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M34/35野戦服 (Feldbluse 34/35)

ライヒスヴェーア末期の1933年4月1日に4つポケットの野戦服が採用されてから、1945年の第三帝国崩壊までドイツ軍はその時々の国家経済や戦況に合わせ野戦服のデザインや素材を変更していきます。その中でも初期モデルでありながら、すでに完成の域に達したと言えるのがM36野戦服です。当然、この形に至るまで様々な試行錯誤がありました。

なお分類上、野戦服をM(Model)+年としていますが、ドイツ軍においての正式な呼称ではありません。

M35tunic1.jpg M35tunic18.jpg
本日紹介するのはM36野戦服の前身ともいえるM35野戦服です。青味の強いフィールドグレーのフェルト生地に、ダークグリーンの襟はまさに大戦初期のドイツ兵のイメージです。

M35tunic46.jpg
冒頭で述べた通り、M35野戦服の以前には、33年製(M33)、34年製(M34)と2種類のバリエーションが存在しています。

M35tunic38.jpg  M35tunic41.jpg
左記は、海外の専門書「FELDULSE」に掲載されている写真です。左がM33野戦服、右がM34野戦服です。1933年4月1日にM33野戦服が導入されました。
翌年1934年6月11日に内蔵サスペンダーが導入され、それに対応する為、同年11月1日にM34野戦服が採用となります。そして翌月12月10日には襟が薄緑色に変更されました。

よって両者を見分けるポイントは襟の色とベルトフック金具用ホールの有無です。M33野戦服は襟と本体が同じフィールドグレイ色で、M40野戦服と非常によく似ています。一方M34野戦服は薄い緑色でよく見ると本体と違うことが分かります。



Feldbluse: The German Soldier's Field Tunic, 1933-45Feldbluse: The German Soldier's Field Tunic, 1933-45
(2007/10/30)
Laurent Huart、Jean-philippe Borg 他

商品詳細を見る
「FELDBLUSE」はドイツ陸軍の野戦服の専門書で、現存する野戦服や当時の写真をふんだんに用い、野戦服の変遷を系統だてて説明しています。またM36以前の実物野戦服も多く掲載されており、しかもそのほとんどが新品に近い状態という驚くべき内容です。一家に一冊、持っておいて損は無いお奨めの資料本です。

M35tunic32.jpg
一年毎という頻繁な変更のせいか戦前の写真では野戦服の混在がしばしば見られます。
この写真でも後列の兵士はM33野戦服、前列右側の兵士はM34野戦服を着ています。Thüringer Waldと手書き文字があるので、チューリンゲンの森で行われた演習後の記念撮影でしょうか?後列真ん中の兵士がベルトに花束を挟んでいるのが興味深いです。
なお前列の兵士が被っている略帽は1935年に仕様が変更される前のM34略帽かと思われます。

1935年9月10日、陸軍規定規程35年第505号(H.V.35,Nr.505)により襟章の真ん中の線(リッツェン・シュピーゲル)がダークグリーンに変更されます。襟章に合わせるように襟の色もダークグリーンとなり、M35野戦服とそれ以前の野戦服とは襟の色で明確に区別できるようになります。
M35tunic27.jpg
こちらの写真ではM34野戦服(左)とM35野戦服(右)の襟の色の違いがはっきりと分かります。M35野戦服には1935年9月10日に導入された新型の襟章が付いています。

続いてM35野戦服とM36野戦服の内装の比較です。

【M35野戦服】
M35tunic3.jpg

【M36野戦服】
suspender4.jpg

M36野戦服と比べると、必要最低限の部分しかライナー(裏地)がないことが分かります。ライナーを減らすことでコットンの節約になったかも知れませんが、縫製にかえって工数がかかってしまっている気がします。

そして、このコットン製ライナーの縫い目がM35以前の野戦服を表側から判断する材料になっています。

M35tunic20.jpg

ライナーの縫い目が表側でどのように見えているか、裏表の写真を並べてみました。

M35tunic ura1   M35tunic omote1
内蔵サスペンダーを通すライナーとその縫い目

M35tunic ura2   M35tunic omote5
背中とベルトフック金具用のホールのライナーとその縫い目

M35tunic ura3  M35tunic omote7
包帯用ポケットと腰ポケットのライナーとその縫い目。なおM35野戦服の包帯用のポケットにはボタンが付いておりません。ボタンが付くようになったのは1937年8月19日以降のようです。また腰ポケットのライナー部分にウエストを絞るドローコードが付いている服もあります。このドローコードは1936年3月31日に廃止されました。

こちらは当時のカラー写真ですが、何度も洗濯された為か縫い糸が漂白されて縫い目が分かるようになっています。
Heer soldier3
襟の色はM33野戦服のようですが、ベルトフック金具用のホールがあるのでM34野戦服なのかも知れません。しかし、これほど縫い目がはっきり見えている写真は珍しいです。

M35tunic37.jpg
 メーカー、サイズ、製造年のスタンプです。

判読不可能 Stuttgart
43〟 襟から肩の長さ 〝45〟 首回り
102〟 胸囲
71〟 着丈 〝62〟 袖丈
M35〟 ミュンヘン補給廠 1935年製



さて、これまでこの野戦服を襟の色からM35野戦服としてきましたが、実際本当にそうなのか?という疑問があります。
というのもドイツ軍では野戦服の襟を見栄え上、ダークグリーンに変更することはよくあることであり、色からモデルを特定することができないからです。
スタンプの年号はタイプを判断する有効な手段となり得ますが、M35野戦服の場合“35”の製造年スタンプが押されていても1935年9月以前・以降でモデルが分かれてしまいます。なにわともあれ、改造されたか否か襟を見てみましょう。

