陸軍M34略帽 (Feldmutze 34) Part3
こんにちは、エーデルマンです。 本日はM34略帽 (Feldmutze 34)についてアップします。
M34略帽はライヒスヴェーア時代の1934年11月に導入された略帽(=略式制帽)で、1942年にM42略帽が導入されるまで戦闘・作業帽としてあらゆる兵科で使用されました。 
極初期のデザインは国家色のコカルデ(円形章)と兵科色のソータッシュ(山形ヒモ)が頭頂部に付いており、フラップ前面にはM42略帽のようにボタンが2つ付けられていました。(当時はヴァイマール共和制なのでもちろんハーケンクロイツ付きの国家鷲章はなし)ちなみにボタンは機能しない飾りボタンとなります。

1935年頃の写真。前列右側の兵士がM34略帽を被っていますが分かりづらいですね。
こちらの写真にはコカルデとソータッシュがはっきりと写っています。(STEINER氏所蔵)

1935年版のREIBERT(STEINER氏所蔵)

そしてライヒスヴェーアからヴェアマハトに組織が改編した1935年には、コカルデは金属製からBEVO製となりソータッシュと共に一段下のフラップ前面に移動、頭頂部には国家鷲章が縫い付けられます。 (初期帽章のベースカラーはライトグレー)

ここでは便宜上、左側のイラストの帽章の取り付け状態を1stパターン、右側を2ndパターンとします。

2ndパターンの略帽を着用する兵士。M34略帽とM34野戦服にはライトグレー地の徽章が付いています。角型肩章がダークグリーンなので、1935年後半以降に撮られた写真と思われます。

1935年9月10日付けの陸軍規程35年第505号(H.V.35,Nr.505)により、野戦服の襟がダークグリーンに変更されると、帽章のベースカラーも同色に変更されます。(右側の状態を3rdパターンとします)
こちらのM34略帽は3rdパターンで、1935年に導入された新型帽章が取り付けられています。


この略帽、よく見るとフラップ前面の縫い合わせの位置が右側に寄っています。これは1stパターンの略帽の特徴です。(この略帽を極初期型と呼ぶことにします)

最初は1stパターン、次に2ndパターンの徽章が付けられていたものが最終的に3rdパターン付け替えられたのか、或いは1935年になっても極初期の縫製を工場が続けていたのか不明です。
それでは極初期型と、以前こちらで紹介した1940年製のM34略帽(工兵科)を比較してみましょう。

1940年製の方はフラップの縫い合わせが真ん中です。また極初期タイプの方は頭頂部の立ち上がり角度が垂直に近く頭頂部もフラットな為、被帽時に正面から見て四角いシルエットとなります。

左側の国家鷲章はダークグリーン地にオフホワイト色の刺しゅう、40年製の方は1937年に導入されたダークグリーン地にライトグレー色の刺しゅうとなっています。

横から見たシルエット。極初期型は頭頂上辺が長尺の為、内側に深く折り込まれています。
極初期型の内装とスタンプ。

コットン生地の裏地がフェルト生地本体に手縫いで取り付けられています。

サイズは58cm、1.は中隊番号でしょうか? 残念ながらメーカー名と製造年は判読不可能です。

ベンチレーションホールの金具。亜鉛製で表面はエナメルでメッキされています。


この略帽にはソータッシュが頭頂部に付けられた痕跡(縫い跡)がありません。また新型帽章の縫い糸は裏地に貫通しておらず初付けと見られる為、1935年の軍備拡大の折に新たに参入したメーカーによって作られた可能性があります。

年表で見ると、1stパターンと2ndパターンの存在期間は非常に短くなっています。実際に1stパターンはヴェアマハト以降は2ndパターンに全面的に切り替えられたと思われ、その為かオリジナル状態で現存している略帽はとんでもないレアアイテムとなっています。ただし2ndパターンと3rdパターンの違いはベースカラーのみ、なので帽章は在庫は無くなるまで使われ続けたと思います。

丸形肩章を着用しているので1936年以降に撮影された写真と思いますが、ほとんどの兵士が2ndパターンの略帽を被っています。
最後になりましたが、貴重な1stパターンの写真を掲載させていただいたSTENER氏に感謝の意を表します。
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