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野戦服のポケットの中身 Part2

皆様こんにちは。前週に引き続き「野戦服のポケットの中身 Part2」ということで残りのアイテムを紹介したいと思います。その前にちょっとだけ、ドイツ軍野戦服のポケット(腰ポケット)の構造について。

  pocket.jpg pocket6.jpg
ドイツ軍の野戦服のポケットは立体的な構造になっており、上の写真のようにポケットのフロントとサイドにある蛇腹式のプリーツ(ヒダ)により、嵩張るモノも入れることができます。

左側はM36野戦服、右側はM34/35野戦服の腰ポケットです。
pocket7.jpg  
右側のポケットを見るとサイドにプリーツがあるのが判ります。一方左側にはサイドプリーツがありません。この野戦服は外出着によく見られる着丈を詰める改造が施されており、ポケットを一度外して付け直す過程でプリーツが失われてしまったものと思われます。スマートになった反面、容量は減少しますが、外出着は見た目重視、実用は二の次と考えられていたことがよく判ります。

なお、M41野戦服以降は工数削減の為、袋状のポケットを貼り付けた構造になります。
pocket8.jpg
左側はM36野戦服、右側はM41野戦服のポケットです。

さて、それではポケットの中身に移りたいと思います。まずは下の写真をご覧ください
下記は「FELDBLUSE Ther German soldier's feld tunic 1933-1945」から拝借した写真ですが、ノルマンディで連合軍が捕虜にしたドイツ兵のポケットから出てきたアイテムを撮影したものです。

Pocket contents
アイテムが重複していることから、複数のドイツ兵から集められたものと思われます。
前回の記事で紹介した手帳やホイッスル、皮膚洗浄剤や万年筆、裁縫道具などが写っています。捕虜の中には衛生兵もいたようで、医療器具や薬瓶なども見られます。変わったところでは卵型の木型(靴下の修理用)やガーターベルト(彼女からのプレゼントで幸運のお守り?)などのアイテムもあります。


◆ポケットナイフ(Taschenmesser

knife1.jpg

knife2.jpg
上の写真でも複数種類写っているのがこのポケットナイフです。普段の生活に欠かせないナイフはいざという時には武器にもなりました。上の2つのナイフは一般的なタイプで酒保で購入することができました。市販のナイフを購入して所持する場合もありドイツ兵ごとに種類があったと言っても過言ではありません。


◆ 折りたたみ式スプーン・フォーク(Essbesteck)

spoone.jpg
 spoon.jpg

スプーンとフォークがセットになったもの。カトラリー(テーブル食器)は以前雑嚢の中身として紹介しましたが、野戦服のポケットにも入れられていたようです。(写真にも同型のものが写っています)


◆ 缶切り(Dosenöffner)

canopener1.jpg
こちらも雑嚢の中身アイテムですが、この缶切りはポケットに一つ忍ばせておけるくらいのコンパクトさです。


◆ ハンドタオル(Handtuch)

seife2.jpg 3_20121021032516.jpg

紙製タオルです。タオルは折り曲げられており、広げるとヨコ32cmタテ23cmです。このタオルはパリに3箇所あった「Soldatenheim 」(慰安所)で配られたもので写真には写っていませんが側面に住所が印刷されています。また当時の標語「Vorsicht bei Gesprächen. Feind hört mit!」(言動に注意!敵が聞いている)が赤い文字で印刷されています。
その他、ハンカチやちり紙なども入っていました。

◆ ハンカチ(Taschentücher)


  handkerchief.jpg

上記は陸軍の兵士に支給されたハンカチです。Soldbuch(兵隊手帳)にも項目があり、通常2枚支給されていました。

handkerchief2.jpg
このハンカチにはRBナンバーのスタンプが押されています。


◆ 野戦糧食(Verpflegung)


cigalliro1.jpgKB4.jpg


  schokakola10.jpg        


野戦糧食は以前の日記で取り上げました。これこそ雑嚢の中身ですが、戦闘中にすぐ取り出して食べられるような行動食を兵士はポケットに入れていました。


◆ 煙草(Tobacco)

tabaco1_20121021042037.jpg

食後の一服のお楽しみ、煙草です。戦場において緊張や恐怖感を和らげるのにも効果がありました。レーションの中身として巻き煙草が兵士に配られた他、煙草紙(Zigarette-Papier)による手巻き煙草も一般的でした。
“Efka”のパッケージには"Allerfeinstes Zigaretten Papier"(他にはない最高級の煙草紙)と書かれています。


pipe1.jpg
パイプ(Pfeife)も当時のドイツ軍ではポピュラーな喫煙スタイルです。こちらはウッドパイプで吸い口はベークライト製になっています。(フランスの老舗パイプメーカー「Bruyere」製)


