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Yサスペンダー (Koppeltragegestell für Infanterie)  コットン製

こんにちは、 エーデルマンです。新型コロナウイルスですっかり世の中変わってしまいましたね。初めは戸惑いだらけだったテレワークも二か月たつとむしろオフィスでフェイスtoフェイスで仕事するのが違和感を感じるようになって来ました。緊急事態宣言が緩和されるまであと2週間ほどの我慢ですが、緩和後はコロナ前と同じ生活には戻れないでしょうね。

さて本日はコットン製Yサスペンダー(以下:Yサス)をアップします。2012年に掲載した記事のアップデートとなるので基本的に記載内容は同じです。(言い回しや価格情報、写真などは変更しています)

Ysusweb1.jpg
コットン製Yサスはコレクターの間で、トロピカルYサスペンダー、又はDAK(ドイツアフリカ軍団)ストラップとも呼ばれており、革製Yサスよりも入手が困難でコレクター市場では400ユーロ以上で取引されています。(←2012年当時の価格。2020年現在ではかなり値上がりしています)

Ysusweb5.jpg 
タミヤ「ドイツ・アフリカ軍団歩兵セット」のパッケージと熱帯仕様の軍装


装備がコットン製で作られるようになった理由は気候に関係します。
ご存知の通り、サハラ砂漠で有名な北アフリカは、地中海沿岸部の一部を除き降水量が少なく日差しが強烈な砂漠気候です。

northafricamap2.jpg
1941年の北アフリカ戦線

africasat.jpg
サハラ砂漠の衛星写真(Wikipediaより)

DAK.jpg
砂漠を進むドイツ軍オートバイ兵


Ysusweb13.jpg
このような高温・乾燥した砂漠気候では少しでもメンテナンスを怠ると革はすぐにヒビ割れ、ボロボロなってしまいます。装備の管理にはうるさいドイツ軍もそこまでの労力を兵士に負わせるのは宜しく無いと考えたのか、地中海の熱帯地域向けに開発されたコットン製(キャンバス)の装備をアフリカに派遣する兵士にも支給します。このYサス以外にも銃剣やスコップのホルダー、ウエストベルト、装備ストラップなどもコットン製で作られたものが多く存在しています。

Ysusweb9-3.jpg
コットンで作られている以外は基本的に革製Yサスと構造や金具は同じです。

Ysusweb12.jpg
中央のOリングの裏当て部分は革製ですが、極初期のタイプはコットン製です。工場ナンバー(RB Nr)の刻印がありますが、どの工場を意味するのかは不明です。
 
Webystrap_early.jpg
こちらは極初期のコットン製Yサスです。現存するモノは非常に少なく市場に出回ることはほとんどありません。(画像はお借りしています)

Ysusweb7jpg.jpg
こちらのバックストラップはウエストベルトへ取り付けるフック金具が革で補強されています。
DAK9.jpg  
今回の記事を書くにあたり、北アフリカ戦線の写真を調べていて、他の戦線に比べるとYサスを装着している兵士の写真が極端に少ないことに気がつきました。Yサスの支給率は低かったのでしょうか?
砂漠が戦場であったことが大いに関係しているのではないかと思い、砂漠戦について調べてみました。


手持ちの「北アフリカ戦線」(学習研究社)には「北アフリカの砂漠という地形は(中略)機械化部隊による機動戦に適し、その原則を完全に適用できる第二次大戦で唯一の戦場であった。特にドイツ・アフリカ軍団は、エルヴィーン・ロンメル将軍という装甲機動戦を得意とする稀に見る名将を指揮官としていたために、砂漠における機動戦の優位性を存分に発揮した」とあります。

DAK5.jpg
機械化した部隊では歩兵は装甲車や兵員輸送トラックで移動し、装備も輜重部隊が運搬したと考えられます。Yサスは別名、重装サスペンダーとも呼ばれ歩兵が単独で個人のテントやツェルトバーンなどの装備一式を携帯できるように開発されたものですが、アフリカ戦線のドイツ軍兵士は輜重部隊の存在によってYサスで重装備をする必要が無かったのでしょう。(そのことがYサスの希少性に関連しているのかどうかは不明です)

