M84/98銃剣 (Seitengewehr 84/98)
本日のネタはドイツ軍が第二次大戦で使用したM84/98銃剣(Seitengewehr 84/98)です。
なお、今回銃剣の写真はTom氏他、海外のコレクターから拝借したものを使用しています。(http://www.mp44.nl/)
WIkipediaによれば、17世紀にフランスのバイヨンヌで農民同士の争いがおき、その時に興奮したある農民がマスケット銃の銃口にナイフを挿して攻撃したことが銃剣のはじまりとか。(この時の場所にちなんで銃剣のことを"バヨネット"と呼ぶようになったようです。しかし農民同士のケンカに銃とは・・・日本ではちょっと考えられないですね)
当時の銃は先込め式の単発銃で一発撃った後、次の弾を発射するのに時間がかかりました。装填中に敵の騎兵や歩兵に襲撃されたらひとたまりもありません。隙の多い銃はを持つ兵士は常に槍兵と行動を共にし敵の突撃に備えました。
マスケット銃兵(左)と槍兵(右)の訓練の様子。
三十年戦争(1618-1648)時代に活躍した傭兵を描いた映画『アラトリステ』(スペイン2006年)の戦闘シーン。接近戦になると銃はまったく役立たず、あくまで槍や剣が主流であったことがよくわかります。
銃に槍や剣を取り付けることで、銃兵自ら敵を迎撃することが可能になると槍兵は廃止され、すべての歩兵は銃兵となり戦闘力のアップにつながりました。
やがて銃身にスパイクをソケット式ではめる『槍型』、着剣用の器具を使って剣を取り付ける『剣型』などが開発され、後込め式連発銃の開発とともに、銃剣突撃など独自の戦術も生まれました。
さて銃剣の歴史はここまでにして本題に戻りましょう。
M84/98銃剣は1905年にドイツ軍に正式採用され、いくつかのマイナーチェンジを経て1934年にこのスタイルになりました。銃剣は刃物の産地として有名なゾーリンゲンをはじめ、ドイツ国内および同盟国の様々なメーカーによって供給されましたが、ほぼ同一のスペックで作られています。
年代によって木製とベークライト製の2種類のグ リップに分かれます。初期は木製、その後ベークライト製になるのですが、変わった時期については1937年や39年などの諸説があります。
43年頃にベークライト不足から木製に戻りますが、現存する銃剣の中には44、45年という末期製でもベークライト製グリップが使用されているものもあります。こういったことはドイツ軍では良くあることです。
銃剣を小銃(Kar.98K)に装着し、槍のように使用することができます。機関銃と塹壕が発明された第一次大戦では銃剣突撃は既に前時代的となりましたが、それでも白兵戦においては有効な武器でした。武器以外にも銃剣は穴を掘ったり、缶詰を開けたりと汎用性の高い個人装備です。
こちらは銃剣と鞘です。銃剣攻撃の基本は突き刺すことなので、刃は入っておりません。
(注意)この銃剣は国外に存在する為、刀身はカットされていません。

REIBERT(ドイツ陸軍操典)1937年版にも銃剣についての説明書きがあります。
こちらはREIBERTのイラストの拡大写真です。griff(グリップ)、klinge(刀身)、haltestift(ストッパー)、holzschale(木製グリップ)、hohlkehle(血抜き)などの用語が掲載されています。
Kar.98Kの着剣装置と銃剣を取り付けたところ。
グリップ部分を分解した写真です。グリップ内部に泥抜きの溝があるのが見えます。
以前、カナダのコレクターの自宅で数十本もの銃剣やサーベルのコレクションを見せてもらった時、その刀身の美しさに大いに魅了されました。残念ながら日本では刀身がオリジナルのままの所持は銃刀法によりご法度、輸入時に適度な長さにカットせざるを得ず、コレクション対象としてイマイチ食指が動きませんでした。
かといって取り上げないというわけにもいかず、今回は他人のふんどし(コレクション)をお借りし記事を書いた次第です。
なお、今回銃剣の写真はTom氏他、海外のコレクターから拝借したものを使用しています。(http://www.mp44.nl/)