◆ ライター&マッチ(Feuerzeug und Zündholzschachtel)

lighter.jpg  
match1.jpg

オイルライターは2つとも長さ5.8cmでアルミ製です。ライター、マッチともに煙草に火を付ける以外に、焚き火やストーブ、ランプの点火に使用します。マッチ専用のベークライト製の防水ケースもあります。(下記追加)

◆ マッチコンテナー(Streichholz Behälter)

match container1 match container2
  match container3

防水仕様になっており、マッチを水気から守ります。また中には濡れても大丈夫な防水マッチが入っています。

◆ 洗面用具(Toiletten Artikel)


comb1.jpg

こちらは標準的なアルミ製の櫛(Kamm)です。身だしなみを大切にするドイツ兵にとって必需品だったらしく、持っていない兵士には部隊が給料天引きで支給したそうです。(ハルトマンさん、情報ありがとうございます)


grooming.jpg

本来、鏡と髭剃り道具は背嚢の中身ですが、上の写真に写っているので加えました。


◆ シュカート(Skat)
skat6_20111217154243.jpg

カードゲームはどの国にも共通する兵士の余暇の過ごし方です。ドイツ軍兵士の間ではシュカートが人気で兵営内や移動中の車両、そして前線でも空き時間を見つけてはゲームに興じました。


◆ 軍務用眼鏡(Dienst-Brille)

dienstbrille4.jpg  
軍務用眼鏡は基本的に顔にかけ、ポケットにはケースのみ入れていたと思います。


◆ 財布(Brieftasche)

wallet5.jpg  
財布は酒保や駐屯地での買い物に必要な小銭入れとして以外に恋人や家族の写真を入れておく場所でもありました。


◆ 略帽(Feldmutze)


M34cap3.jpg

略帽は野戦服のポケットに入れて持ち運ぶこととされていました。なお写真でよく見かけるウエストベルトに挟むのは正規の方法ではありません。ちなみに映画「Cross of Iron」で兵士が肩章の間に挟んでいましたが、試してみたところ幅が狭すぎて略帽が入らず・・・


◆ 防寒具

winter1.jpg  
手袋、マフラー、トークです。野戦服というよりもコートのポケットの中身なのかも知れませんが。

他にもポケットに入りそうなものはまだまだありますが、際限が無いのでこのあたりで締めたいと思います。
まとまりの無い内容でしたが、2週に渡ってお付き合いありがとうございました。

Pocket contents1


・・・おっと、重要なものを忘れるところでした。

◆ 包帯(Verbandpäckchen)
bandage.jpg

野戦服には包帯専用のポケットが用意されています。

pocket9.jpg  

こちらのポケットは中身が明確すぎる為、敢えてアップするまでも無かったのかも知れませんが。

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この記事へのコメント

クシについて - ハルトマン - 2012年10月22日 09:37:18

 Der Erste Zugの記事曰く、もっとも一般的だったのはベークライト製の、ラードケースのようなオレンジ色のものだったそうです。ほかには白、野戦電話のような色の茶色、黒があったそうで、タンのものもあったそうですが、あちらの筆者は未確認だとか。
 各々に完全に支給されていた件ですが、これは1983年6月21日付でフライブルクのある会社に問い合わせたところ、返信として当時の資料からこのような内容が来たのだとか。

 たかがクシひとつと言うと語弊がありますが、奥が深いです・・・。

- 鍛冶屋 - 2012年10月22日 23:26:31

薬瓶の横には止血用鉗子が・・・^^;)。
オピネルはフランス土産?。

Re: クシについて - エーデルマン - 2012年10月22日 23:45:42

>ハルトマンさん
櫛にもいろいろなタイプがありましたが、一般的なのはアルミ製ではなくベークライト製だったんですね。
(アルミは戦前のみだったのでしょうか)
Der Erste Zugはかなり踏み込んだ調査で非常に参考になりますね。
これからもハルトマンさんの翻訳を楽しみにしています。

Re: タイトルなし - エーデルマン - 2012年10月22日 23:50:47

>鍛冶屋さん
これらは普通の兵士が持つアイテムではないので、衛生兵の持ち物と考えるべきでしょうか。
ノルマンディで捕虜になった兵の所有物なので、オピネルを所持していても不自然ではないですね。

- Sfc.Nakanishi - 2012年10月25日 10:39:16

鉗子は衛生下士官以上の所持になると思われます。

Re: タイトルなし - エーデルマン - 2012年10月25日 20:41:19

>Sfc.Nakanishiさん
そうだったんですね。ありがとうございます。
そういえば「プライベート・ライアン」の冒頭のオマハのシーンで、ウエイドの隣の衛生兵が止血鉗子を使ってましたね。(ウエイドはTechnician 4th Classなので持てる?)

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