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MG34 (Maschinengewehr 34)

 こんにちは、エーデルマンです。世界的にコロナが下火になり経済活動が急速に動き出した為か色んな所で歪みが生じているようです。仕事関係では半導体不足が深刻な問題になっており、計画通り製品が作れない状態です。また、原油や鉄鋼などの原料高、コンテナ不足による輸送費アップなどもあり二重苦、三重苦となっております。
会社の業績が悪化すれば、私のような50歳以上はリストラ対象になるのは間違いなく、最近は副業なんかも考えたり。(一応このブログにもアフィリエイト広告を貼っていますが、コーヒー一杯分にも満たない収益・・・)

副業よりも先に軍装に無駄なお金と労力を使うのをやめるべき、とツッコまれそうですが、これはこれで頑張って仕事するモチベーションにもなったりしているので中々難しいところです。もちろん、本当にリストラされてどこにも再就職できなければ四の五の言わずにきっぱりと足を洗うつもりです。(ホンマかいな)

さて前置きが長くなってしまいましたが、本日はドイツ軍の主力機関銃、MG34(Maschinengewehr 34)の無可動銃をアップします。
MG34_2-1.jpg
MG34_1-1.jpg
以前から主要なドイツ軍小火器でMG34だけ記事にしていないことが気になっておりましたが、MG34は専門店にも長らく在庫が無く、入荷しても即売約済となるほど入手が困難。
そこで無可動を所有する知人にお願いして特別に写真撮影をさせていただいた次第です。(貴重なコレクションの掲載を許可いただいたOさん、この場をお借りして感謝いたします)
MG34-012_2022110607534819d.jpg

Wikipediaには、ラインメタル社(Rheinmetall)のルイス・シュタンゲ(Louis Stange)がスイスのゾロターン社(Solothurn )で開発したMG30をベースに、マオザー・ヴェルケ社(Mauser Werke)のハンリッヒ・フォルマー(Heinrich Vollmer)が改良し1934年に完成させたと説明がありますが、広田厚司著『ドイツの小銃 拳銃 機関銃』には、ラインメタル社とマオザー社それぞれ試作銃の良い所を統合して出来た銃とあり、技術的にはラインメタル社が主導、マオザー社は生産会社としての役割だったと書かれています。

MG34 (Maschinengewehr 34) 仕様

種別 汎用機関銃
口径 7.92mm
銃身長  627mm 
使用弾薬 7.92×57mm マオザー弾
装弾数 ドラム給弾、ベルト給弾
作動方式 ショートリコイル 回転ボルト式
全長  1,219mm
重量 12,100g
発射速度800-900発/分
銃口初速775m/秒
有効射程 2,000m

MG34が多目的(汎用)機関銃と言われるのは、二脚運用で軽機関銃、三脚架に載せれば重機関銃となる為で、このような形態は世界発とされています。ちなみに現代では大口径弾を使用するものを重機関銃とし、小銃弾の機関銃を三脚運用する場合は中機関銃と呼んでいます。

MG34-011.jpg


素晴らしいフォルムですね。時代を超えてモノづくりの美学を感じます。後継機のMG42と比較して華奢っぽいイメージですが、手に取って見ると意外と骨太で華奢という表現には違和感があります。
MG34-013.jpg
MG34は削り出しの部品を多用しているのが特徴です。擦り合わせ技術によりカチッとした造りになっています。

MG34_24-1.jpg

空冷と軽量化を兼ねてバレルジャケットには多数の穴が開けられています。ここにも切削痕が残っています。このような筒状のものまで削り出しで作られているのは驚きです。

MG34_13-1.jpg
リアサイトは2から20まで目盛りがあり、200mから最大2,000mまで照準を合わせられるようになっています。

MG34_29-4.jpg

レシーバー上の刻印。1943年製で『dot』はチェコスロバキアにあったBrünn造兵廠のメーカーコードです。

チェコスロバキアの高い工業力に目を付けたヒトラーは1938年にズデーテンラントの割譲、チェコの一部を「ベーメン・メーレン保護領」としてドイツに編入します。Wikipediaによればベーメンはルール地方と並び、ドイツ軍の戦車の3分の1、軽機関銃の40%を生産する一大軍需産業地だったようです。

占領下のチェコを描いた映画はこちらが秀逸です。

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦(字幕版)


劇中、教会に立てこもるレジスタンスをドイツ軍がMG34で攻撃するシーンが印象的でした。

MG34_14-2.jpg
給弾口とトリガー、グリップ付近。削り出しのロアレシーバーはうっとりするほど優雅なフォルムですね。

MG34_18-1.jpg
セイフティレバーの『F』は、Feuer(発射)で、反対側には『S』=Sicher(安全)の刻印があります。
トリガー上の『E』=Einzelfeuer(単発)、『D』はDauerfeuer(連発)の意味。トリガーフレーム上の『T』と『A』はポルトガル語でTiro-a-Tiro(一発ずつ=単発)、とTiro-Automático(連発)の意味となります。この刻印から分かるのは、こちらはポルトガルへ輸出されたMG34のようです。このような単発・連射の切り替え機能はMG42では排除され、連発のみになったのは、機関銃には単発は不要と判断されたのでしょう。


