ポーチは縦20cmx横20cmの正方形のバッグでショルダーストラップでたすき掛けできるようになっています。このポーチは革製ですが、布製や人造皮革製も存在しています。

軍用っぽくない外観から戦後民間利用されたことは間違いなく、細いショルダーストラップに付け替えてハンドバッグに生まれ変わった工具ポーチも多かったでしょう。(ポーチ的には、ごつい工具より化粧品を入れてもらえる方が嬉しかったと思います)

Toolpouch17-1.jpg
奥行は約5cmです。この部分バックルやストラップも経年で千切れていることが多いです。

Toolpouch19-1.jpg

フラップの裏側には文字がプリントされています。

Toolpouch38.jpg
残念ながら私の所有するポーチの文字は薄れて判読困難なので、ネットで拾った画像を貼り付けます。収納物のリストのようですが、内容については改めて記述します。
Toolpouch7.jpg
こちらは"Große Tasche"本体内部です。中は革のシートで仕切られています。所定位置に収納することで紛失を防止できる一方で、シートの厚みで収納スペースは半減してしまっています。所定の工具以外を入れるには邪魔な存在な為か、これまで見たポーチの多くは仕切りが取り除かれていました。


Toolpouch18-1.jpg

裏側には仕切り革の縫い目が見えます。

Toolpouch9.jpg
"Kleine Tasche"、サイドポケット側のフラップはアルミ製の凸型金具で着脱できるようになっています。

Toolpouch6.jpg
このスペースに後述する絶縁テープや麻糸などを収納します。


Toolpouch22.jpg
ショルダーストラップには”Karl Busse Mainz 1940”とアムトの刻印があります。

ここからはポーチの中身である工具について。
前述の通りフラップの裏には収納リストが印刷されています。このように収納物がわざわざ印刷されているのは、入れ忘れや紛失が無いか点検する為と考えます。

Toollist.jpg

◆Große Tasche

・1 Gliedermaßstab, stählern, mit Federn, 1m lang (1 x 折尺、鉄製、バネ機構付、1m)

Toolpouch25-3.jpg

折り畳み式のスケールです。軍用を示す刻印は無く、Made in Germanyから輸出仕様かも知れません。

Toolpouch25-4.jpg
センチとインチ両方の目盛りがあります。

1 Handschere, 165mm lang(1 x 手バサミ、165mm)


Toolpouch26.jpg

手ハサミはケーブルや絶縁テープの切断に使用されました。SOLINGEN製で片刃が四角張っているのが特徴的です。
Toolpouch27-2.jpg

・1 Kabelklappmesser mit Drahtabzieher, 90mm Klingenig(被膜剥ぎ付き折り畳みナイフ、刃渡り90mm)


Toolpouch23-2.jpg

刃にケーブルの被膜剥ぎが出来るくぼみが付いた"電工ナイフ"です。刃が先細っていますが、削られてこうなったのか、元々このような形状なのか不明です。

・2 Spannschlüssel (2 x レンチ)

Toolpouch28-1.jpg
Toolpouch29.jpg

ドライバーや六角レンチ、爪がセットになったマルチツールで主にT.Mi. 35の信管の着脱に使用します。

・1 Drahtzange mit flachen Backen, 160mm lang(1 x 平ペンチ、160mm)

Toolpouch30.jpg

Toolpouch31-1.jpg
工具ポーチに標準で入っているのは上のフラットノーズ(flacken Backen)のタイプですが、下の電工ペンチも使われていたと思います。

・1 Würgezange(1 x 圧着ペンチ)

Toolpouch4-3.jpg

導火線(Zündschnur)に雷管(Sprengkapsel)を圧着する専用のペンチです。

Toolpouch10-4.jpg
通常は左の状態。雷管と導火線を入れてハンドルを握ると右のように先端が押し出て雷管を導火線に圧着します。

Toolpouch11.jpg
ハンドル部分には"gmm"とH42とWaAの刻印があります。“gmm”はEckardt & Lohkamp, Maschinen-u. Werkzeuge社製、“H42”は陸軍(Heer)に42年納品を表します。

・1 Zwickzange für Kupferhülsen, 160mm lang(銅スリーブ用圧着ペンチ、160mm)


Toolpouch15-1.jpg

配線どうしを繋ぐのに必要は端子やスリーブの圧着に使用するペンチです。
Toolpouch21.jpg
アムトWaA727を表すメーカーは複数社ありますが、製品的に現存する工具メーカー『Vereinigte Beckersche Werkzeugfabrik, Remscheid-Vieringhausen』が該当すると思われます。

◆Kleine Tasche

・1 Rolle Isolierband in Büchse(1 x 缶入り絶縁テープ)

vorwerk1.jpg

こちらは当時の絶縁テープ(Isolierband)の缶と中身。

・2 Rollen Leinengarn, dreifach(2 x 麻糸 3本撚り)

Toolpouch0-35.jpg

麻糸の使用目的は不明です。 
56130i-BW-Werkzeugsatz-Spre.jpg

こちらはネットで拾ったドイツ連邦軍(Bundeswehr)の工具セットの写真ですが、缶入り絶縁テープと麻糸、袋入りのスリーブが写っています。そのほかにも折尺、圧着ペンチ、電工ナイフが大戦中と共通です。

Toolpouch36.jpg
#男の子ってこういうのが好きなんでしょ
はい!工具、しかも爆破工作用って自分的にはドストライクですわ〜。


FC2 Blog Rankingに参加しています。

←ポチっと応援お願いします!