WIkipediaによれば、17世紀にフランスのバイヨンヌで農民同士の争いがおき、その時に興奮したある農民がマスケット銃の銃口にナイフを挿して攻撃したことが銃剣のはじまりとか。(この時の場所にちなんで銃剣のことを"バヨネット"と呼ぶようになったようです。しかし農民同士のケンカに銃とは・・・日本ではちょっと考えられないですね)
当時の銃は先込め式の単発銃で一発撃った後、次の弾を発射するのに時間がかかりました。装填中に敵の騎兵や歩兵に襲撃されたらひとたまりもありません。隙の多い銃はを持つ兵士は常に槍兵と行動を共にし敵の突撃に備えました。


マスケット銃兵(左)と槍兵(右)の訓練の様子。
三十年戦争(1618-1648)時代に活躍した傭兵を描いた映画『アラトリステ』(スペイン2006年)の戦闘シーン。接近戦になると銃はまったく役立たず、あくまで槍や剣が主流であったことがよくわかります。
銃に槍や剣を取り付けることで、銃兵自ら敵を迎撃することが可能になると槍兵は廃止され、すべての歩兵は銃兵となり戦闘力のアップにつながりました。
やがて銃身にスパイクをソケット式ではめる『槍型』、着剣用の器具を使って剣を取り付ける『剣型』などが開発され、後込め式連発銃の開発とともに、銃剣突撃など独自の戦術も生まれました。
さて銃剣の歴史はここまでにして本題に戻りましょう。

M84/98銃剣は1905年にドイツ軍に正式採用され、いくつかのマイナーチェンジを経て1934年にこのスタイルになりました。銃剣は刃物の産地として有名なゾーリンゲンをはじめ、ドイツ国内および同盟国の様々なメーカーによって供給されましたが、ほぼ同一のスペックで作られています。
年代によって木製とベークライト製の2種類のグ リップに分かれます。初期は木製、その後ベークライト製になるのですが、変わった時期については1937年や39年などの諸説があります。
43年頃にベークライト不足から木製に戻りますが、現存する銃剣の中には44、45年という末期製でもベークライト製グリップが使用されているものもあります。こういったことはドイツ軍では良くあることです。

銃剣を小銃(Kar.98K)に装着し、槍のように使用することができます。機関銃と塹壕が発明された第一次大戦では銃剣突撃は既に前時代的となりましたが、それでも白兵戦においては有効な武器でした。武器以外にも銃剣は穴を掘ったり、缶詰を開けたりと汎用性の高い個人装備です。

こちらは銃剣と鞘です。銃剣攻撃の基本は突き刺すことなので、刃は入っておりません。
(注意)この銃剣は国外に存在する為、刀身はカットされていません。

REIBERT(ドイツ陸軍操典)1937年版にも銃剣についての説明書きがあります。

こちらはREIBERTのイラストの拡大写真です。griff(グリップ)、klinge(刀身)、haltestift(ストッパー)、holzschale(木製グリップ)、hohlkehle(血抜き)などの用語が掲載されています。


Kar.98Kの着剣装置と銃剣を取り付けたところ。

グリップ部分を分解した写真です。グリップ内部に泥抜きの溝があるのが見えます。
1. Klinge
2. Parierstange
3. Griffschale (Links)
4. Griffschale (Rechts)
5. Muttern für Griffschalen
6. Feuerschutzblech
7. Schrauben für Griffschalen
8. Haltestift Mutter
9. Feder für Haltestift
10.Haltestift
以前、カナダのコレクターの自宅で数十本もの銃剣やサーベルのコレクションを見せてもらった時、その刀身の美しさに大いに魅了されました。残念ながら日本では刀身がオリジナルのままの所持は銃刀法によりご法度、輸入時に適度な長さにカットせざるを得ず、コレクション対象としてイマイチ食指が動きませんでした。
かといって取り上げないというわけにもいかず、今回は他人のふんどし(コレクション)をお借りし記事を書いた次第です。
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この記事へのコメント
> 鍛冶屋さん
銃剣術を経験されているからこそのコメントありがとうございます!
アメリカ陸軍は2010年に銃剣格闘訓練止めてしまったそうですが、
わが国防軍(敢えてこう呼びます)はぜひとも続けて欲しいですね。
銃剣術を経験されているからこそのコメントありがとうございます!
アメリカ陸軍は2010年に銃剣格闘訓練止めてしまったそうですが、
わが国防軍(敢えてこう呼びます)はぜひとも続けて欲しいですね。
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- 鍛冶屋 - 2013年04月28日 23:23:13
銃剣術は、突く・切るだけでなく、殴る・投げるなどの
複合業を使った前身でぶつかる武道(?)でした。