M35tunic11.jpg
まずは表側から。襟章は1940年5月9日に採用となったマウスグレー共通兵科色で台布が付いたタイプです。もしクレタ従軍カフタイトルで紹介したRichter  Friedrich氏の野戦服であれば1943年10月1日付けでOberjäger(上級猟兵)に昇格した際、トレッセの縫い付けに合わせて台布付き新型襟章に付け替えた可能性があります。
M35tunic36.jpg
こちらは襟の裏側です。ダークグリーンのフェルト布を手縫いで貼り付けたように見えます。一方で襟自体は付け替えられた形跡がありません。その他、現在付いている襟章の縫い目の内側に台布無しの襟章を縫い付けた痕が見えます。
フェルト布の手縫い、台布無しの襟章の縫い痕から、この野戦服は元々はM34野戦服で所有者が襟を“今風”のダークグリーンに改造し、下士官昇格時に襟章を台布付きの共通兵科タイプに付け替えたと考えることができます。

M35tunic48.jpg
なお、襟には通常3つあるクラーゲンビンデ用のボタンがありません。この野戦服は程度から考えて、おそらく外出着として使用されたのでしょう。外出着ではクラーゲンビンデは不要として、襟の改造時にボタンが取り外されたままになったと思われます。

M35tunic42.jpg
右胸の国家鷲章です。本来M34野戦服には1934年2月17日に採用された初期型国家鷲章(上記写真のM33、M34野戦服に付いているタイプ)が付いているはずですが、将校勤務服、礼服によく見られるシルバータイプの国家鷲章に変更されています。国家鷲章の付け替えも見た目を気にする外出着にはよくあることです。

M35tunic52.jpg  
山岳猟兵のエーデルヴァイス部隊章です。1939年5月2日に制帽用記章と共に制定されました。(H.V.39B, Nr. 196)
もともとエーデルヴァイスは1907年、オーストリア=ハンガリー帝国国土防衛隊のシンボルとして、皇帝フランツ・ヨーゼフI世により制定されたようです。(Wikipediaより)
今になって知ったのですが、エーデルヴァイスはedel(高貴な、気高い)と weiß(白)の組み合わせだったんですね。ぜんぜん知りませんでした。

余談ですが、BOBの第3話「カランタン」でドイツ軍の降下猟兵がこの花(本物)を胸に付けているのを見た空挺部隊の米兵が「戦士の証だ」と語るセリフがあります。高い場所にある花を取ってくるという勇敢な行為=降下猟兵に引っ掛けているわけですね。


そういえば、このブログの管理人の名前もエーデルマン・・・・はい、完全に名前負けしてます。。。
M35tunic50.jpg  M35tunic54.jpg
肩章は1938年11月26日に採用された先端が丸くなったタイプで、山岳猟兵の兵科色であるライトグリーンのパイピングとなっています。

M35tunic14_20120611001112.jpg
左胸のポケットには勲章を佩用する為のループが二つあります。通常真ん中に一級鉄十字章、向かって左側に歩兵突撃章を佩用することになっています。

クレタ従軍カフタイトルについては前回の日記で触れているので説明は不要ですね。

krete_CT5.jpg

以上でM34/35野戦服の紹介を終わります。

この趣味のブログを始めて1年9ヶ月、おかげ様で今回で100回目の更新となりました。
正直100回も続くとは思ってもみませんでした。タイトルの通り完全に泥沼状態です。(最近はコレクションよりブログの更新地獄・・・)この泥沼があとどれ位続くか分かりませんが、焦らず一歩一歩、漕ぐように進んでいきたいと思います。今後も応援よろしくお願いします。

なお、来週からしばらく外出・出張が続くため、更新が少し遅れるかも知れません。
次回はいよいよあの中身に挑戦してみますか?
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この記事へのコメント

- langenasen D - 2015年12月09日 21:09:44

ちょくちょく拝見させていただいております。
今回書き込みに及びましたのは、記事中の余談

>ドイツ軍の降下猟兵がこの花(本物)を胸に付けているのを見た空挺部隊の米兵が「戦士の証だ」と語る(後略)

「降下猟兵」でOKですか? BOB(バンドオブブラザーズですよね?空軍大戦略ではなく)の中で考証ミスがあったのでしょうか?(当該部分直上にエーデルワイス章の説明あるので)

話は変わりますが、最近更新がなくお体の調子がすぐれないのか と心配しております。
異国の地にての生活 ご苦労が多いと思いますが お元気でお過ごしください。

Re: タイトルなし - エーデルマン - 2015年12月23日 00:51:36

langenasen D 様

安心して下さい、生きてますよ!
なかなかコメント返しが出来なくてすみません。
最近、仕事や生活環境の変化でバタバタしており、すっかりとドイツ軍からご無沙汰しております。
少し落ち着いたらまたぼちぼち再開したいと思います。

>「降下猟兵」でOKですか? BOB(バンドオブブラザーズですよね?空軍大戦略ではなく)の中で考証ミスがあったのでしょうか?(当該部分直上にエーデルワイス章の説明あるので)

下記によると第6降下猟兵連隊がカランタン守備隊に編成されていたという記録はありますので、考証は間違っていないと思います。
http://www.lexikon-der-wehrmacht.de/Gliederungen/Fallschirmjagerregimenter/FJR6.htm
https://en.wikipedia.org/wiki/Battle_of_Carentan

バンドオブブラザーズ、久しぶりに見ようと思ったらDVDが見当たりません・・(泣)

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脳内の99%をドイツ軍が占めている、そんなアラフィフ親父です。
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