個人用携帯ストーブ (Esbit Kocher) Part3

若い頃は週末や連休はよく山登りに出かけていました。当時、シティボーイ系(懐かしいフレーズですね)の友人からは、わざわざ重いザックを担いで苦労して登って、又降りるなんて何が面白いのか、エネルギーの無駄だとまで言われました。しかしハーハー言いながら長い時間かけて登り、頂上に立ったときの爽快感は登った人にしか分からず、山を降りたらすぐに次の山行の計画を立てたものです。

esbit-20.jpg
山岳猟兵、ではなく若い頃の私。この頃はなかなかいいガタイをしてますね。(今は見る影もありませんけど・・・)

しかし山は楽しいことばかりではありません。道に迷って遭難しかけたこともありましたし、突然の雷雨に襲われて一歩も動けずビバークしたこともあります。山の天候は変わりやすく、3000メートル級の山はもちろん、夏の低山でも遭難して凍死なんて事故は珍しくありません。

esbito-20.jpg  
そういったアクシデントに備え、エスビットはザックのポケットに必ず忍ばせていました。軽くて携帯しやすいエスビットは日帰りの山登りでも欠かせないアイテムでした。

さてそのエスビットですが、今回は本体及び固形燃料パッケージのバリエーションをいくつか紹介したいと思います。

esbito-1-1.jpg
左から順に旧→新となっています。左のタイプはコレクターの間では初期モデルまたは戦前モデル(Pre-War model)と呼ばれており、現在アルミ製とスチール製の2種類の存在が確認されています。
真ん中はこれまでも紹介してきたモデルで、大戦中、主に使用されたのはこのタイプです。
右のエスビットは後期モデルで、ゴトクとして使う場合に底に接触する部分が凸凹になっています。

さて、それでは初期モデルから見ていきましょう。

esbito-23.jpg  
表面にはエスビットのブランドとメーカー名(Hersteller)とERICH SCHUM社名、工場のあったStuttgartのUntertürkheimの刻印があります。


 Stuttgart-Untertuerkheim-1906.jpg
1906年のStuttgart Untertürkheimの風景


esbito-19.jpg  
初期モデルが他のモデルと決定的に違うのは、カバーやベースがパーツになっていて完全に分解できるところです。
しかしながら、固形燃料のパッケージを収納できる点は同じです。

esbito-24.jpg
裏面(かどうか分かりませんが)には組み立て方の説明とイラストが記されています。

esbito-5-2.jpg
イラストどおり組み立ててみました。カバーがゴトク兼風防になる点は以降のモデルと一緒です。


  esbito-7.jpg
こちらは本体内に収納されていたパッケージの裏に書かれたイラストです。kochengeräte und Brennstoff zum Erwärmen von Speisen, Getränken, Konservendosen, (料理や飲み物、缶詰の温めにエスビット調理器具と固形燃料)、Rasier-und Mundwasser usw.(髭剃りや歯磨きなどなど)

pzvrpfl.jpg
上記は当時の絵葉書ですが、手前にこのモデルが写っています。

真ん中のモデルは既に何度か紹介しているので端折りたいと思います。詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。


esbito-22.jpg こちらは後期モデル。カバー境目が直線から凸凹になったのは現在のエスビットに通じるデザインです。


esbito-10.jpg
実はこのモデル、大戦中に作られたとする意見と、いや、戦後だという意見に分かれています。「大戦中」の根拠は、「Made in Germany」(戦後だと「Made in W-Germany」のはず)と「D.R.P(ドイツ帝国特許)」(戦後は使われなくなった)の二つの刻印となっています。
その一方で「戦後」と主張する理由は、そもそも戦争の真っ只中に輸出用に作ること自体が有り得ない、戦後の混乱と物不足により戦前の機械を使った・・・などがあります。

さて「エスビット」とは本体のみでなく、固形燃料も指す名称でもあります。この箱にもバリエーションがあります。

 esbito-11-12.jpg  
左上からZの字に旧→新となります。エスビットのロゴ、炎のイラストにも微妙な違いがありますね。


esbito-12-12.jpg  
こちらは裏面のデザインです。一番新しいタイプは固形燃料が擬人化されているところが興味深いです。


esbit17.jpg

esbito-26.jpg

上記は下段二つのパッケージの側面には、兵士のイラストが描かれています。(これも“大戦中に作られた”の根拠となっています)


esbito-16.jpg
こちらのパッケージには固形燃料が袋に入った状態で残っていました。4分割になるブロックが6個入っています。4x6で24タブレット・・・あれ?パッケージに20タブレットと書いてあるのは何故??

なおネットでエスビットを調べていたら、大戦中のパッケージをスキャナーで取り込んだものを見つけました。
これを厚紙に実物大にカラープリントして箱を作れば雰囲気はばっちりです。

高解像度バージョンをダウンロードできるリンク先を張っておきます。
http://www.panzergrenadier.net/forum/viewtopic.php?f=82&t=17355

esbito-27.jpg esbito-28.jpg

エスビット、個人的には大好きでついつい集めてしまいたくなるアイテムです。(で、下のようになりました)

esbito-01.jpg


関連記事
スポンサーサイト


FC2 Blog Rankingに参加しています。

←ポチっと応援お願いします!