DAK8.jpg
軽装すぎる?
Ysusweb11.jpg
北アフリカ戦線以降もコットン製の装備は革の節約の目的で継続して生産されます。全ての戦域においてコットン製Yサスを着けた兵士の姿を当時の写真に見ることができます。

Webystrap.jpg
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この記事へのコメント

- グライフ - 2020年05月22日 08:09:12

 初めまして、ちょくちょく拝見させて頂いてます。
貴重な資料ブログに水を差す訳では無いですが、1941年の北アフリカ戦線とサハラ砂漠の
衛星写真(Wikipediaより)と有りますが、1941年に衛星などなかったと思われます。
宇宙開発が始まったのは戦後で人口衛星はソビエトのスプートニクなのは歴史的にも
明らかな訳で・・・。WWIIに衛星があったら戦局も変わっていたと思いますよ。

Re: タイトルなし - エーデルマン - 2020年05月22日 15:42:26

グライフさん

訪問いただきありがとうございます。上の写真が1941年当時の北アフリカ戦線の地図で、下の写真が衛生写真です。一行で書いたので分かりづらかったと思うので修正しました。

- otto - 2020年05月25日 13:19:00

背面ストラップに革当てが付いているのは初見です。またRBNr.の入り方も珍しいタイプですね。しかし以前から謎なのですが、実際には知られている以上に多くのコットン製装備品が作られながらなぜKar.98 k.の弾薬盒、各種ホルスターが無いのか? です。
第一次大戦ではマオザー用にフェルト製が少々生産されていますし、第二次大戦ではハンガリーで僅少ですがマンリッヒャー用を生産しています。
DAKでは確かコットン製ホルスター入りのチェコの拳銃が、主に将校に愛用されていますね。

そしてMPなどのマガジンポウチ類は一般的に9割以上がコットン製なのに...です。
フランスに勝った時点で多くのコットンを入手していますし、それに加えて英軍のコットン装備も膨大に捕獲しています。ドイツにとってこれに手を加える事はさして困難に思えないのです。

個人的な感覚では少量は生産したのでは? と思っています。
しかしなぜそれが拡大、規格化しなかったのか。
エーデルマンさんは如何お考えでしょう?

最後に「戦車は進む、アフリカを!」を付けておきます。ドイツ戦時歌謡の名曲の一つです。少々早回しの為キーが高いですが、親切な人からコメント欄に歌詞の書き込みが有ります。https://www.youtube.com/watch?v=XN9DxKYm7Tw

Re: タイトルなし - エーデルマン - 2020年05月25日 20:55:13

ottoさん

コメントありがとうございます!!
そうですね、私もコットン製のYサスのバックストラップに革当てが付いたのは見たことがありません。
金具もコットン製によく見られるリブ付きでは無く、革製のYサスと同じフラットなタイプです。
あとRB.Nrは表側(茶色い方)に打たれていることが多いですね。

ご質問の件ですが、確かにKar.98Kの弾盒でコットン製の現存は記憶にありません。
ホルスターはレアケースですが、Sauer Modell38(H)用でコットン製のモノがあったかと。(「Die Wehrmacht Uwe Feist」の20ページに載っています)
マウザーの弾盒にコットンが使われなかった理由を考えてみました。
①耐久性の問題・・・・7.92mm弾頭の尖鋭な形状から、コットンだと材質的に摩耗するのでアウト。または革製でも乾燥気候での使用に然したる問題が発生しなかったなど。
②材料の問題・・・・ドイツやフランスは元々牛肉や豚肉を消費する食文化があり、その副産物である皮革はコットンに比べれば入手しやすく弾盒の生産に必要な供給量はあった。
③規格や生産性の問題・・・・弾盒の形状や製法は第一次大戦の頃から変化なく、革加工に適した製造機が大量に市場に出回っており、コットン製に変更するには大きな投資が必要だった。
(第一次大戦のドイツ軍兵士)
https://www.flickr.com/photos/drakegoodman/6723196097/in/photostream/

とまぁ、何の根拠もない推測でした。

「戦車は進む、アフリカを!」ありがとうございます。軍歌や行進曲の類は、全く門外漢なの毎度勉強になります。

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