双眼鏡 (Doppelfernrohr) Part1

今日のドイツ兵の持ち物は、双眼鏡(Doppelfernrohr)です。Doppel=二重の、Fernrohr=眼鏡ということで双眼鏡という意味になります。
下の写真は、ドイツ軍で使われた最も一般的な6倍率の双眼鏡で、Dienstglas 6x30というタイプです。コンパクトサイズながらとても明るく十分な視界を得ることができます。
P1017724_20120116114933.jpg
                                                           P1017723_20120116114820.jpg
革製の接眼レンズカバーとタブ付きです。このタブを野戦服のボタンに留めることで体に密着させることができるのですが、取り外しが面倒なのか戦場写真ではボタン留めしてる写真を見たことがありません。

P1017930.jpg
このように第三ボタンにとめます。

ドイツは伝統的に光学技術に優れており、カール・ツァイスを始めとする光学機器メーカーが統一仕様の双眼鏡を軍に納品していました。そんなドイツでもやはり双眼鏡は高価な軍装品の為、下士官や偵察や歩哨、狙撃など特別な任務に就く兵士に支給されるものでした。(双眼鏡は勲章とは別に一種のステイタスシンボルだったのではないでしょうか)

scan0012_20_28430_20x_20626_29.jpg

stosstruppf__hrer.jpg

PPSh-41Early.jpg
双眼鏡を持てるのは襟にトレッセ(飾りレース)が付いた軍曹以上限定かというと、必ずしもそうでは無く、しばしば若い兵士が持ってたりするので興味深いです。

P1017727.jpg
右側対物レンズの上部です。1段目には通常“Dienstglas”という官給品眼鏡を意味する刻印があるのですが、この固体はそれが有りません。恐らく戦後に民間に転用された際に削り取られたのでしょう。2段目には“6x30”(6は倍率、30は対物レンズの口径でこの数字が大きいほど明るくなります)3段目はシリアルナンバー、4段目の“H/6400”はレンジファインダー(距離計目盛り)があることを表しています。

P1017726.jpg
左側は通常メーカーコードが刻印されており、写真の“ddx”(Voigtlander & Sohne A-G製)以外に“blc”(Carl Zeiss)や“cag” (D. Swarovsk)などが多く見られます。その横の“○”はグリース記号で1942年8月に採用された寒冷用グリースを表します。この他に“K.F.”(1940年5月~1942年7月)、“+”(1942年11月~43年後半)、“△”(1943年後半以降)などがあるようです。この二つの刻印は狙撃用の照準望遠鏡(Zielfernrohr)と共通しています。

下記はレンジファインダーがどんな感じに見えているかのイメージです。本当は実物を写真に取りたかったのですが、難しいので写真を加工して作りました。

sea.jpg  
0、10、20、30、40と目盛りがあります。ドイツ軍が使用した地図のスケールと同じに合わせているらしいのですが詳細は不明です。

Binos 002
このような専用のベークライト製ケースが用意されておりました。残念ながらケースは未入手です。これ、戦場では邪魔だったでしょうね。捨てられたりしたのが多かったのでは?

以上双眼鏡に関していろいろ書きましたが、正直言って私は光学機器には疎く当初ドイツ軍で最も使われた双眼鏡が6倍と知った時は昔のことだから仕方ないな・・・なんて思ったものです。今やホームセンターでも10倍、20倍、ズーム機能付き双眼鏡が数千円で買える時代ですからね。
しかし、双眼鏡について書かれたサイトを見ているうちにその考えは間違いであることに気づきました。倍率が上がれば確かに遠いものが見えますが、相対的に視野が暗く、狭くなりますし、ちょっとの手のぶれで対象物が視界から消えてしまうことだってあります。上記を鑑みると歩兵が携帯する上で、大きさ的にも6倍がちょうど良いのだということを実感しました。

これを入手してからというもの、ベランダから風景を眺めること(偵察?)が休日の楽しみに加わりました。(変質者に間違われないように気をつけないとねほっとした顔
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この記事へのコメント

- 名無し - 2013年08月22日 21:49:31

ネットで拾った写真の双眼鏡から何かが垂れていて気になっていましたが、野戦服に留める為のタブだったんですね。

Re: タイトルなし - エーデルマン - 2013年08月25日 03:53:04

名無しさん

コメントありがとうございます。
このタブ便利ですね。でも実物タブが付いた双眼鏡ってなかなか見かけないんです。
革製なので消耗しちゃったんでしょうかね~。

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