Profile

エーデルマン

Author:エーデルマン
脳内の99%をドイツ軍が占めている、そんなアラフィフ親父です。
注)当時のドイツ軍の装備・生活用品に興味がありますが、特定の団体・思想を支持するものではありません。

↓管理人へのMailはこちらからどうぞ↓

Category
検索フォーム
FC2 Counter
Comments
Archive
Links
エーデルマンの参考文献
Ss-brigadefuhrer Und Generalmajor Der Waffen-ss Theodor "Teddy" Wisch
Ss-brigadefuhrer Und Generalmajor Der Waffen-ss Theodor "Teddy" Wisch
個人秘蔵の未公開写真が満載でLSSAHファンは必読の書。著者は友人

第5SS装甲師団「ヴィーキング」写真集 大平原の海賊たちI

著者は日本有数のコレクター。ヴィーキング師団隊員の生き生きした表情が印象的

第5SS装甲師団「ヴィーキング」写真集 大平原の海賊たちII


SSの軍装―UNIFORMS OF THE SS 1938‐1945

SSの軍装のすべてがこの一冊に

WWII ドイツ軍兵器集 〈火器/軍装編〉 (1980年) ワイルドムック
WWII ドイツ軍兵器集 〈火器/軍装編〉 (1980年) ワイルドムック
長年教科書だった本。小宮氏の「ドイツ軍の全貌」の解説がすごい

最強の狙撃手
最強の狙撃手
ドイツ軍No.2スナイパーの回顧録。狙撃シーンもすごいが、当時の兵士の生活も垣間見れる一冊

第2次大戦ドイツ軍装ガイド
第2次大戦ドイツ軍装ガイド
鮮明な写真による軍装品説明はブログ写真撮影の参考にしています

ドイツ軍装備大図鑑: 制服・兵器から日用品まで
ドイツ軍装備大図鑑: 制服・兵器から日用品まで
軍装品のカタログとも言えるボリュームは圧巻。実は密かに打倒を狙っていたり・・・

第2次大戦ドイツの自動火器
第2次大戦ドイツの自動火器
実物のFG42実射レポートを読めるのはこの本だけ

“グロースドイッチュランド”師団写真史―東部戦線におけるGD機甲擲弾兵師団1942‐1944
“グロースドイッチュランド”師団写真史―東部戦線におけるGD機甲擲弾兵師団1942‐1944
ドイツ国防軍好きなら買って損はなし

図説ドイツ軍用銃パーフェクトバイブル (歴史群像シリーズ Modern Warfare MW)
図説ドイツ軍用銃パーフェクトバイブル (歴史群像シリーズ Modern Warfare MW)
ドイツの軍用銃の専門書でビジュアル的に見ていて楽しい

ドイツの小銃拳銃機関銃―歩兵兵器の徹底研究 (光人社NF文庫)
ドイツの小銃拳銃機関銃―歩兵兵器の徹底研究 (光人社NF文庫)
ドイツ軍用銃のバイブル的な書。ドイツ軍スナイパートップ3への一問一答が興味深い

Feldbluse: The German Soldier's Field Tunic, 1933-45
Feldbluse: The German Soldier's Field Tunic, 1933-45
M33からM44までドイツ陸軍の野戦服を網羅。特にM36以前の野戦服は必見

Rations of the German Wehrmacht in World War II
Rations of the German Wehrmacht in World War II
とにかく当時のドイツ兵が食べていた糧食にこだわった一冊

武器と爆薬―悪夢のメカニズム図解
武器と爆薬―悪夢のメカニズム図解
迫撃砲はどうやって砲弾を飛ばすのか?小銃擲弾は?ほかにも大砲や爆弾のしくみを源文マンガでわかりやすく解説

グラフィックアクション GRAPHIC ACTION 1993年 No.17
グラフィックアクション GRAPHIC ACTION 1993年 No.17
このシリーズは市場で見つけたら買うべし

ドイツ武装親衛隊軍装ガイド (ミリタリー・ユニフォーム)
ドイツ武装親衛隊軍装ガイド (ミリタリー・ユニフォーム)
WSS専門だけど全部実物!

鼠たちの戦争〈上〉 (新潮文庫)
鼠たちの戦争〈上〉 (新潮文庫)
映画「スターリングラード」の原作本的な内容だが100倍面白い

鼠たちの戦争〈下〉 (新潮文庫)
鼠たちの戦争〈下〉 (新潮文庫)


スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943 (朝日文庫)
スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943 (朝日文庫)
塹壕から故郷へ送った兵士の手紙が興味深い「クリスマスはドイツ風に」の章は涙なくしては読めません

ケルベロス 鋼鉄の猟犬 (幻冬舎文庫)
ケルベロス 鋼鉄の猟犬 (幻冬舎文庫)
ヒトラーが暗殺された後の撤退戦を描いた架空小説。小道具にこだわるところがマニアっぽい

泥まみれの虎―宮崎駿の妄想ノート (大日本絵画)

ナルヴァ戦線で活躍したオットー・カリウスの自伝を宮崎駿監督が漫画化。「ティーガー薬局」を営むカリウスを訪問しインタビューという企画が素晴らしい

Flag Counter