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

この記事へのコメント

トラックバック

URL :

Profile

エーデルマン

Author:エーデルマン
脳内の99%をドイツ軍が占めている、そんなアラフィフ親父です。
注)当時のドイツ軍の装備・生活用品に興味がありますが、特定の団体・思想を支持するものではありません。

↓管理人へのMailはこちらからどうぞ↓

Category
FC2 Counter
Comments
Archive
Links
eBay
エーデルマンの参考文献
Ss-brigadefuhrer Und Generalmajor Der Waffen-ss Theodor "Teddy" Wisch
Ss-brigadefuhrer Und Generalmajor Der Waffen-ss Theodor "Teddy" Wisch
個人秘蔵の未公開写真が満載でLSSAHファンは必読の書。著者は友人

WWII ドイツ軍兵器集 〈火器/軍装編〉 (1980年) ワイルドムック
WWII ドイツ軍兵器集 〈火器/軍装編〉 (1980年) ワイルドムック
長年教科書だった本。小宮氏の「ドイツ軍の全貌」の解説がすごい

最強の狙撃手
最強の狙撃手
ドイツ軍No.2スナイパーの回顧録。狙撃シーンもすごいが、当時の兵士の生活も垣間見れる一冊

第2次大戦ドイツ軍装ガイド
第2次大戦ドイツ軍装ガイド
鮮明な写真による軍装品説明はブログ写真撮影の参考にしています

ドイツ軍装備大図鑑: 制服・兵器から日用品まで
ドイツ軍装備大図鑑: 制服・兵器から日用品まで
軍装品のカタログとも言えるボリュームは圧巻。実は密かに打倒を狙っていたり・・・

第2次大戦ドイツの自動火器
第2次大戦ドイツの自動火器
実物のFG42実射レポートを読めるのはこの本だけ

“グロースドイッチュランド”師団写真史―東部戦線におけるGD機甲擲弾兵師団1942‐1944
“グロースドイッチュランド”師団写真史―東部戦線におけるGD機甲擲弾兵師団1942‐1944
ドイツ国防軍好きなら買って損はなし

図説ドイツ軍用銃パーフェクトバイブル (歴史群像シリーズ Modern Warfare MW)
図説ドイツ軍用銃パーフェクトバイブル (歴史群像シリーズ Modern Warfare MW)
ドイツの軍用銃の専門書でビジュアル的に見ていて楽しい

ドイツの小銃拳銃機関銃―歩兵兵器の徹底研究 (光人社NF文庫)
ドイツの小銃拳銃機関銃―歩兵兵器の徹底研究 (光人社NF文庫)
ドイツ軍用銃のバイブル的な書。ドイツ軍スナイパートップ3への一問一答が興味深い

Feldbluse: The German Soldier's Field Tunic, 1933-45
Feldbluse: The German Soldier's Field Tunic, 1933-45
M33からM44までドイツ陸軍の野戦服を網羅。特にM36以前の野戦服は必見

Rations of the German Wehrmacht in World War II
Rations of the German Wehrmacht in World War II
とにかく当時のドイツ兵が食べていた糧食にこだわった一冊

武器と爆薬―悪夢のメカニズム図解
武器と爆薬―悪夢のメカニズム図解
迫撃砲はどうやって砲弾を飛ばすのか?小銃擲弾は?ほかにも大砲や爆弾のしくみを源文マンガでわかりやすく解説

グラフィックアクション GRAPHIC ACTION 1993年 No.17
グラフィックアクション GRAPHIC ACTION 1993年 No.17
このシリーズは市場で見つけたら買うべし

ドイツ武装親衛隊軍装ガイド (ミリタリー・ユニフォーム)
ドイツ武装親衛隊軍装ガイド (ミリタリー・ユニフォーム)
WSS専門だけど全部実物!

鼠たちの戦争〈上〉 (新潮文庫)
鼠たちの戦争〈上〉 (新潮文庫)
映画「スターリングラード」の原作本的な内容だが100倍面白い

鼠たちの戦争〈下〉 (新潮文庫)
鼠たちの戦争〈下〉 (新潮文庫)


スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943 (朝日文庫)
スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943 (朝日文庫)
塹壕から故郷へ送った兵士の手紙が興味深い「クリスマスはドイツ風に」の章は涙なくしては読めません

ケルベロス 鋼鉄の猟犬 (幻冬舎文庫)
ケルベロス 鋼鉄の猟犬 (幻冬舎文庫)
ヒトラーが暗殺された後の撤退戦を描いた架空小説。小道具にこだわるところがマニアっぽい

Flag Counter
QR CODE
QR