MG34_15.jpg
レシーバーを下から見たところ。上の写真はエジェクションポートが「閉」で、下は「開」の状態です。
エジェクションポートはトリガーを軽く引くとバネの力で「ぱちん」と勢いよく開きます。

MG34_10.jpg

反対側から。水平コッキングレバーは初期型のMG42に引き継がれました。

MG34_16.jpg

フィードカバー及びバットストック基部のシリアルNo.はレシーバーと同じ3291でマッチしています。『clc』はRichard Herderのメーカーコードです。ちなみにこの製造年のフィードカバーは通常シートメタル製ですが、初期の様な削り出しで作られた感じです。
MG34_22-3.jpg
フィードカバーを開けたところ。(ボルトは閉鎖、コッキングレバーは無可動加工でビクとも動きません)
この給弾システムは後継機のMG42にも引き継がれました。
MG34_19-1.jpg

バットストックの形状もMG42に引き継がれます。
MG34_20-1.jpg
反対側には本体シリアルにマッチした『3291』の刻印があります。

MG34_26.jpg
以上、今回はお借りしたものなのでフィールドストリップは控えました。なおこのMG34、ポルトガルへ輸出する際に作られたと思われる木箱と付属品のセットになっています。それらも写真に撮らせていただいたので機会があれば詳細をアップしたいと思います。
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この記事へのコメント

- ライカが好きだった - 2021年10月27日 16:16:14

日本では長くモーゼルと表記されてきた Mauser社は、最近でこそマウザーと書いてある書籍も増えては来ましたが、それを"マオザー"と、よりドイツ語の発音に近く表記されたエーデルマンさんは、ひょっとしてドイツ語がお上手なのでは(笑)?
であれば、"Bico身嗜みセット"の際、拙い訳文を提示して失礼だったかもしれませんね。

ライカの発明・発展期とMG34(の始祖のMG13なども含め)の開発期はほぼ重なっており、当時のドイツ人のモノづくりに対する哲学なのでしょうか、発想がよく似ているなと、以前から思っていました。

システムの中心に、小型だが非常に精密高性能な装置を据え、各種の(これまた精密な)付属品を大量に開発して、より大型・複雑なシステムに対抗しようとする姿勢です。
カメラのフィルム周りに用いられるマガジンとかパトローネという用語は、それらの原型はライツ社が発明したものですが、言うまでもなく銃器の世界でも同じ用語は用いられています。ライカの開発に際しては、案外その技術者たちは、銃器のことをイメージしながら開発していたのかもしれません。

Re: タイトルなし - エーデルマン - 2021年10月27日 22:06:20

ライカが好きだった 様

表記はドイツ語に堪能な方からのアドバイスによるもので、私自身は大学の第二外国語でなんとなく格好良いからドイツ語を選択して大失敗したパターンです(動詞の不規則変化や定冠詞に付いていけず脱落)
失礼とか言わず、今後もアドバイスいただけると大変助かります。
ライカと銃器の関係性は全く想定しておりませんでした。小型だが非常に精密高性能な装置と付属品で大型なシステムに対抗、についてはなんとなく分かったような、分からないような・・・すみません。
マガジン、パトローネ、確かに銃と同じですね。撮影を"Shot"と言うことからも、銃を想定して開発していたことは間違いないと思います。一方は生命を奪うこと、もう片方は平和を訴えることに使われたのは大変皮肉ですけど。

- ライカが好きだった - 2021年10月28日 10:07:29

長文はいけないと思って文を端折りましたので、分かりにくかったようですね。どうも済みません。

言うまでもないことですが、MG34は軽機関銃に機能的な三脚を合わせることで重機関銃としても運用し、しかもこの三脚に、緩衝装置やら精密な光学照準器を組み合わせることで、射程の延長/命中精度の向上、つまり威力の増大を図っています。この三脚あればこそ、各国でも重機関銃による"間接射撃"は検討はされたようですが、ある程度実用領域に達したのは、MG34だけだったのではないかという気がします。

ライカは、レンズを交換式とし、また望遠鏡やら顕微鏡などに装着するアタッチメントなどを開発することで、それまでのボックスカメラが、風景や人物、せいぜいが簡単な街撮り程度しかできなかったものが、事件の報道やら学術研究の向上にも貢献できるように、撮影可能領域の拡大を図っていきました(余談ながら、ライツ社は元々顕微鏡メーカーでした)。また、コピー機のない時代には、専用の器具で文書の複写装置としても使われています。

しかしながら、両方ともこのような性能/機能の拡大に対応できたのは、やはり中心となる、軽機関銃としてのMG34、標準レンズ付きのライカ本体が優秀だったからこそ発展できたのではないかという趣旨のコメントでした。

Re: タイトルなし - エーデルマン - 2021年10月30日 06:33:03

ライカが好きだった 様


詳しい説明ありがとうございます、すごくよく理解できました。
コレクション的にも色々アクセサリーを集めるのも楽しいですね。(ガチャガチャ付けたり外したりしている時間が楽しい)
生憎MG34は手元に無いですが、ライカ(可動)がありますので、レンズ交換はやってみたいです。
またコメントいただければ嬉しいです。宜しくお願いします。

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Author:エーデルマン
脳内の99%をドイツ軍が占めている、そんなアラフィフ親父です。
注)当時のドイツ軍の装備・生活用品に興味がありますが、特定の団体・思想を支持するものではありません。

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